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rain  作者: 絲色
1/1

現在─曇りのち雨─屋上にて

太陽は雲に隠れ、空気はじめじめとしていて、

すぐに雨でも降りそうな天気だった…




──────亜白高校屋上、



「…どうしたの?急に呼び出したりなんかして…」



「………」


何か言わなきゃ…友華も困ってる…

「綾…?」


「あ、あのさ…」

彼女は不安げにこちらを伺っている…




「今さら…かもしんないよね…

けど、私謝るよ…

今まであんな態度とったりしてさ、

ごめんね…」



そう言ってあたしは頭を下げた…

ただ…友華の目を直視できなかったからかもしれない…


「雪希が謝ることじゃない…」

────え?


「どうして…」

「悪いのは雪希じゃないよ…」


何を言ってるんだろう…悪いのはあたしだよ…

だって…………



「あたしが雪希を傷つけたんだから…

だから…悪いのはあたしだよ…」


そんな…違う…

違うよ…友華…


「友華…」




「ほら、その眼…悲しそうな瞳…

全部あたしが傷つけたんだよ…


わかってたのに…

なのに雪希の気持ちをふみにじった、

あたしに否があるんだ!!」


友華は、続けた───

「あたしが、あたしが…

雪希を一人にしたのもあたし…」




────知らなかった…

まさか友華が…そんな…




「雪希の教科書をずたずたにしたのも、

黒板にあんなことかいたのも、

雪希から友達みんな奪ったのも…」


────全部…あたしなの…







信じられなかった…

まさか…まさかこんなこと…


「ふふ…」

「…ゆ、雪希…?」


「ふはは…はは…あはははは…」



笑ってしまう…

────今までの苦しみは??

────今まで信じてたあなたは??

────今まで生きてきたこの人生は??


全部…全部虚構だったの??

全部…あなたが造ってきたものだっていうの??




涙もでない…

こんな自分が惨めで惨めで…


今までずっと探してきたもの…




不確かな…でもかすかには感じとれる。

そんな爽な、小さな、でも時々大きな希望は……


あれは全て嘘だったというの…??



「友華は…あたしが嫌いなの…??」



「わからない…」


「じゃあ、なんで…!!」


「わからないのよ!!!



……ただ…


もう苦しいのよ…

あなたを傷つけることが悲痛なの…」



────彼女が言わんとしていることがわからない…




「─────────!!

だからわからな──った─よ!!!


でも─う…元──にはなら──の…

あ─しが…壊し──まっ───…!!」




急に吹き込んだ風のせいで、

彼女が言った言葉を聞きのがしたが…もう遅い…


彼女は叫んだあと、

すぐに屋上を走って出ていったから…



なお続く彼女の余韻…

久しぶりに彼女と会話した…




机の中に屋上に来て欲しいと一言かいた手紙を入れたとき…

来てはくれないのだろうと思ってた…


だから彼女を待ってたとき…

屋上にあの重い鉄の扉が開かれる音がしたときは、

本当にびっくりした…



一瞬誰かと本気で考えてしまったくらいだから…







最後に、屋上から雨雲を眺めながら、彼女とした会話を思い返す…



高三になるまで…

いや、卒業するまでか、それからずっと…

人生最後になるかもしれない彼女との会話…


『─────────!!

だからわからな──った─よ!!!


でも─う…元──にはなら──の…

あ─しが…壊し──まっ───…!!』


彼女はなにを叫んだのだろう…

あたしは…あたしはいったい──────────



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