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この人生が終わるまで  作者: 侵略する兎
晴れて2人になれたのでもう一度初めから
7/8

「姉さん、起きて!!」


毛布をぱしぱしと叩く音が聞こえる。


「嫌よ、あと5分だけ…」

「それ、さっきも言ったよ!」


朝からなんて元気のいい弟だろう。

このまま寝ていれば、毛布を引っぺがされそうな勢い。


「わかったわ、起きるから、起きるから…」


そう言ったものの、面倒くさくて手を伸ばす。

その手を彼は仕方ないなぁと言いながら引っ張り、

私を起こす。

そのまま、私を椅子の方へ移動させて、髪を解かして、

細いゴムでハーフアップにしてから、


「姉さん、青と赤」


とそれだけ言った。


「赤」


と、私もそれだけを返すと、

彼は慣れた手つきで赤いリボンを結んだ。


「ねぇ、姉さん?そろそろ髪ぐらい自分で結んだらどうかな?」

「…あら、おはよう、シュナイザー」

「うん、おはよう…って、話を逸らさないでよ!」


私はどうも不器用なようで、上手く髪を結ぶ事すら出来ない。

その分、弟であるシュナイザーがとても器用なので、助かっている。


「朝ごはん、何がいい?」


私の当番だったことを思い出す。

何がいい?とは聞いたものの、パンを焼くことと目玉焼きを作ることぐらいしかできないが。


「姉さんの料理なら何でもいいよ、美味しいし。」

「舌がおかしいんじゃない?」


実際、本当に美味しいとは言えないのだ。お世辞にも。


「そんなこと言ってないで、早く作ってよ。お腹空いたー」


いつもののんびりとした口調。

はいはい、とキッチンへ向かい、やかんでお湯を沸かす。

その間にパンをトースターに入れて、目玉焼きを作る。

やかんが音を立てると今度はティーポットに移し替えて紅茶の茶葉を入れる。

古典的なやり方かもしれないけれど、やはりこれが1番美味しい。

少しすると焦げたような匂いがしてきて……


「あっ、パン!と目玉焼き!!」

「ちょっと!?」


急いでパンを取り出して、目玉焼きの火を止めたけれど、遅かった。


「シュナイザー、ごめん…」

「良いよ、姉さん。美味しいし。」


炭のような塊を頬張る様は、あまりにも滑稽だった。

ところで、と、紅茶を一度啜ってから、カップを置いて


「姉さん、提案があるんだけど…」

「?なぁに?」


同じように紅茶を啜ってから聞き返す。


「"僕らの家"に、戻らない?もうすぐ大学も卒業でしょ?良い機会だと思わない?」


僕らの家、と言う言葉を、頭の中を反芻させた。

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