もしかしたらもしかするフィクション
時代背景は平成前半。
さっ、今日から高校生だ。
一緒に入学する同級生の中に、おんなじ中学出身なんていない。
皆んな割と親の言う事を聞いて地元の進学校や
私立高校へ行った。
あんなに、中学の頃は悪さして大人になっても一緒に居ようぜ!とかなんとか言ってたのに結局はこの結果だ。
そりゃ皆んな思春期のかわいい反抗期だったのだろう。
推薦や自己推薦とかなんとかでちゃんと大人しくしていって
制服だって腰下までずらして履くなんて事は
卒業式の日にはやらなかった連中なのだから
地元でいい噂のない工業高校になど行くはずがない。
それでも、初めて映画館でみた中学デビューの不良映画や
一世を風靡した不良漫画に憧れて
部活の顧問、担任、生徒指導主任、親、警察、反抗出来るものには全部反抗してきた自分は
一生一度の人生だ、などと思い上がりそういう高校へ進んだ。
周りを見ても、チラホラ目つきの悪いやつ、
すでに制服が着崩れているやつはいる、
だが、髪を茶髪に染めて入学式に出ているようなヤツはいない。
ひとつ気になるととすれば
自分は眼鏡をかけているぐらいだ。
どんな不良漫画を読んでも眼鏡をかけている奴はいても
身長が高く、ガタイがいい。
とある漫画に出てくる有名なキャラクターも色眼鏡だが、身長は高い。
何故かヒゲも立派に生えている。
しかも番長だ。
しかし、自分は身長は低い、ガタイも良くない、髭なんてもっての外。
唯一の武器である目つきが悪いだけだ。
周囲に人生で最強の精一杯のガンをつけて入学式を終えた。
教室に帰ると各々自分の席につき
担任が出席を取る。
思い上がり高校生の自分は
『はっ、担任は女か。余裕だな。』
などと思っていた。
これが、後に大きな番狂せを起こすが
まだまだ先なのでその時に伏線を回収しようと思う。
最初の席順は五十音順だ。
これはどこの高校も同じだろう。
おんなじ中学から上がってきた奴もいるのだろう。
近くの同級生とワイワイ話している。
自分は馴れ馴れしくなんかせんぞ、俺は不良になるんだ。
と、図々しく腕組みなんかして
話を聞いている。
やがて、HRが始まると今後の1日の流れなんかの説明があった。
表ではドンと構えて座っているが
内心では知り合いも居ない中でこれから
三年間をどう過ごすか、そもそも明日からを
どう過ごすかと流れなんかよりも他の心配でドキドキだ。
しかしそんな心配も他所に
なんの出来事も無く、初日は終わっていった。