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1.勘違い判明。









「ボクを、テスト……?」

「そう! 私のパーティー【ファントム・レディース】に入るだけの資格があるか、見定めさせてもらうわ!!」

「………………」


 ボクは少しだけ考えて、決断した。


「分かったよ。よろしくお願いします!!」



 ボクはもう、なりふり構っていられないのだから……。




◆◇◆




 ――ダンジョン中階層。

 薄暗いそこには、ある程度の魔力が充満していた。

 ボクとリーシャは黙々と奥へと進み、手ごろな魔物を探す。


「アタシのパーティーではいま、前衛をできる人材を探していてね? なんでもできる、っていうニアの言葉を信じるわ」

「う、うん! 合格できるように頑張るよ!」


 ボクはリーシャのパーティーに入るため、テストを受けることにした。

 お荷物扱いをされていたこちらとしては願ってもない展開。是が非でもここは合格を勝ち取って、冒険者としての生活を続けなければ。




 そう思って彼女についてきたのだが、何やら周囲がおかしい。




「あれ、なんだか魔力が濃く――」

「しっ! 静かに! ……これは、少しマズいかもね」


 そのことに、リーシャも気づいたようだった。

 こちらに制止をかけて、周囲に注意を払う。


「本当はもっと弱い魔物で試そうと思っていたけど、そうはいかなくなったらしいわ。ニア? アンタは無理をしなくてもいいから、ダメなら逃げてね」

「え、それって――」

「きたわ!」



 そして、彼女がそう言った瞬間だった。



『シャアァァァァァァァァァァァァァ!!』



 薄闇の中から、大きな魔物が姿を現したのは。

 身の丈はボクらよりも遥かに大きく、十メイル弱といったところ。長い首に、背中には翼が生えている――間違いない、アレは【ドラゴン】だった。

 本来ならより下層にいる魔物のはずだが、異様に濃い魔力。それによって、この階層まで登ってきたのかもしれない。


「ちっ! しかも、一匹じゃないわね……!?」

「……たぶん、五体はいるよ」


 ボクは冷静に周囲の魔力反応を探った。

 すると、同等の反応がさらに四つ。こちらを取り囲むようにして、現れた。


「ニア、悪いわね。もしかしたら――」

「リーシャは下がってて。ここはボクがどうにかする」

「――え、ちょっと!?」


 ボクは腰から短剣を引き抜いて、駆け出した。

 背中に少女の困惑した声を受けながら。



◆◇◆



 ――その少年は、まさしく光だった。

 そう見紛う速さで、ドラゴンを屠っていく。短剣に魔力を流し込み、その強度を遥かに上昇させる。そのことによって、並大抵の剣では切り裂けないドラゴンの鱗を、ケーキを切るより簡単に……。


「嘘みたい。なんなの? ――いったい、ニアは何者?」


 リーシャはその戦いを、ただただ唖然と見守っていた。

 自分一人では到底かなわない、そんな強さの魔物を、ニアは単独で次々と倒していく。最終的に、ドラゴンの叫びによって集まった他の魔物も加え――合計で、十四体。明らかに高ランクの魔物もいたのに、ニアはいともたやすく……。


「ねぇ、リーシャ?」


 そんな規格外の戦いを演じてみせた人物は、笑顔で彼女を見た。

 そして、こう言うのだ。



「ボク、合格かな……?」――と。




◆◇◆




「合格出来て良かったよ。これで一安心だ」

「合格も合格、大合格よ? まさかこんな可愛い顔をした子が、こんなに強いとは思わなかったわ……」

「あはは、よく言われるよ」


 ボクはリーシャの後について歩く。

 テストに合格したので、仲間に会わせてくれるらしい。そんなわけだから、ひとまず彼女が泊っている宿へと向かっていた。


「それにしても、こんなに強い【女の子】がいるなんて。聞いたことがなかったわ」

「…………ん?」


 あれ、でも今――なにか、おかしな言葉が聞こえたぞ?

 ボクが首を傾げていると、どうやら宿についたらしい。リーシャはこちらの様子には気づかずに、どんどん中へと入っていった。

 慌てて追いかけると、エントランスには二人の冒険者の姿。

 両者ともに、女性だった。


「ニア、紹介するわ。魔法使いのナオに、治癒師のマーズよ」

「え、あの……」



 嫌な予感がした。

 そして、それの正体をリーシャに確認しようとした時だった。



「ようこそ【ファントム・レディース】へ!」



 彼女が、こう名乗りを上げたのは。




「このパーティーは、女性による女性のため、そして女性だけで構成される。男子禁制の清廉なチームよ!!」――と。



 ボクは、しばし硬直して。



「ええええええええええええええええええええええええっ!?」





 そう、叫ぶのだった。



 



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― 新着の感想 ―
[良い点] ふんいき。 [気になる点] ドラゴン殺し、勧誘の子視点なのに「少年」になってる。 過去話とかならよいのだけど、違うなら「『少女』」とか「少女に(・・)ルビ入れ」だと気持ち良い。 [一言] …
[良い点] 2/2 ・なるほどこういう流れなのですね。 [気になる点] なぜか早い段階でバレそうな気がするw [一言] 可愛い
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