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異世界へのすゝめ  作者: 相坂ねび
1章 リアル過ぎるVRはゲームと言える?
9/112

貴族のち初生産

 魔力操作の練習をしながらゆっくり商店街を進む。朝は結構混雑しているなぁ、野菜や果物を買いに来てる人が多いみたい。とれたてとか美味しいもんね。

 地図を見る限りこの街は内陸にあるから魚は売ってないみたいだけど、代わりに森が近いからか肉が豊富だね。


 清々しい気持ちで噴水広場まで来たけど…これはなんだろ、スラム街の住人たちが占拠というか、荒くれもの経ちがたむろしているというか…

 これ以上ここにいると気分を害しちゃうから図書館前の高台から風景見てるかな、練習もまだ慣れないから落ち着いて出来る場所のが効果あるかもだし!


 思い立ったが吉日、というわけで高台に到着したよ!

 やっぱここの風景は良いねぇ…風が気持ちいいし、ちょうどいい所に座るところがあるから住人も見に来てるんだなぁ。

 循環は歩きながらでも問題なく出来るようになってきたから、今度は細部にまで意識しながらするかな。あと、ここなら放出するのも問題なさそうだし!


 風景を見ながら目の前に魔力の塊を出現させる。これの形を変えられるようにする練習だ。具体的な事は聞いてないけど、意識すれば動かせるものだからイメージが重要なのかな?

 むむむ…イメージしなきゃって思うほど慌てて上手くいかない…基本的な図形から…丸、四角、三角…円柱、円錐…ふぅ…とりあえず休憩するかな、ってまだあまり時間が経ってないみたい。もう一度最初から練習しようとした時


「こんにちは、いい天気ですね。お隣座ってもよろしいでしょうか?」


 ビクッ!?あぁぁぁ、魔力が霧散しちゃった…慌てて振り返ると思わず固まってしまった。


「あら…すみません、練習の邪魔をしてしまいましたか…申し訳ございません…」


「いえいえ!?お気になさらず!まだまだ練習を始めたばかりなので未熟なだけです…」


 そう謝り、改めて女の子を見る。14、15歳くらいかな?ゆるくウェーブのかかった金髪に紫のベールが付いたヘッドドレス、コサージュなのかな?首元に黒いリボンの付いた白いブラウスに胸の下から黒いスカート、同色のサッシュベルトを後ろで蝶結びにしていた。


 あ…これどう考えても貴族だ…後ろにメイドさんが控えているし…どうしよ?

あれこれ考えていると女の子が急に笑い出した。


「ふふ、大丈夫ですよ?取って食ったりはしませんので安心してください。」


 こちらの不安が分かったのかそう言ってくれて助かった…


「ありがとうございます…隣、大丈夫ですよ?」


 なんとか返事をしたが緊張してしゃべれない…


「普段通りのしゃべり方で大丈夫ですよ?公の場所じゃありませんし私も砕けて話していますし。」


「あー…すみません…普段ならもうちょっと話せるのですが…貴族様を相手にしたことがないので…」


「ではまずはお互い自己紹介しましょ?そうすれば気安く接することもできますわ!

私はラナといいます。歳は15、ここへ来たのは毎日お散歩する場所だからですわ。」


「えっと、僕はワタリ。歳は20です…昨日からこの世界に来た流れ人で魔力を扱う練習を散歩しながらしていました。最初、噴水広場に行ったのですが騒がしかったのでこの風景を楽しみながら練習していました。」


「あら…あなたがあの流れ人なのね!」


 あれ…?僕のことを知ってるのかな?


「あ、私達にも色々と情報を共有する術があるのよ?流れ人の中で可愛い男の子が魔力を練習するって伝わっていたの。 まさかこんなにすぐ会えるとは思わなかったわ!」


 ありゃ…テオが報告したのかな…変なこと言ってなければいいのだけど…


「そうだったのですね…まだまだ魔力の扱いがスムーズに行かなくて難儀しています…」


「そうでもないわよ?驚いたときもしっかりと循環出来ていましたし、あとは慣れだと思いますわ。」


 比べる人がいないから分からなかったけど、そうなのかな?でも、この技術はこの世界なら当たり前のように出来ることだろうし評価されるのは嬉しいな。


「そうなんですか?ありがとうございます!師匠にあたる人に無意識にも出来るように意識するって言われたのですが、自分では出来ているか確認が難しくて…」


 そう言うとラナさんは


「ワタリさんは毎日ここにお散歩に来ますか?もしそうなら私が僭越ながら確認しますが…どうでしょうか?」


 願ったりかなったりなんだけど…貴族の令嬢的に大丈夫なんだろうか…?


