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 俺とメアリー様は執務室で、使用人が持ってきた魔獣について書かれている報告書を見ている。


「ハァ~……どこのバカかしら、黒染めイタチの封印を解いたのは」


 頭を抱え、ため息を吐くメアリー様。

 俺自身、初めて聞く黒染めイタチという魔獣について書かれている報告書を見て、黒染めイタチの事を知り、本当にどこのバカが封印を解いたのか、封印を解いたやつをぶん殴りたくなる。

 報告書にはこう書いてあった。


 

 黒染めイタチ。

 大きさは普通のイタチと同じぐらいだが、雑食で人さえ食べるほど獰猛。

 様々なものを食べ栄養を貯めた後()()()()

 分裂した個体も分裂でき、倍々に増えて辺りを黒く染めるため、黒染めイタチと呼ばれている



「……メアリー様、何ですかこのヤバイ魔獣は」


「ハァ~、本当に面倒な事になったわ。……私が親から任されているこの屋敷と領地から、かなり離れた所にある洞窟に黒染めイタチが封印されていたの。そのため、洞窟付近には決して近づかないようされていたのだけど、誰かが封印を解いたのでしょうね……犯人を見つけて絶対に殺してやるわ」


 拳を握りしめ、メアリー様が殺気立っている。

 それを見た俺は、俺自身に殺気が向けられていないのに、怖くてぶるりと震えてしまう。

 黒染めイタチの封印を解いた者はメアリー様によって絶対にろくな死に方が出来ないな。

 俺は心の中で封印を解いた者に合掌する。

 どうか楽に死ねるよう頑張ってください封印を解いた誰かさん。


「メアリー様、この報告書に書かれている通りならすでに大多数の黒染めイタチが確認されてますが、どうやって黒染めイタチを討伐するんですか? 百匹いたとして、一匹でも倒し損ねたら、分裂してすぐに数が増えると思うのですが?」


 黒染めイタチの恐ろしい所は分裂だろう。

 討伐に失敗して一匹残しでもしたら、分裂して増えていくので絶対に全滅させないといけない。

 現在、どのくらい黒染めイタチが数を増やしているか分からないのに、メアリー様が治める広大な領地の中から黒染めイタチ全てを探すなんて不可能だ。

 一体どうすればいいのだろうか?

 

「……黒染めイタチを全滅させる方法は一応あるわ。黒染めイタチは、分裂体ではなくオリジナルの本体を殺せば、全ての分裂体が死ぬわ。だからオリジナルの黒染めイタチを殺せば全滅させることが出来るのよ……」


「……え……それ無理ですよね……」


 黒染めイタチのオリジナルを殺せばいいとメアリー様は言うが、どのみち広大な領地から黒染めイタチを探さなければならない。

 それもオリジナルの一匹だけを。

 全部を探すよりは簡単かもしれないが、正直言って五十歩百歩だ。


「シン、あなたには何としてもオリジナルの黒染めイタチを見付けてもらうわ。これは命令よ」


「そんな……無茶な……」


 急に俺は、無理難題な事をメアリー様に命令された。

 メアリー様は一体どういうつもりなんだ? そんなこと無理に決まっている。

 何処に居るかも分からないオリジナルの黒染めイタチを見付けれる訳がない、と俺はメアリー様に反論しようと一歩踏み出す。


「やりなさい」


 反論など許さないとばかりに、メアリー様に笑顔脅され、体を硬直させて黙る俺。


「……」


 反論なんて出来る訳がない。

 メアリー様の笑顔には、俺に何も言わせない圧があった。

 俺は気圧され思わず一歩下がってしまう。


「ご主人様が命令しているのよ、喜んで引き受けなさい」


 俺に拒否権はない。

 どうする事も出来ないと分かった俺は、気分が急降下していき、頭を抱えて溜め息を吐きながら命令を嫌々受け入れる。


「ハァ~。精一杯頑張らしてもらいますメアリー様」


 メアリー様にそう言い頭を下げる。

 

「ふふふ、良い子ね!」


 メアリー様は上機嫌な声で下げている俺の頭を優しく撫でる。

 頭を撫でられるだけで急降下していた気分が急上昇する俺は、色々と重症なのだろうか?

 …………うん、間違いなく重症だな…………


「期待しているわシン、頑張りなさい」

 

 メアリー様からの応援を背に、命令が成功した暁には、貴族の弱味を見付けた分も合わせてメアリー様によるスゴイご褒美を絶対に貰うと心に決め、拳を握り締める。



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