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プロローグ 可愛すぎる冒険者。





「え、どうしてボクがクビなんですか!?」

「いや、そのだな。申し訳ない……」

「理由を聞かせてください!」


 ある日のことだった。

 ボク――ニア・リードはパーティーリーダーからクビを言い渡された。

 しかし、おかしい。なぜならボクには、一つも落ち度はないのだから。リーダーに詰め寄ると、彼はなぜか頬を赤らめて視線を逸らした。


「お願いです、理由を――」


 このままではダメだ、納得がいかない。

 そう思ってボクが声を上げようとした時だった。



「可愛すぎるんだよ! お前を見てると、胸がドキドキするんだ!!」

「へ……?」



 強面のリーダーが、女の子のように顔を顔を隠して叫んだのは。


「あの、それってどういう――」

「どうもこうもねぇよ!! みんな、お前を見てるとこう――気持ちが変な方向に燃え上がっちまうんだよ! 自覚してくれよ、自分が可愛いってことに!!」

「えー……?」


 他のメンバーを見てみると、みんなモジモジとしていた。

 どういうわけか前かがみになっている。


「でも、それはいくらなんでも……」

「うるせぇ! このままじゃ、俺たちは一線を越えかねないんだ!! 理性を保てているうちに出て行ってくれ、お前のためでもあるんだ!!」

「え、あ、はい……」



 そうして、ボクはクビになった。





「一人になっちゃったけど、どうしよう……」


 翌日になって。

 ボクはパーティーメンバー募集をかけて、ギルドの前で立ち尽くしていた。

 理由が理由だけに、どう説明したらいいのか分からない。そんなわけだから、クビになったという文言だけが先行して、ボクは無能の烙印を押されていた。


「人、こないなぁ……」


 空を眺める。

 鳥が数羽、追いかけっこをしていた。


「ちょっと、アンタ?」

「へ、ボク……?」

「そうよ、アンタよ。ふーん、募集か……」


 そんな長閑な光景を眺めていた時である。

 声をかけてきたのは、一人の女の子だった。肩ほどで切り揃えられた金の髪に、蒼い瞳。背丈はボクと大差なく、装備から見るにクラスは剣士だろうか。

 腰にあるのはその身の丈半はあろうかという剣だったが、器用にボクのことを色んな角度から確認している。そして、少し考えてから頷くのだ。


「よし、まずは合格! ――アンタ、名前は?」

「え、ボクはニア……だけど」

「アタシはリーシャ! ニア、アンタにはこれから――」



 少女――リーシャは、背丈のわりに豊かな胸を張ってこう言った。







「アタシのパーティーに入れるか、テストを受けてもらうわ!」





 それがボクと、彼女の出会いだった。


 


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― 新着の感想 ―
[良い点] 1/1 ・はい面白かったです! [気になる点] 可愛い [一言] 可愛い
[良い点] 出だしからグイグイ来るぅ~♪ [気になる点] 本当に男なのか?www [一言] 楽しみです♪
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