episode 33
自己肯定感も低いし自己主張も薄い。この引っ込み思案な性格でフリーランスはキツイぞと思いつつも、応援したいという気持ちは変わらない。
「君が描くイラストが気に入ったんだ。壱花ちゃん、君じゃなきゃできない仕事を頼みたい」
ジェインが真っ直ぐな視線を向けて、壱花に語りかける。
「えっと、面接は……」
「もう済んだようなものだけど、仕事仲間の八海には後で紹介するね」
「仕事まで紹介していただいて、ありがとうございます」
そして、コーヒーやハーブティーのお代わりが運ばれてくる頃には、壱花はようやく顔を上げジェインを見ることができた。
それを見計らって、ジェインがタブレットでオンラインに繋げる。
「八海、会ってもらいたい子がいるんだけど」
タブレットのカメラを反転させる。緊張気味でかちこちな壱花が、「柊 壱花と申します」と頭を下げる。
すると、画面からはああああぁっと、わざとらしい大きなため息が聞こえて来た。
『……ジェイン、おまえ仕事もせずにまたナンパしてんのか?』
「八海、ナンパじゃない。仕事中だ」
『だったらなんだ?』
「イラストレーター。俺がスカウトした」
『……なんだよー。スカウトする前に相談しろよっ』
「悪いな。流れ的に俺がビズリーチな。今からおまえも面接してくれ」
『はあぁ、おまえにはまじ振り回されるなあ。わかったわかった。じゃあ採用で』
「おい、めんどくさがるな!」
『いやあ、だってジェインが決めたんだろ? だったら間違いなしだ。柊さん、一応履歴書送ってください』
「は、はい! ありがとうございます。よろしくお願いします」
そして、終了する。
電子契約書にサインしてもらい、八海に送った。
「じゃとりあえず明日、名古屋支社に来てもらってもいい? あとで社のHPのリンク送るね」
「わかりました」
おずおずと、壱花が話を続ける。
「あの、ジェインさん……やっちゃんのこと、本当にごめんなさい」




