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HとMの擦れ違い/サードプレイスを探せ


「意外とあの騎士団長、俺たちの事を直ぐに勘違いって認めてくれたよな~」


「元はと言えば百川君、アンタがやり過ぎたからなんだけどなぁ……」


「へへへっ」


「コイツ~……!」


あの後有無を言わさず城に連行された私達は、王女様(名前を聞き忘れた)に危害を加えたのでは無いか!!と刑事ドラマの取調室の様な場所で尋問をされた。


まあ始まって直ぐに王女や周辺住民からのタレコミ、チンピラの逮捕etc……と身の潔白さを裏付ける根拠が持ち込まれたので簡単に釈放されたけれどもね!ラッキー。


騎士団からは迷惑料として、ウィアデニア全域で流通しているお金をそこそこに貰った。現在の日本円にして1万5000円ぐらいの金額だったので、しょうが無いから水に流してやった。


本音を言うならかなり嬉しい収入だった。


プライド???それって焼けば食べれるの????



まあ、そんなこんなで無事釈放された私達は今夜の宿を探して街をブラブラしているのであった。


---《貿易国家ヴィーネ・南通り》---


「ところで百川君」


「ん?」


「斜め後ろ辺りから視線を感じちゃわない?」


「ああ、夕方ぐらいからずーっと着いてきてるあの怪しい野郎の事だな?」


「百川くーん?なんで追い払わないのかなぁ~??ねぇ!?」


「いや、わりぃわりぃ!何かあっても俺のチートスキルがあれば全然大丈夫だから!!」


ンなわけあるかい!!!!!


さて、現在の私達の状況を3行で……いや、1行で説明するならこう書くべきだね。


「自信過剰と謎の敵(?)に挟まれて胃が痛い」


「俺は自信過剰じゃない!絶対に無敵のスキルがあるから安心してるだけだぜ!」


「それを世間一般では自信過剰と言うのだ」


その後ウロウロとストーカー野郎(仮)を撒けないものかとランダムに道を曲がったり切り返したりを繰り返していたのだが、何せ今日は厄介事に巻き込まれやすい様で。


いつの間にか袋小路に追い詰められてしまいました。


---《南通り・町外れの袋小路》---


「ああもう!さっきから何者なんですか貴方は!!!」


奇襲を受ける可能性はゼロじゃないので、いっその事先手を打って不審者に大声で問いかけてみることにした。ほら、不審者ってこちらから声を掛けたら焦って逃げる事例も聞いた事があるんで。


「ヒッヒッヒ……なあに、俺様はただの[人材派遣業]のスカウトマンさ……」


「あら意外と難しい単語使ってくる……と言うか人材派遣業ってこの世界にもあるんだ……」


いや、どう見ても奴隷商人でしょうよ!


「俺たちに何の用だ!!最初に言っておくが俺の事を奴隷に出来るなんて思わない方がいいぜ!」


いや、俺たちじゃ無いんかい。


「ヒッヒッヒ……威勢がいいねェ……良い値が付きそうだ……」


「コイツまさかインスタでもやってるのか……っ!?」


その[いいね]では無い。


「細かい事は関係ねぇ!!悪い奴はぶち飛ばすぜーっ!!!」


は?


「ヒッヒッヒ……行け!新人っ!ご主人様を護るのも奴隷の大切な仕事だぞぉ~!!」


「ヒッヒッヒって頭に付けないと喋れないタイプの方かな?」


「ヒッヒッヒ……先ずはお前から奴隷の刻印を押してやろう……!この刻印を押されたらもうどんな事をしても痣が残ってどう足掻いても奴隷としか生きられなくなるぞぉ~……!」


「めっちゃわかりやすい説明ありがとうございます!!!そんでもってお断りします!!!」


「させるかよーーーっ!!うおっ!?」


百川君が真っ赤に燃える拳で奴隷商人に殴り掛かったが、相手が持っていた小さな籠の様な物から飛び出してきた獣耳っ娘が目の前に立ちふさがった。


ギリギリでパンチを逸らしたが、百川君は勢いを殺せずにバランスを崩して転倒してしまった。


「ヒッヒッヒ(先手必勝)」


「ヒッ……ちょっと、口癖を先に取るのはやめて頂きたい……」


「あ、すんません。どうぞ?続けて下さい」


「…………」


「…………隙ありっ!!!名付けて必殺![レッドハンド・バースト]!!!!!」


気まずい空気が流れた隙を突いた百川君が必殺技(と言うかチンピラにも使ったなんか凄いパンチ)を奴隷商人の鳩尾へと叩き込んだ。


物凄い衝撃だったのだろう。袋小路の壁へとめちゃくちゃな威力で殴り飛ばされた奴隷商人は壁にヒビが入る程の衝撃を身に受けていた。


「カフッ…………!」


「お前は!!このかわい子ちゃんも奴隷として捕らえていた!!!許さねぇ……絶対っ!!!」


待って?


「ヒッヒッヒ……お願いだ……見逃してく……」


「問答無用ーっ!!うぉぉりゃァァァァ!!!!」


百川君はボロボロの奴隷商人に馬乗りになると、こちらまで熱気が伝わってくるぐらいに赤熱化した拳を全力で叩きつけた。


やり過ぎだよ!!!!奴隷商人4分の3ぐらい焦げてるし!!!!息してないし!!!!!


