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【第一章完】この厳島甘美にかかればどうということはありませんわ!  作者: 阿弥陀乃トンマージ
第一章

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第11話(2)新曲合成

「ええ」

 甘美が頷く。

「い、いや……」

 現が唖然とする。

「? どうかしたのですか?」

「し、新曲だと?」

「ええ、そう言いましたが」

「い、今から間に合うわけがないだろう……」

「いいえ、それがどうしてなかなか……」

「なかなか?」

「順調に進んでいますわ」

「じゅ、順調だと?」

「ええ、こう……降りてきています……」

 甘美が両手を掲げて、ゆっくりと下ろす。

「降りてきているって……なにがだ?」

「作曲の神様が」

「バカも休み休み言え……」

 現が呆れる。甘美が頬を膨らませる。

「バカとはまた随分な言われようですわね」

「そう言いたくもなる……」

「良いですか? 今回のライブはわたくしたち、ミュズィックデレーヴにとってターニングポイントのライブとなるはずです」

「ターニングポイントだと? なにを根拠に……」

「なんとなくですわ!」

 甘美が両手を腰に当てて、胸を張る。

「アホか……」

「こ、今度はアホって言われた⁉」

「だからそう言いたくもなるだろう……」

「この重要なライブで、新曲を披露したらインパクトは大きいでしょう」

「一応反論しておくか……」

「なんですの?」

「私たちにはひとつひとつのライブが重要なはずだ」

「ふむ、それはそうですわね……」

 甘美が頷く。

「矛盾する言い方かもしれないが、今回のライブにそこまで肩肘を張ることはない。今から新曲を無理して準備しなくても既存の曲で充分なはずだ」

「まあ、正論ではあるかもしれませんわね……」

 甘美が顎に手を当てて呟く。

「正論は言い過ぎかもしれないが、概ね間違ったことは言っていないはずだ」

「ところがどっこい!」

「ど、どっこい?」

 現が面食らう。

「この音源を聴いてみてくださいな!」

 甘美が端末を取り出して、音源を再生する。

「~~~♪」

「!」

 音源を聴いて四人の顔色が変わる。

「こ、これは……」

「陽炎さん、いかがですか?」

「ああ、そこそこ良いんじゃねえか?」

 陽炎が呟く。

「刹那さんは?」

「な、なかなか良いんじゃないかな……」

 刹那が頷く。

「幻さんはどうでしょうか?」

「……まあまあなんじゃないの?」

「ふむ、お三方からの評価はそこそこ、なかなか、まあまあ……なるほど、なるほど……現場からは以上です!」

「全員、漠然とした評価じゃないか!」

 現が声を上げる。

「現はどうでしたか?」

「……ぼちぼちだな」

「! あ、あら……? おかしいですわね。もっとこう、スタンディングオベーションが巻き起こると思いましたのに……」

 甘美が首を捻る。

「なんというか……」

「なんというか?」

「無難な出来だな……」

「ぶ、無難⁉」

「過不足ないというか……」

「過不足ない⁉」

「インパクトには欠けるんじゃないか……?」

「お、お言葉ですが……無難というのが一番難しいのですのよ?」

「さっきも陽炎から似たようなこと言われたな……」

「だって難が無いのですよ、それは結構なことではありませんか」

「ターニングポイントのライブで披露するにはちょっとな……」

「な、ならば、こちらはいかがです⁉」

 甘美が端末を操作する。別の音源が流れる。

「~♪」

「‼」

 四人の顔色がまた変わる。甘美が尋ねる。

「い、いかがですか⁉」

「わりと良いんじゃねえか?」

「わ、わりと⁉」

 陽炎の言葉に甘美が面食らう。現が問う。

「……甘美、この曲はいつ思い付いた?」

「26時頃ですわ」

「深夜のテンション! どうりで展開が無茶苦茶だと思った……」

 現が頭を抱える。

「そ、それならば、こちらは⁉」

 甘美が再び端末を操作する。また別の音源が流れる。

「~~♪」

「⁉」

 四人の顔色がまたまた変わる。甘美がまた尋ねる。

「い、いかがでしょう⁉」

「……それなりに良いんじゃないの?」

「そ、それなりに⁉」

 幻の答えに甘美が戸惑う。現が再び問う。

「ちなみにこの曲はいつ思い付いた?」

「ティータイムの時に、鼻歌まじりで……」

「優雅だな! どうりで力が抜けていると思った……」

 現が額を抑える。

「……」

「せ、刹那さんはどうでしょうか?」

 黙っている刹那に甘美が尋ねる。

「……三曲を組み合わせたら良い感じになるんじゃないかな?」

「ええっ⁉」

 甘美が驚く。

「ああ、それは良いかもしれないわね」

「そうでしょ?」

 頷く幻に刹那が笑顔を向ける。

「現ちゃんもそう思わない?」

 幻が現に尋ねる。

「無難な一曲目のインパクトの弱さを二曲目で補い……」

「そう、しっちゃかめっちゃかになったところを……」

「三曲目で落ち着かせるという感じか」

「ええ、そういうこと」

 現の言葉に幻が頷く。

「イントロは静かに入って、サビに向けて盛り上げていく感じか」

「うん、そんな感じだね」

 陽炎の呟きに刹那が反応する。

「そ、そんなキメラみたいな曲に……」

 甘美が困惑する。

「なんとなくだけど……視えてきたわね」

「ああ、ヴィジョンがな」

 幻の発言に陽炎が反応する。

「おぼろげではあるけれどね……」

「いや、イメージが共有出来ているのは大きいぞ」

 呟く刹那に対し、現が頷く。

「わ、わたくしだけヴィジョンもイメージもシェア出来ていないのですが⁉」

 甘美が声を上げる。現が三人に尋ねる。

「詞はどうする?」

「オレは情熱的なのが良いと思うぜ!」

「アタシは知性的なのが良いと思うわ……」

「ボクは普遍的なのが良いのかなって……」

「よし、詞は合作で行こう。うん、方向性はまとまったな」

「全然バラバラだと思いますが⁉」

「楽器は持ってきているな? ステージには立てる。今日は雰囲気だけでも感じておこう」

「わ、わたくしを無視して話を進めないでくださる⁉ むっ⁉」

「zzz……」

 カフェテリアだけでなく、その周囲の人たちも皆眠りについてしまった。

「こ、これは……⁉ まさか大学全体が夢世界に⁉ 皆さん、行きますわよ!」

「……!」

 甘美の掛け声に応じ、四人も眠りに入る。

お読み頂いてありがとうございます。

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