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episode 24

✳︎

なんて優しい人なんだろうと、壱花は思った。それが和田弥一(わだやいち)の第一印象。

同じ大学の同じサークル。テニスサークルの名はあるが、時々テニスをし、時々旅行や飲み会をする遊びサークルだ。男子は盛り上げ役、そして女子はそれをさらに煽ってわいわいと騒ぐ。同大学では、ダントツに華のあるサークル。

「大学に入ったら、私も社交的になりたい! 高校では陰キャで通しちゃったから、大学でデビューしたいんだ」

アニメやマンガ好きだった親友が、そう宣言して髪を明るい色に染め上げ、毛先に青のメッシュを入れた。

「え、イラスト研究会に入るんじゃなかったの?」

壱花がそう訊くと、親友が顔を曇らせ、そして謝罪の言葉を口にした。

「ごめん壱花。私やっぱりテニサーに入ることにする。イラスト同好会とか活動地味だし、いくらマンガが好きって言っても私、壱花と違ってイラスト描いてるわけじゃないし」

「でもイラスト描くばかりじゃなくて、たまに映画も行くって言ってたよ。楽しそうだったけどな」

壱花は持っていたパンフレットを握りしめた。

「うんまあ壱花にとっては楽しそうかもしれないけど……でもやっぱ私はテニサーにする!」

「……そっか」

イラストを描くのが好きで、時々マンガを描いたりしている壱花には、運動部は範疇外。高校からの親友と呼べる友人とキャンパスライフを楽しみたかったが、趣味が違うなら仕方がないと自分を納得させた。

「それでね、新歓コンパっていうのがあって、サークル員の顔合わせなんだけど……」

親友がいきなり顔の前でパンっと手を合わせ、合掌ポーズをする。

「壱花お願いっ! その新歓コンパについて来て!」

まさか。確かに元陰キャな自分たちにとっては、飲み会への参加のハードルは高い。

けれど。

「え⁉︎ 私? ……テニスサークルなんて入れない……」

「そんなん入らなくていいから! 飲み会だけ出てもらって、後からやっぱやめましたって言っておくから。全然OK! そこんとこは大丈夫」

そんなわけで、連れていかれた初めての新歓コンパ。そこで出会ったのが、当時サークルの副会長の弥一だった。

「それじゃ改めて。ようこそ新人さん。うちを選んでくれてありがとう! 今日の出会いを祝して、かんぱーーい!」

みな、ビールやカクテルを飲んで、大盛り上がりだ。弥一は、その席で唯一、あんま飲みすぎないようになと、みなを諌めて回っていた人だった。その姿を見て、壱花は最初、細やかな配慮のできる優しい人だなと、感心していた。

「おい、壱花ちゃんはまだハタチじゃないんだから、酒なんか飲ますなよ!」

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