episode 97
そんなことをニヤニヤしながら考えていると、あっという間に遊園地に到着した。
「良かった。無事に着いたね。ふぅー」
「運転、お疲れさまでした」
広々とした駐車場に車を停めた。日曜日ということもあって、まあまあ混雑している。
パスポートを購入し、園内へと入る。そのままぐるっと見て回って、壱花が乗りたいと言ったジェットコースターに並んだ。
が、ちょっと待て。ジェインは唾をごくりと飲んだ。
「ええっとぉ、壱花ちゃん? 俺もしかしたらこれダメなヤツかも」
ぎゅおおっごおぉぉっと大迫力に曲がりくねる、暴れ馬ジェットコースターを見て、ジェインが怯む。
「怖いですか?」
「うん」
即答。壱花がふふっと笑った。
「やめておきます?」
「うーん。初めて乗るからわかんないけど……ここまできて乗らないなんて選択、男がすたる! けど、やめていい?」
「ぷっ、あはは。良いですよ」
「壱花ちゃんはこのまま乗ってきて。せっかく来たんだから。俺は、壱花ちゃんが手を振ってくれたら、笑顔で振り返す役ってことで」
「いいんですか? わかりました。じゃあ行ってきます」
ジェインは列から離脱して、乗車口から少し離れたところを陣取った。壱花が並んだ列が、少しずつ前進していく。
ふと見ると、壱花が後ろの親子連れとなにか話していて、それからすぐにその親子と順番を入れ替わった。
どうやら壱花の前に並んでいた老夫婦は、その親子連れの祖父母のようだった。親子連れが、壱花に向かってペコペコとお辞儀している。
「壱花ちゃん、相変わらず良い人してるなあ。普通は老夫婦が後ろに回るだろう? まったくキミはお人好しなんだから」
口ではそう言ってみるけれど、心はほわっと温かくなっていく。
壱花がこちらを見る。ジェインが手をあげると、すかさず手を振り返してくれた。それも遠慮がちに。
「不思議だな。キミをこうして見ているだけでも、幸せな気持ちになるよ」
ジェインは腰高のフェンスに寄りかかると、腕を組んで壱花を見守った。
と、今度は後ろの男二人組になにやら話しかけられている。頼まれごとをしているとか、そんな雰囲気じゃない。
(なんだあいつら。ナンパか?)




