1託された願いに
私は何年眠っていたのだろうか?
人同士の争いに巻き込まれ、狐人族は窮地に陥った。
私は族長から最後の希望を託された。
そして私は、狐人族最古の魔法よる封印を施された。
古代魔法によって、私の体の状態は老いることなく、朽ちるこもない、深い眠りに落ちた。
「願わくば、豊かで、争いのない、全ての種族が共存できる平和な未来を生きてくれ」
そんな願いをかけられて、私は未来を託される。
眠りから目覚めた私は、辺りをきょろきょろと見回した。
みんなはどうなったのか?封印の祠から出ると、周りは森。
祠自体も大きな大木に包まれて、まるで祠を守っているようだ。
あれから何年経ったのだろう?
祠から見渡す村の景色が好きだった。
もう、あの景色は見ることができない。
みんなのいない世界を、これから一人で生きなきゃいけない。
母様、父様、族長、村のみんな、私はこれからどうすればいいの?
寂しい。
もう会えないんだ。
怖くなった。
体を震わせて、涙が溢れてきた。
ごめんなさい、ごめんなさい、私だけ生き残って。
私は声を上げて泣いた。
一頻り泣いた私は、体が熱を発していることに気付いた。
服の下の何かが光輝いている。
狐人族にまつわる巫女服の帯を緩めた。
光っていたのは、おへその少し下。
私の体に託された紋章、狐人族にまつわる最後の希望。
紋章は赤く光を発している。紋章に触れると、たくさんの記憶が頭に流れ込んだ。
狐人族の全ての記憶が。
そうだった。私は託されたんだ。みんなから託された命に恥じないように生きなきゃいけない。
前に進まなきゃ。