邂逅!イケおぢ?
ウケないんだろな~、とは思いつつ現実世界で設定、いいんだ、オレは我が道を行く!
作者渾身の今作ですが、なにぶん経験が浅く、駄文、乱筆の雨あられ、、、そこそんな描写居るか?
分かりくっ!とかはさておき、生温かく見守って下さいな。
追伸、処女作の「ドリームドッグ」も一読頂けると幸いです…
(急がなくっちゃ!)
17時45分着の電車は1分弱の遅れでエミの最寄り駅
に到着した、さすが日本の鉄道、地方とは言え時間
に正確である
最も、だからと言ってのんびりとはしていられない
ドアのすぐ横にもたれかかっていたエミは壁にもた
れるのを止め、手摺りを持ちながらドア横に下車ス
タンバイしていた
「次は~トヨタ駅~トヨタ駅~お出口は左側です」
アナウンスの声が聞こえだす頃には電車もすっかり
スローダウンしていた
(プシュ~)
ドアの開閉音がするや、完全に開き切るのを待つの
ももどかしくエミは走り出していた
(急げ!急げ!)
階段を2段飛ばし程で駆け降りる、今日は大事な第
2水曜日、エミにはどうしても譲れない日だ
改作口にmanaca定期を擦り付け通過する、小走り
に急ぐエミだが特に注目する人間はいない
正面改札を抜け踊り場を松坂屋の方向へ右に走る、
道路をまたいだ高架広場を駆け抜け階段を
下る、我ながら素早い
(いいぞ元陸上部!)
自らを叱咤しながら万一の転倒に備え、手摺りを持
ちつつ急ぎ降りる、階段の最下部に着地し左に曲が
ろうとしたその時
ドンッ
壁の向こうから現れた人影に肩口から当たってしま
った、そのままよろめきながら転倒しかけたエミだ
ったが、すんでのところで衝突した相手によって肩
を抱きすくめられ転倒せずに済んだ
「大丈夫かな??」
年の程は40そこそこ、といった見た目ガッシリとし
た体躯のその男に問われ。エミは慌てて
「す、すみません、アタシ、その、急いでて、本当
にゴメンなさい、、」
「いいよ別に、それよりケガとかない??」
「アタシは大丈夫です、そ、そちらは大丈夫です
か?」
「オレは見た目のまんま、丈夫だから心配いらない
よ」
「本当にゴメンなさい、あ、あの…」
「あぁ、急いでるんだね、引き留めちゃ悪いから、
ホラ行って行って」
「ありがとうございます、失礼します」
エミは、これでもかと言うぐらいに深いお辞儀をし
てその場を後にした
「ハハッ、すっごい急いでんな」
男は微笑んでその場から去ろうとしたが、目の端に
ピンクの財布を見つけすぐに拾い上げた
(マジか!?あの娘の??)
