現在─曇りのち雨─屋上にて
太陽は雲に隠れ、空気はじめじめとしていて、
すぐに雨でも降りそうな天気だった…
──────亜白高校屋上、
「…どうしたの?急に呼び出したりなんかして…」
「………」
何か言わなきゃ…友華も困ってる…
「綾…?」
「あ、あのさ…」
彼女は不安げにこちらを伺っている…
「今さら…かもしんないよね…
けど、私謝るよ…
今まであんな態度とったりしてさ、
ごめんね…」
そう言ってあたしは頭を下げた…
ただ…友華の目を直視できなかったからかもしれない…
「雪希が謝ることじゃない…」
────え?
「どうして…」
「悪いのは雪希じゃないよ…」
何を言ってるんだろう…悪いのはあたしだよ…
だって…………
「あたしが雪希を傷つけたんだから…
だから…悪いのはあたしだよ…」
そんな…違う…
違うよ…友華…
「友華…」
「ほら、その眼…悲しそうな瞳…
全部あたしが傷つけたんだよ…
わかってたのに…
なのに雪希の気持ちをふみにじった、
あたしに否があるんだ!!」
友華は、続けた───
「あたしが、あたしが…
雪希を一人にしたのもあたし…」
────知らなかった…
まさか友華が…そんな…
「雪希の教科書をずたずたにしたのも、
黒板にあんなことかいたのも、
雪希から友達みんな奪ったのも…」
────全部…あたしなの…
信じられなかった…
まさか…まさかこんなこと…
「ふふ…」
「…ゆ、雪希…?」
「ふはは…はは…あはははは…」
笑ってしまう…
────今までの苦しみは??
────今まで信じてたあなたは??
────今まで生きてきたこの人生は??
全部…全部虚構だったの??
全部…あなたが造ってきたものだっていうの??
涙もでない…
こんな自分が惨めで惨めで…
今までずっと探してきたもの…
不確かな…でもかすかには感じとれる。
そんな爽な、小さな、でも時々大きな希望は……
あれは全て嘘だったというの…??
「友華は…あたしが嫌いなの…??」
「わからない…」
「じゃあ、なんで…!!」
「わからないのよ!!!
……ただ…
もう苦しいのよ…
あなたを傷つけることが悲痛なの…」
────彼女が言わんとしていることがわからない…
「─────────!!
だからわからな──った─よ!!!
でも─う…元──にはなら──の…
あ─しが…壊し──まっ───…!!」
急に吹き込んだ風のせいで、
彼女が言った言葉を聞きのがしたが…もう遅い…
彼女は叫んだあと、
すぐに屋上を走って出ていったから…
なお続く彼女の余韻…
久しぶりに彼女と会話した…
机の中に屋上に来て欲しいと一言かいた手紙を入れたとき…
来てはくれないのだろうと思ってた…
だから彼女を待ってたとき…
屋上にあの重い鉄の扉が開かれる音がしたときは、
本当にびっくりした…
一瞬誰かと本気で考えてしまったくらいだから…
最後に、屋上から雨雲を眺めながら、彼女とした会話を思い返す…
高三になるまで…
いや、卒業するまでか、それからずっと…
人生最後になるかもしれない彼女との会話…
『─────────!!
だからわからな──った─よ!!!
でも─う…元──にはなら──の…
あ─しが…壊し──まっ───…!!』
彼女はなにを叫んだのだろう…
あたしは…あたしはいったい──────────