「こちらとしては嬉しいのですが、ラナさんの安全性とか大丈夫なのでしょうか…?それに僕は流れ人なので毎日は無理ですし…」


「心配してくれてありがとうございます。後ろに控えている付き人は護衛でもありますの。ん-…でしたらフレンドカード交換しませんか?そうすれば連絡も取れますし。」


「それなら是非お願いします。一人での練習はなかなか難しいので…」


「お嬢様、そろそろ…」


「もうそんな時間ですか…それではワタリ、またここで会いましょう。」


 そう言い残してラナさんはスカートを翻し去っていった。


 ふぅ…緊張したぁ…でも貴族って考えなければ年下の女の子なんだよね…

しかも進捗チェックしてくれるのは助かる。無意識に出来ているかってのもわかりづらいもんね…現地人とこれでフレンド2名か、二人とも可愛いんだけど恐れ多い立場の人で粗相してないかドキドキする…


 そろそろ時間だし戻るかな、途中で焼き鳥みたいな串をテオの分も一緒に買っていいこっと。教えてもらっている立場からすると相手の時間を割いてもらっているのも悪い気がしちゃうし、何か対価というかあったほうがこちらも気が楽だからね。


 ギルドに戻るとテオが嬉しそうに迎えてくれた。一緒に串を食べて、午後の準備をする。


「じゃあこれからいよいよ錬金術の基本であるポーション作りだよ!薬師ギルドでも作っているけど、大量生産になると錬金術の分野なんだー!まずは午前中にどのくらい魔力操作が出来るようになったか見せて?」


 僕は魔力を体に巡らせる。この時、しっかりと細部まで行きわたるように、そして均一になるのを心掛ける。


「うん、しっかりと出来ているね!ムラなく出来るようになっているとは思わなかったけどこれならスキルにも表示されてるんじゃないかな?」


 そういえばギルド証に自動で登録されるんだっけ?今まで確認しなかったんだけど…


所属:錬金術ギルド

階級:F(S~Fの7段階)

称号:流れ人の良心

スキル:錬金1、言語理解、植物鑑定1、生物鑑定1、魔力操作2、


 なんか色々ついてるんだけど…これは図書館でしっかり読み込んだからかな?

お、魔力操作が2になってる!なんかこうやって頑張ったことが評価されるのは嬉しいなぁ!


「スキル確認したのですが、魔力操作のほかにもありますね…スキルってこんなに簡単につくものなのですか?」


「ん?ほんとだ!なぁなぁとか真面目にやってなかったらスキルは付きにくいよ?これはワタリがしっかり頑張ったからだね!わたしも嬉しいよ!」


 褒められることがなかったからすごく嬉しいし、テオが心から祝ってくれてるのが分かると恥ずかしくなってくる…


「か、確認しましたしテオさん錬金術を教えてください!」


「そうだね、さっそく始めよう。魔力操作が必要なのは器具に浸透させて使ったり、素材の劣化を防ぐために膜を張ったり、合成させるために魔力の分子を繋ぎ合わせたりするからだよ!」


 なんかいきなり難しそうなんだけど!?でも、実験とかでも不純物を抑えたり料理でも油で膜を張って炒めるとか、金属で考えると合金とかあるもんね。


「まずはポーションなんだけど、通常のやり方は後日薬師ギルドで聞いてね?そのあたりのイメージでも錬金術の結果は変わるから。先にわたしが見本見せるね!」


 慣れた手つきでテオは作業を進める。水をフラスコに入れ薬草らしきものがいきなり粉末状になり、それをフラスコに入れていく。そしてかき混ぜると少し光った。


「これで完成だよ!これは1個ずつ作るやり方だけど錬金術に慣れてくると複数個一気に作れるようになるよ!ただ、完成品は均一で特別出来がいいとかはないから注意ね?まぁ、薬師ギルドでも高速化などで品物作れるし、錬金術では魔力を消費するから大量に作る際は気を付ける必要があるよ!」


 なるほどなぁ…薬師ギルドは手作業だけど魔力いらず、錬金術だと魔力消費で生産っと…どっちも役目があるからお互いが必要なんだね。


「それじゃ次はワタリがやってみよう!質問はチャレンジしてからね!」


 そう、まずは何が分からないのかを理解しなきゃいけない。

 テオがまずやっていたのは…

・フラスコに水を入れる→これはそのままなんだろうか?

・薬草が粉末になる→多分粉末なら乾燥させて細かくしたのかな?

・フラスコに入れてかき混ぜ→たんに混ぜるだけなら錬金術じゃないから魔力を入れた…?

 水の温度とかは関係なさそうだから…念の為フラスコに魔力を這わせて水を入れてっと。次は粉末に…どうやればいいかな?魔力を薬草に浸透させて水分を追い出す感じで…あとはぱりぱりになったのをゴリゴリと砕いてっと…魔力に属性変換出来たら風とかで粉末に出来るのかな?

 あとはこの粉末をポーションに入れて、かき混ぜる!多分魔力を注入なんだろうけど…どれくらい入れればいいんだろ?とりあえずいけるとこまで入れる!


 あれ…なんか目の前が暗く…なって…


「あ、危ない!」


 テオの声が聞こえたけど、僕は意識を失った…



「無茶するなぁワタリは…でもそこが凄いんだけどね。わたしの弟子になってくれてありがとう。」


 そう言ってわたしはワタリが作りだしたポーションを見る。

素材は通常のポーションを作るものだけど、これは1段階上と同等の回復量になる。


「一発で作れるとはね…これは将来が楽しみかも!ただ、自分の魔力量と制作に必要な最低限の魔力をしっかり身につけさせないと!」


 魔力欠乏症は危険だからね、ちゃんと線引き出来るようにならないといざというときに気絶しちゃうし。多分このまま流れ人の眠りに入ってしばらく起きないだろうし部屋に連れて行かないと!


 ふふ、またみんなに自慢しちゃおうかな!


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