自分と接触した娘の後ろ姿が視界から消えようとし
ていた
「オ~イ、ちょっと待って!!」
声を掛けたが届かない
「マジかよ!?」
ボヤきつつ男は猛然と駆け出した
エミは目的地を目前にしていた、時計を確認すると
17時54分
「はぁ~っ、間に合ったぁ!」
店に入ろうとするエミの耳に聞き覚えのある声が飛
び込んできた
「オ~イ、オ~~~イ」
声の方向を見ると、先ほどエミと衝突した男が猛然
と走ってくるのが見えた
咄嗟に少し身構えるエミだったが
「これ~」
男が差し出す右手の物を見てエミは青ざめた
「それ、私の財布…」
「いや~君、足早いね、自分の年を思い知ったよ」
そう言いながら男は財布をエミに手渡す
「はい、もう落としちゃダメだよ」
財布を手渡されてエミは、不必要な警戒で一瞬でも
男から身を引いた自分を恥じた
「ありがとうございます、私、迷惑ばかりおかけし
てますね、、、」
顔を曇らすエミだったが
「ハハッ、若い娘とこうして話す機会が出来たから
俺としちゃラッキーかもね」
くだけた口調で話す男のおどけた態度に救われた思
いだった
「ところでこの和菓子屋さんが目的地だったの?」
「そうなんです、今日は限定のプレミアムどら焼き
の発売日で、、」
「急いでたとこ見ると6時まで?早く買わなき
ゃ!!ほら」
「あ、ハイ…」
男に促されエミは古風な木の引き戸を開け店内に滑
り込む
ここはお菓子処「三河庵」エミのお気に入りの和菓
子屋で
今日は月に2回限定の「プレミアムどら焼き」の発
売日なのだ、和菓子が大好きなエミは、ほぼ毎回6
個ずつ予約してあるのだ
「プレミアムどら焼きを予約してる長坂です」
店側も常連客のエミの顔はすでに覚えているようで
サッと紙袋にエミの予約品が詰められた
「2,400円のお買い上げになります」
男に拾ってもらった財布を開け会計を済ますと、店
内では男が和菓子を物色していた
「ねぇ、せっかくだからオレも何か買いたいんだけ
どおススメは何かな?」
男が唐突にエミに尋ねてきた、エミは少し困惑しな
がらも
「そうですねぇ、三河庵さんのは水饅頭や栗饅頭、
羊羹やお団子どれも美味しいんですが、、」
エミはカウンターのショーケースの中を指さして言
った
「売れ残ってるのはラッキーなので今買うならたい
焼きです!」
言われてショーケースを見るとたい焼きが3つ残っ
ていた
「いつも焼けた端から売れてっちゃうのでこれはラ
ッキーですよ!!」
力強くエミに勧められ
「じゃあそのたい焼き3つとも下さい!」
「ありがとうございます」
お互い紙袋を携えつつ店を出た
「今日は本当にご迷惑をおかけしました、そして、
有難うございます」
エミに真っすぐ見つめられやや照れつつも
「良いって、まぁ何事もなく済んで良かったじゃな
い、これでもう言いっこなしだぜ」
「帰ろうぜ、駅からは足があるんだろ??」
「はい、自転車が置いてあります」
駅に向かって2人仲良く歩きながら二人は他愛の無
い会話を弾ませた
「んじゃあ和菓子が趣味な訳だ」
「はい、会社にスイーツ仲間がいて、どうしても明
日持っていきたくて、、」
楽しく会話していたが不意にエミが表情を曇らせ言
った…
「さっきはすみませんでした、私追いかけられてた
のが怖くって…」
申し訳なさそうに顔をうつむけるエミに男は言った
「そりゃオレみたいなおっさんに追っかけられりゃ
怖かったろうねw」
いたく当たり前といった感じで男は言うがエミは
「バカみたいですよね、私みたいな地味な娘なんて
どうこうあるわけもないのに、、、」
自虐的な言葉を並べるエミに男は怪訝な表情を浮か
べて言った
「ずいぶんとまぁ自分をひどく言うんだね?」
「ホラ、実際私って地味ですし、メガネで目立たな
いし、、」
不思議そうな表情でエミを見つめる男だったが、急
に何かを思い立ったように
「そうだ!今日この後用事あるかな?」
「????」
エミはキョトンとした表情で黙り込む
「さっきの事、もし悪いと思ってるなら、この後、
駅前のスタバで何か奢らせてよ?」
「え??でも、、」
「それとも何か用事ある?」
「いえ、特には…」
「んじゃあ、決まりだ!ほら行こうか!」
男はサッサと歩き出してしまった
(変な人、、、)
エミは微笑みを浮かべながら男の後に続いた
今作は作者がTikTokで見かけた「詐欺メイク」にヒントを得て思いついたストーリーとなります
多分に作者の社会人生活と私生活が反映された内容となります、読者の方が「ん?」と思う社会描写が
ございましたら、それは作者の過ごした社会背景との相違と受け取って下さい
メイク技術、用語などはネットの情報を元にしておりますが、なにぶん作者は
「野郎」ですので、この部分、なるべく寛容にご容赦くださると幸いです。