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 俺が分裂体の黒染めイタチから記憶を見て一週間が経った。

 

 記憶を見た後、特徴的な真紅の花と滝の二つがある場所を探せばオリジナル体の黒染めイタチが直ぐに見付かると楽観視していたが、そう上手くはいかなかった。


 あの後この村で『真紅の花』について聞いていくが、誰一人知っている人はいなかったのだ。

 これには俺も驚き、……マジか……と肩から崩れてしまった。

 こうなったらもう一つの情報、『近くに洞窟がある滝』、この条件が当てはまる場所がないか再び聞いて回り、何とその条件が当てはまる場所が十二件もあったのだ。


 一見そこまで大袈裟に言う数字ではないと思いかも知れないが、一つ一つの滝が数キロ先にあり、その場所に向かうにも手漕ぎ船で連れていってもらうか徒歩しかない。

 馬で行けるなら早いかも知れないが、この辺りは沢山の川が流れる水の多い地域。馬で行くことが出来ないのだ。


 この村から目的の滝まで往復するだけで一日は掛かり、たった今七個目を見てきた帰りで、俺はくたくたである。

 疲労困憊の俺は宿で取った部屋のベットに目を瞑り体を預け、ただ一言。


「メアリー様に会いたい!」


 心からの叫びだ。


 もう二週間近くメアリー様には会ってはおらず、可愛くも美しいその声を聞きたい。


「……メアリー様……」


「呼んだかしら?」


 …………


 ヤバイ、とうとう俺は幻聴が聞こえ始めたようだ。

 毎日のように走り回り、黒染めイタチ以外にも魔獣は存在するのでそいつらと戦い、目的の滝にオリジナル体がいなかったら村に戻る。

 この繰り返しを一週間、結構ガチで疲れている。肉体的にも精神的にも。

 

「シン、主人が返事をしたのよ、そんな態度でいいのかしら?」


「……ヤバイまた聞こえる、大好きなメアリー様の声が……」


 どうやら俺は末期のようだ。

 まるで近くにいるかのように声が聞こえる。


「シン、その大好きな主人を無視するとはいい度胸ね……」


 ……何かがおかしい……


 メアリー様の声どころか、ピリピリした圧まで感じてきたぞ?

 まさか、という思いと共に恐る恐る目を開け入の方に目を向ける。

 

 ……そこにはニッコリとしたメアリー様が立っていた。

 笑顔のはずなのに怒っているように見えるのは間違いだろうか?


「ようやく気付いたわね。これ以上ふざけた態度を取っていたら痛いめにあってもらおうかと思ったけど、ちょっと痛い目で許してあげるわ」


 そう言うメアリー様の右手からビリビリと電気が走っている。


 ……やっぱりメアリー様、魔法を使えたんですね……

 

 前に助けてもらった時の事を考え使えるとは思っていたが、実際に初めてメアリー様が魔法を使う瞬間を目にした。


「……すいません……」

 

「許さない!」


 ニッコリと笑顔でメアリー様が俺に向かって魔法を放ってきたが、俺が悪いので黙ってメアリー様の魔法を受け入れる。


「ピギャッ‼」

 

 焦げた煙を上げて、俺は床に倒れ伏せるのであった。


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