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シックス・パックへ至る道/そして迫る危機。

別に腹筋はそんなに関係無いんですわ


………………zzz…………


…………うーん、意外と早く目が覚めたなぁ…………


ベッド硬いしさ…………


宿の名前がスヤリティって言ってる割にはスヤスヤクオリティは低いじゃないのさ…………


二度寝しようか……遅めの朝飯を食べるか…………


ん?誰かが部屋の中へと入ってきたぞ???


見覚えのない顔だな。あ、私の事寝てると思ってるな?


「シッシッシ……無防備っ……!荷物を身につけないで寝るという愚行っ……!!」


あ、泥棒だこりゃ。革袋漁ってら。


「よしっ……コレだけあれば暫くは生活には困らないっ……!」


そうそう、そう言えばさ。異世界転生って言えばこう、3歩歩けば美女ばっかり出て来てさ、尚且つそれらと高確率でフラグ立てたりするのがパターンとしては多いじゃない。


そのセオリーから行けば私も転生者だから、美女とかと一緒に行動したり偶然出会った人……それも泥棒とかもさ、フラグさえ立てれば後々仲間になったりしてもおかしくない訳さ。


で、よ。そこで他に何かないか物色してる泥棒を見てご覧なさいよ。


薄らハゲぞ?


と言うかむしろウィアデニアで私と仲良くなったのって城の兵士(ベイセン)、先輩転生者師匠(藤十郎さん)、居酒屋のオカマ店長(グレイプソーダさん)……


ほぼほぼ野郎ばっかりじゃないか!


せめてこの泥棒だけでも、こう……シーフって感じの女子だったり義賊って感じの姉さんだったりするとさ、こう……あ!異世界転生モノ!って実感が沸くじゃん?


やって来た泥棒、薄らハゲのオッサンぞ?


状況を冷静に見ていると、何となく腹が立って来た。こうなりゃ致し方ない。ベイセンの所まで持って行って捕まえてもらおう。


そう言えば、私のスキルでまだプラ板しか出した事無かったな……。半径3センチ程のプラパイプとかも出せるよね?


よし…………今っ!!ここだ!!!


「天誅ーーっ!!!」


「ぬおわっ!?!!!?」


勢い良くベッドから飛び上がり、右手からプラパイプを生成して殴ろうとした……のだが、まだ使いこなせていないので、手のひらから垂直にパイプが射出された。


そのパイプは泥棒の頭にスコーンっ!といい音を出してクリーンヒット。結構な速度の質量弾だったらしく、一発で気絶させる事が出来た。………………死んでないよね?大丈夫だよね?


脈あるじゃ~ん!生きてんじゃ~ん!!


捕まってしまえやコソドロめ。


宿屋の店主に泥棒が入った事、荷物を盗られかけた事、そしてその泥棒を今から連行する事を伝えると大層驚き(なんとここら一帯で一番の問題となっている泥棒だった)、宿の宿泊料金をタダにしてくれた。あとお詫びの品として保存食を詰めたちゃんとしたカバンもくれた。


