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【第一章完】この厳島甘美にかかればどうということはありませんわ!  作者: 阿弥陀乃トンマージ
第一章

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第5話(3)マイペースなベース

「ええっ⁉」

 現が驚く。

「理想的なベースですわ!」

「ああ、なんていうベースラインなんだ……!」

 甘美の言葉に陽炎が頷く。

「一体どなたが⁉」

 甘美が周囲を見回す。

「いや、今リハーサルしているやつだろう……」

 現がステージの方を指差す。

「鋭いですわね、現!」

「誰でも分かることだろう……」

「見てみましょう!」

「おう!」

「どれどれ……」

 甘美と陽炎がステージを覗き込む。

「あ、あいつだ!」

 陽炎が指差す。

「ど、どなたですか?」

「あいつだよ!」

「あいつ?」

「ベースを持っているやつに決まっているだろう!」

「そ、それもそうですわね……あ……」

 甘美があらためて注目する。黒髪のショートボブに青色のメッシュが所々入った、長身で痩せ型の女性が目に留まる。

「ふむ……」

 甘美が顎に手を当てる。陽炎が尋ねる。

「どうだ、カンビアッソ?」

「……欲しい!」

「同感だぜ!」

「物じゃないのだから……」

 現が呆れる。

「現は良いと思いませんの⁉」

「いや、上手なベースだとは思うが……しかしな……」

 現が腕を組む。

「ならば!」

「あ! ちょ、ちょっと待て!」

 現の制止を振り切って、甘美がステージに向かう。ちょうどリハーサルが終わったところであった。甘美が青メッシュの女性に声をかける。

「そこの貴女!」

「……」

「青メッシュの貴女!」

「………」

「ベ、ベースの貴女!」

「……あ、ボク?」

 青メッシュの女性がようやく自分に声をかけられているのだと気が付く。

「そ、そうですわ!」

「…………」

「い、いや……」

「……何か用?」

 青メッシュの女性が問う。

「あ、貴女のベース、とっても素晴らしかったですわ!」

「……………」

「え、えっと……」

「……どうもありがとう」

「え、ええ……」

「それじゃあ……」

 青メッシュがその場から離れようとする。

「ちょ、ちょっとお待ちになって!」

「……何?」

「単刀直入に申し上げます! わたくしたちのバンドに入りませんか?」

「え、無理」

 青メッシュが即答する。甘美が面喰らう。

「ど、どうして⁉」

「どうしてって……今はこのバンドに入っているし、まあ、ヘルプだけどね……」

「正式なメンバーではないのでしょう⁉」

「それはまあ、そうだけどね……」

「ならばよろしいではありませんか」

「う~ん……」

 青メッシュが首を捻る。

「ど、どうですか?」

「やっぱり無理かな」

「む、無理⁉」

「うん、無理」

「わ、わたくしたちの演奏を聴いてはもらえましたか⁉」

「ああ、さっき聴いたよ」

「そ、それは如何でしたか?」

「結構……いや、かなり良いと思ったよ」

「そ、それならば!」

「だけど……」

「だけど?」

「無理だと思うな」

「ど、どうしてですの⁉」

「………個性がバラバラ過ぎるかな」

「そ、それはむしろ良いことでは⁉」

「それにしたって加減があるよ」

「加減⁉」

「うん、お嬢様然としたボーカル……」

「む……」

「リーゼントをキメたギター……」

「ロックだろうが!」

 陽炎が髪をこれでもかとかき上げる。

「極め付けは巫女さんキーボード……」

「き、極め付け扱い⁉」

 現が面喰らう。

「ポップスなのか、ロックなのか、はたまた和風か……方向性が見えないよ」

「む、むう……」

「というわけで、悪いけど……」

 青メッシュの女性がステージから降りる。現が呟く。

「いかにもマイペースそうだからな。性格的に合わないという判断か……」

「……気に入りましたわ!」

「なにっ⁉」

「ああいうブレない人が欲しかったのです! ベーシストとはかくあるべし!」

「ああ、そうだな! カンビアッソ!」

「と、とにかく、降りるぞ! リハーサルの邪魔に……ん?」

 現が周囲を見回す。スタッフや出演者がスヤスヤと眠っている。青メッシュの女性もベースにもたれかかりながら、器用に眠っている。

「こ、これは……! 恐らくはこの方の夢世界の影響! 行きますわよ!」

 甘美が青メッシュの女性をビシっと指差し、鈴を鳴らして、自分たちも夢世界に向かう。

お読み頂いてありがとうございます。

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