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小さな約束

日常系って人気無いですよね、でもハートウォーミーな話が好きなんです

仕事中、ふとした時に思いつくシチュエーションにストーリーとキャラクターを

肉付けして背景を描写する、この手法しか今のとこ持ち合わせていないのですが

なるべく山あり谷あり、読み味のある物語になるよう努力してます

温かい目で読んでいただければ幸いです。

 〈えぇ、行ってきました、店長さんすごく親

  身になってくれて、とっても居心地の良い

  お店でした…〉

 ❝あの店に行くといっつも幸太さんコーヒー

  飲んで長話するのよ~、アタシ先に帰っち

  ゃうもの(笑)❞

 ケラケラと笑いながら晴子の報告を受ける佳

 澄は、現在仕事中らしい、由貴と同様にお客

 相手の商売柄、土日と言えど出勤の日が発生

 するのだろう、加えて佳澄の場合は店長と言

 う立場上、どうしてもその比率も上がるのか

 もしれない…

 〈それじゃ、仕事中に電話しちゃってすみま

  せんでした…〉

 ❝全然大丈夫♪また何かあったら相談してね

  ~❞

 〈失礼します…〉

 そう言って電話を切る、紹介してもらったモ

 トショップMIKAWAは、とても信用できるお

 店だ、店内には何とも言えぬ安心感が満ちて

 おり、普段何処かの店で味わうような、ある

 種アウェイ感といった類の雰囲気は一切感じ

 ない、昔から通いなれた常連客のようなノリ

 でそれぞれの店員と話が出来る、そういった

 独特の雰囲気が漂っていた、須賀も恐らくは

 そこが気に入ってあの店を贔屓にしているの

 ではないだろうか?

 きっとよく通う店になる、そんな予感が晴子

 の中で感じられる

 ところでお腹が空いた…

 こちらも通い慣れたいつもの店に行くとする

 か…

 そう決意すると晴子はAPEのエンジンを始動

 し、素早く跨った

 少し街中から外れた田園地帯の一角にあるモ

 トショップMIKAWAは、十分な展示スペース

 と作業空間を確保する上でこの立地となった

 のであろうか?そのおかげで店を目指すまで

 が軽いツーリングのようなノリで、APEを走

 らす上では好ましいと言える

 サッと乗ってすぐに着いてしまうのでは、せ

 っかくバイクに乗るのに少しつまらない…

 これはこれで晴子にとっては好都合であった

 いつもの喫茶店までは20分といったところか

 ?店に着くころにはすっかり空腹がマックス

 状態だった…

 カランカラ~ン♪

 いつものノスタルジックな鐘の音を立てつつ

 入店すると、すぐにマスターが

 (いらっしゃい!また来てくれたねぇ♪)

 〈とりあえず何か食べたくなるとつい来ちゃ

  います(笑)〉

 (そう言ってくれるのが一番嬉しいね♪好き

  なとこ座っといて)

 〈ハイ!〉

 返事をすると、いつも陣取る壁際の角席が空

 いているのを見つけ、そこへと向かう

 席に座ると、すぐさま見慣れたメニューとに

 らめっこを開始、もうすっかり人気メニュー

 となったカレー焼きそばは、好きだが今回は

 違う物を注文するとしよう…

 (ハイ、お冷とおしぼりね~、注文決まった

  ら呼んでね)

 マスターはいつもサバサバしていて、注文を

 急かすような真似も、何かのゴリ押しも決し

 てしない、そんなところもまた、この店の居

 心地の良さの一つと言えた

 ほぼ注文は決めていたが、改めてメニューを

 見渡してもやはり今回はこれだ!と、心に決

 めていたアレにしよう…

 ちょうど近くにいるマスターに手を挙げると

 (お決まりかな?)