やはり良い事は積極的にするものである。


---《ヴィーネ城・騎士団本部》---


「やっほーい」


「おっ!宵紬じゃないか!どうした?……ってそのハゲは?……良く見たら指名手配中の泥棒じゃないか!」


「たまたま盗みに入ってきてね、上手いこと気絶させたから引き取ってもらいに来たのさ」


宿屋から貸してもらったリヤカーに気絶した泥棒を載せ、街中で上から見えないように、プラ板でフタして隠してあったという事を話した。


「とりあえずこれ(泥棒)置いてくわ。こいつのせいで朝飯を食べ損ねてさ……」


「そりゃまたご苦労さま。それじゃあ後のことはやっておくから、街でゆっくりしてきな!」


「さっすがベイセン、頼りになるぅ!」


「褒めるなって~……と言うか、よくコイツの前で目が覚めたよなぁ」


「は?」


「いや、コイツは通り名として[眠らせの狸丸]って名前が着いていてな。強力な睡眠魔法を掛けて眠らせてからじっくり物色する手口なんだよ」


なんか薄らハゲのオッサンが使う魔法としては……嫌だな。昏睡させるのって。悪用しようとしたら幾らでも悪さ出来るじゃないか。


「うーん、睡眠魔法?とやらを掛けられた覚えは無いんだけどなぁ……ま、捕まったんだし良いじゃん?」


「そうだな!それに加えてコイツには懸賞金が掛かっていてな。今手続きをしてくるよ!」


と言うとベイセンと眠ハゲの狸丸は牢屋の方へと歩いて行った。


少し暇なものなので、この空いた時間にスキルの挙動について確かめてみよう!前々からしたいと思ってたんだ!


胸から腕へ、腕から手へと繋がるイメージを強く思い浮かべる。手のひらから棒が出てくるイメージへと切り替えて…………来いっ!


シュンっと言う音と共に太さ3センチ程のプラ棒が出てきた。自分の身体に押し込むと、ズブズブ……と余り気持ち良くない感覚と共に戻って行った。


いや、どうなってんだよ私の身体。マジックショーで食べていけるぐらいの面白ボディーになってるじゃないか!


あ、ベイセンが戻って来た。


「さ、これが報酬金の金一封だ!今後はもっと気をつけるんだぞ?」


「なぁに、そん時はまたベイセンに引き渡すさ!」


達成感からか、いつの間にか二人でワーッハッハッハ!とカラッと気持ち良く笑った。


清々しい気分だ!


---だが、清々しい気分は余り長く続かなかった。


続かせて貰えなかった。


続く事は許されなかった。


何故かって?


ほら。ヤバい事が起きたんだよ。


「龍が来たぞーーーっ!!!」


「総員、戦闘配置につけーっ!!!!」


「魔道士隊は城の防御を!!!!!」


「何故ここまで近付かせたーっ!!!見張りはどうしたーっ!!!!」


「いえ!!!北通り付近に突然出現した模様です!!!!!数にして小型が3体、中型が1体……そそそそそそそそそして大型がっ!!!!!!」


これはヤバい状況じゃないか!!!龍ってあの!?ゲームとかでめっちゃ強いアレ???


「[暗黒龍デス・ダークドラゴン]が居ますっ!!!!!!」


いやネーミングセンスよっ!!!


え?真面目にそう言う名前なの?ねぇ!?


「まさかあの[暗黒龍デス・ダークドラゴン]が来てしまうとは……!」


騎士団長?敢えてフルネームで呼ぶ文化なの?


「宵紬、お前は早く逃げろ![暗黒龍デス・ダークドラゴン]は前にも撃退した事があるが相当な被害が出るんだ!西通りには行ったか?あそこはまだ前回の襲撃の影響で復興作業中なんだ!」


ベイセン、お前もフルネームで呼ぶのね?その……小学生の妄想みたいな安直ネームドラゴンを……


「お~い!ここにおったか!」


「ありゃ、師匠!どうしてここへ?」


「決まっとるじゃろて……」


嫌な予感がする。


「カカ!MBEを使った初戦にしちゃあ上等じゃて、デストカゲ相手とはのぅ!」


あ、師匠はデストカゲって呼んでるんだ。シュールと言うかスケールが小さくなった感じだなぁ。と言うか!!!戦うのか!?私が!?


「どうした、お前さんは強くなりたいんじゃろ?ほら、MBEは持ってきとるぞ?」


「…………ええ、こうなりゃ戦いますよ!あのデストカゲの鼻っ柱を殴ってやってやりますよって!」


「よし、その意気じゃ!ワシも弟子の前で格好付けたいしのぅ。久々にアレ、やるかの!」


「アレ、とはなんです?」


そう言うと、師匠はお茶目にウィンクをしてこう言い放った。


---街を守る正義のヒーローは、いつだって男子の憧れじゃろ?

暗黒龍デス・ダークドラゴンは多分6コスで攻撃5、体力3でファンファーレで場の3コス以下のフォロワー全てを破壊しそう。(わかる人にはわかる)


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