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【第一章完】この厳島甘美にかかればどうということはありませんわ!  作者: 阿弥陀乃トンマージ
第一章

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第6話(2)良さげなドラム

「ここが今日の遊び場か!」

「遊びじゃないぞ」

 声を上げる陽炎を現がたしなめる。

「いや、ウットゥーツ、余裕を持つことは大事だぜ」

「ギャラを貰っている以上は仕事だ。責任感と緊張感を持って臨め」

「固いな~、ウットゥーツ、頭が固い!」

「……というか、あだ名はウットゥーツで定まったんだな……」

 現が呆れ気味に呟く。

「ああ、なんだかしっくりときた」

「私はしっくりきていないが……話を戻すが、私の頭は固くない」

「固いって」

「全然固くない」

「もっと柔らかくしろよ、ぐにゃあ~って……」

「なんだ、ぐにゃあって……」

「こういう風にだよ」

 陽炎が現の頭を揉む。

「や、やめろ!」

「やめない!」

「いや、やめろ!」

「山口県は初めて来たかもしれないな~」

 陽炎と現が騒いでいる横で、刹那がマイペースに呟く。

「あら、そうなのですか?」

 甘美が問う。

「うん、ライブイベントではね」

「ああ、そういう意味ですか」

「そういう意味。家族旅行とかならあるよ」

「そうですか……まあ、それで曲の方なのですが……」

「ああ、大丈夫。頭にしっかり入っているよ」

 刹那が人差し指で側頭部をトントンと叩く。

「ほう……」

「何度か聴いたからリズムは掴めるよ」

「さすがですわね」

 甘美が笑みを浮かべる。

「もちろん、細部を詰めるのは今後だけど……」

「……連休終わりに早速スタジオに入るようにしましょう」

「うん、それが良いね」

 刹那が頷く。

「皆さんの予定を合わせないいけませんわね……」

「昨夜、ホテルで話したけど……」

「はい?」

「この連休でバンドメンバーを集めようとしているんでしょ?」

「ええ、そういうつもりで、中国地方各地を周るようにしております」

「ボーカルと……」

「はい」

 刹那に指差され、甘美が頷く。

「キーボードとギター……」

 刹那がまだ騒いでいる現と陽炎を指差す。

「ええ」

「そんでベース……」

 刹那が自らを指差す。

「はい……」

「後はドラムか」

「そうですわね」

「でもさ……」

 刹那が言い辛そうにする。

「なんでしょう?」

「こういう町おこし的なイベントじゃあ、なかなかお目当てのドラムってのは見つからないんじゃあないかな……」

 刹那がイベント会場を見回しながら呟く。

「ふむ……」

「ドラマーって女でしょ?」

「ガールズバンドにこだわっているわけではありませんが……まあ、女4人のバンドに男性は入り辛いでしょうから……女性になるでしょうね」

「ならば尚更だよ」

「はい?」

「男のドラマーでも取り合いになるのに、女の、しかもそこそこ優秀なドラマーならそうそうフリーじゃないよ」

「そうですか?」

「そうだよ、大体どこかのバンドに所属しているって」

「……刹那さん」

「何?」

「わたくしはただのドラマーを求めているわけではありません」

「分かっているよ、そこそこ優秀なドラマーだろう?」

「いいえ、違います」

「え?」

「『なんか良さげなドラム』です」

「ア、アバウトだね⁉」

 刹那が戸惑う。

「……そんな方を探し求めているのです」

「い、いるかな?」

「あ、ちょうど他のバンドがリハーサルを始めようとしていますね……」

 甘美がステージに目をやる。

「♪」

「む⁉」

 甘美が音を聴いて顔色を変える。

「~♪」

「パッションを感じるドラミングですわね……」

「ん?」

 刹那が首を傾げる。

「~~♪」

「可愛らしさもあるドラミングだな……」

「おっ……?」

 現の反応に刹那がやや驚く。

「~~~♪」

「力強さも感じさせるドラミングだな!」

「! び、びっくりした……」

 陽炎がいきなり声を上げた為、刹那が驚く。甘美が尋ねる。

「刹那さんはどう思われます?」

「う~ん……どこか切なさもあるね……」

 演奏を聴いて、刹那が感想を述べる。

「……」

 演奏が一区切りし、ドラムが立ち上がり、甘美たちからも顔が見える。綺麗な長い黒髪をシニヨンの髪型にしている。黒髪の中に混じっている紫色のメッシュがどこか妖艶な雰囲気を漂わせている。美しい顔立ちで大人びた雰囲気を醸し出している。

「……良さげですわ……ヴィジュアルが」

 甘美が頷く。現と陽炎も同調する。

「結局ルックス⁉」

 刹那が声を上げる。

お読み頂いてありがとうございます。

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