↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
85/163

episode 85

「ジェインさん」

「困らせてるとは思う……けど」

「…………」

「一緒にいたいだけなんだ」

長い沈黙があった。けれど、悪い雰囲気ではない。それはジェインも感じていた。ただ、やんわりな拒否の空気も感じるのも確かだ。

あまり無理難題を押し付けて、良かったはずの空気をぶち壊したくなかった。もうそろそろ自分が引かねばなるまい、そう思っていた矢先。

壱花が手で顔を覆いながら、「わ、かりました」と蚊の鳴くような声で言った。

もちろんその小さな声を聞き逃してはいない。やばい。マジで?

「ほんと? やった!」

心の中でガッツポーズ。

「じゃあ、一応用意はしてあるけど、足りないもの、なにを買えばいいかかわからないだろうから、まずは俺の部屋に行こうか」

「……はい」

(やば、マジで嬉しぃ)

天を仰ぐ。

まさか成功するとは思っていなかった。

壱花と一緒に夜を過ごすことができる。もちろん邪な考えは封印してある。だからこそ、信頼してもらっている、それが嬉しかった。

ただ、自分も男だ。欲はある。

あのフィッティングルームで、後ろからワンピースを当てた時、実のところ壱花の、あの細い首筋にキスがしたかった。そして、頬へと唇をそっと押しつけていきたかった。それをぐっと我慢した。

だから。

(もちろん我慢だ。ここで信頼をなくすなんてバカなことはしたくない)

ここでやらかしたら、すべてがおじゃんだ。

自分のなかにある鋼鉄の意思を改めて確認し、ジェインはレストランを後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。