 〈ハイ、ミックスフライ定食を、それと食後

  にアイスコーヒーで…〉

 (ハイよ~ミックスフライとアイスね~)

 注文を取り終えると風のようにカウンター内

 へとマスターが姿を消す

 スマホを操作してCB223Sの情報を調べる、も

 うさんざん調べてはいるものの、時間が空く

 とつい検索してしまう

 スマホにはもうスッカリ理解されているよう

 で ”CB” と入力すると予測変換されてしま

 う、昨今のスマホには驚かされるばかりだ…

 最近では主にカスタムの内容を調べてばかり

 いる、と言うのも、須賀から譲り受けたAPE

 100は、手を加える事に少し躊躇があるのだ、

 なのでカスタムするのなら自身で購入したC

 B223Sで!といった考えによるものだった

 (ハイ!ミックスフライ定食ね~♪)

 夢中で検索を続けているうちに注文した定食

 が届いてしまった、スマホをしまい込むと、

 マスターに礼を言いつつ定食と向かい合う

 改めてよく見ると、フライが4種、エビフラ

 イ、魚のフライ、イカリング、そして一つは

 中身が分からないまま、浜崎が教えてくれよ

 うとしたのを、晴子が後の楽しみの為、と断

 った物だ…

 〈いただきます〉

 小さく手を合わせて口にすると、箸を手に何

 から口に運ぶかを悩む、定食を食べるうえで

 最も心躍る瞬間だろう…

 フライだけに目が行きがちだが、脇に添えら

 れたシンプルなナポリタン、ポテトサラダと

 その上にはパセリリが一房、最近はめっきり

 見なくなったが、やはり目を引く緑が皿に添

 えられているとグッと定食の見た目が引き立

 つ…

 晴子はエビフライから箸でつまむと、そのま

 ま皿の隅に供えられたタルタルソースの中へ

 と頭を付ける、2、3回ディップするとそのま

 まかぶりついた

 喫茶店の定食のエビにしては中身も太く、何

 よりフライ自体が美味だった、IRONPLATEで

 食べたエビフライは絶品だったが、こちらは

 こちらで、また違った良さがある

 フライの中でも晴子はエビが一番好きで、好

 きな物を最初に食べるタチの晴子としては、

 真っ先にエビを食べるのはもはや必然だった

 半分ほどを食べ進め、いよいよ謎のフライに

 手をつけようとしたその時

 カランカラ~ン♪

 といつもの鐘の音が響くと、見慣れたシルエ

 ットが店の入り口からひょっこり入店した

 と、すぐさま辺りを見回して晴子の姿を見つ

 けると

 〘やっぱりハルちゃんだ、APEが停まってた

  から〙

 と手を挙げながらこちらへと向かってきた

 〘ここいいかな?〙

 〈どうぞ!今日はどうしたの?〉

 晴子の向かいに腰を下ろすと

 〘うん、バイク屋さんの帰りに昼飯食べちゃ

  おうと思ったら自然にここに足が向いてた〙

 〈アタシと同じだ(笑)〉

 そこへお冷とオシボリをマスターが供すると

 (いらっしゃい!すっかり常連さんたちだね)

 と2人を茶化す

 〘ナポリタンのカツ乗せとサラダ単品で〙

 〈何ソレ!?そんなの出来るの?〉

 (実は出来るんだな~、今度やってみるかい

  ?)

 〈わ~!!また来なくっちゃ(笑)〉

 (ありがたいね(笑)ナポリタンカツ乗せ、

  少々お待ちを~)

 〘あ、気にせず食べてよ、ゴメンね途中で…〙

 〈うぅん、全然いいけど、じゃあ先に食べち

  ゃうね〉

 そう言うと、晴子は気になっていた最後のフ

 ライを口に運ぶ、中身は意外な事に玉ねぎの

 輪切り、そしてその中には、意外な事にひき

 肉が詰められていた、いわゆるメンチカツに

 近い物だろうか?その周りにオニオンリング

 といった趣だ

 〘それ美味しいよね~オニオンリングのやつ〙

 晴子は一通り白米を頬張り終えると

 〈意外だった~!でもすごい美味しい♪〉

 (そう、評判良いんだよソレ)

 そう言いながらジュウジュウと音を立てるナ

 ポリタンとサラダをトレーに乗せたマスター

 がやって来た

 (ホイ、サラダと、ナポリタンカツ乗せね!)

 〘ありがとうございます、あ、食後にアイスコ

  ーヒーをお願いします〙

 (ハイよ~アイスね~)

 〈うわ!インパクト強いねソレ〉

 〘食べ応えありそうだよね♪〙

 そう言うと小さく手を合わせた後、浜崎も食事

 を始める

 早速!と言わんばかりにカツを口に運ぶと、す

 かさずクルクルとパスタ部分を巻き取って口に

 運ぶ、実に美味しそうだ

 密かに ”次は絶対コレを頼もう!” と心に決

 め、自らの定食を食べ終えた

 少しすると何処からともなくマスターが食べ終

 えた食器を下げに来てお冷を足す

 (アイスお出ししようかね?)

 〈あ、ハマちゃんのと一緒の時で良いですよ〉

 (分かった、じゃあ一緒に持ってくるよ)

 それにしてもマスターはいつもタイミングが良

 い、喫茶店のマスターとしての能力なのだろう

 が、水が減った時、食べ終えた時など、何処で

 見ていたのか?と疑問に思うほど颯爽と駆けつ

 けてくる

 〈ハマちゃんは何を買うかもう決めたの?〉

 何気なく聞いたこの質問だったが、浜崎はなか

 なか答えず、小さくボソリと

 〘うん、決めた‥〙

 と一言だけ発して黙々と食事を続けた…

 いつもと違う様子の浜崎に違和感を感じつつも

 何か言いたくない事情があるのだろう、と、そ

 れ以上の追求をあえて止める晴子‥

 このやり取りだけを見ても長年連れ添った恋人

 同士のような趣だが、当人たちにはその自覚は

 無い

 〈美味しかった~♪ミックスフライ定食は今の

  とこ一番かも!〉

 〘僕もこのカツ乗せのナポリタンは一番かも…〙

 〈やっぱり!?次は絶対食べようっと…〉

 密かに思い描いた計画も浜崎にならサラッと言

 えてしまう、それが何故なのかは晴子本人にも

 自覚がない、浜崎にも言える事なのだが、カッ

 プルのフィーリングで一番大事なこの部分をと

 っくにクリアしている事を当人たちは自覚して

 いないのだった…

 一緒に居て居心地が良い、と良く比喩されるが

 物の価値観、性格の一致、または不一致の部分

 、そしてそれらを加味した上で、相手の存在に

 対する愛情の深さが、その乖離具合を超え

 尚且つ、許容できる範囲であると確信した時、

 恋人たちは結婚に踏み切るのだろう

 だが、今の2人はまだその前段階、好みの異性

 と出会い、分かり合い、そして交際する

 その一歩手前、出会って分かり合った所だ

 だが、傍で見る2人の距離感は、すでに交際し

 同棲でもしているかのような空気感である

 むしろ当人たちに自覚がないのが不思議なく

 らいであった

 〈ねぇハマちゃん…〉

 〘ん?〙

 〈なんだか買うバイクの事は言いたく無さそ

  うだから聞かないけど、ね…〉

 〘うん?〙

 〈で、でもっ!少し寂しいから、せめてバイク

  を買ったら最初にアタシに見せてね…〉

 少しモジモジしながらそう告げる晴子は、好

 意を持つ浜崎でなくともキュンとさせるほど

 しおらしく、そして可愛らしかった…

 〘も、勿論だよ!真っ先にハルちゃんに見せ

  に行くよ!〙

 真っ赤になった浜崎は少しどもりながらも、力

 強く約束の言葉を口にした

 〈ホント!?楽しみにしておくね♪〉

 晴子にとっては今は小さな約束、だが、浜崎に

 とっては大きな意味を持つ

 そんな約束だった…。












 



















 

























今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります

多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が

ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい

メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は

「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。

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