これには流石にやり過ぎだと思ったので、百川君を少し問いただす事にした。


「百川君、流石にそこまでボロボロになるまで攻撃しなくてもいいんじゃないかな?」


「いーや、俺の正義に100%反する奴だぜコイツは!再起不能になるまでぶっ潰さないと気が済まないんだ。ほら、折角チートスキルがあるんだ。正しい事に使わなきゃ持ったいねえだろ?」


ふむ、なるほど。一理あr……いや、違う。


「だが、物事には限度があるぞ。昼間に私達が連行された件からしてこの世界にはちゃんと警察組織は機能しているんだ。やり過ぎるとお前の正義は正義と見られなくなるぜ?」


「なーに!間違った事はしてないんだ!正しい事をして何が悪いよ?」


---ふと、百川君とは絶対に分かり合えない何かを感じた。


「……あのっ…………」


「あ、さっきの奴隷って言われた子」


先程繰り出された白髪獣耳っ娘がオロオロと声をかけてきた。忘れていたなんて事はないぞ!……忘れてなんか無かったって事にしておいて下さい。


「お前、名前は?」


「名前は……その……無いんです……[21番]が……私の…………名前です……」


つい昨日まで現代日本に居た事もあって、こういう奴隷制度とかを見てこなかったが故にこのシステムの酷さをひしひしと感じた。


「よし!今日からお前の名前は[フィー]だ!よろしくな!ほら、これだけの金貨があれば充分雇えるだろ!」


は?


「でも……私っ……この首輪が有る限り……所有者が……」


「見せてみな!…………[スキル¦解錠]っ……よし!これで首輪は外れたぜ?」


「あっ……ありがとうございますっ!ご主人様っ!!」


うーん、コレは困ったぞ???如何せん展開が早い!その癖してまたどこかで見た気がする流れになっとる!!(人気芸人の万鳥・ナブのモノマネ)


「百川君、とりあえず君は宿でも探しておいて欲しい。私はこのボロボロの奴隷商人を何とかしよう」


「悪ぃ!助かる!それじゃあフィー、この辺の宿屋まで案内してくれないか?」


「かしこまりましたっ!ご主人様!」


やれやれ。初日の晩から既に方向性の違いが現れてきたぞ……


百川君とフィーが宿を探しに行ったのを確認すると、息も絶え絶えな奴隷商人に流石に連れがやり過ぎたのでお詫びを入れる事にした。


「ヒッヒッヒ(早い者勝ち)」


「…………なんだね……?」


「いや、貴方は悪人で裁かれるべきだ。だが、ウチの連れが少々やり過ぎてしまったことを此処にお詫びしたい」


「ヒッヒッヒ……お前は……優しすぎるぞ……。いつか俺様の様な奴隷商人に捕まらないように……せいぜい気をつけるんだな…………」


意外とウィアデニアの住人は身体が丈夫なようで、怪我はと言うと複数箇所の骨折程度で済んでいた。元の世界なら5回ぐらい死んでる程のダメージだと思ったんだけどなあ。


ともかく、そんな注意喚起(?)を受けた後、5センチ厚程のプラ板を召喚して気絶した奴隷商人をその上に乗せて引き摺りながら城の入口へと持って行った。


見回りの兵士が知り合い……と言うか昼間に私達を連行した内の一人だったため、話が直ぐに通り、無事に奴隷商人は収監された。


話を聞く限り、奴は以前から騎士団がマークしていて尾っぽを出すのを伺っていたらしい。


先程、百川君は別れ際に、


「宿が見つかったら[スキル¦テレパシー]で連絡するぜ!」


って言っていたのだが、中々連絡が来ないので騎士団から進められたお茶を楽しむ事にした。


---《ヴィーネ城・騎士団本部》---


「それにしても昼間のあんた達、見慣れない魔法を使っていたが……一体何者なんだ?」


「あー、あの……アレです。ここから遥かに遠い、あまり外国との交流が盛んでない国から来たんですよ」


「ほーん……って事は観光にでも来たの?」


「まあそんな所ですわ」


「この国はウィアデニア中の交易品が集まるから面白いだろう?」


騎士団本部でお茶に誘われたので、さっきの兵士……名前は煎餅……じゃなくて[ベイセン]と紅茶とクッキーの様な焼き菓子をつつきながら観光客を装ってこの国について、この世界について色々と教えて貰った。


なんだ……意外と良い奴じゃん……


その後、百川君からテレパシーが来た。


「コイツ……頭の中に直接っ……!!」


はお約束として言っておいた。宿は結局中央通りに飯の美味い店があるとかなんとかなので、そこまでベイセンに案内してもらった。別れ際に


「困ったらなんでも言ってくれよ~!」


と言ってくれたおかげで、少し気が楽になったよ。


---《中央通り・宿屋[スヤリティ]》---


宿屋では百川君とフィーが既に食事を済ませて、更に二人部屋を使って寝てしまっていた。仲間意識は何処へ行ったのか。少し寂しいぜ、私は。


仕方がないので一人部屋を借りた。全くしょうが無い奴だよなぁ……。


隣の部屋からギシギシ音がするのは多分疲れによる幻聴だろう。きっとそうだ。そうに違いない。


少しばかり虚しさを覚えたので、食堂へと向かった。幾ら美味しくても紅茶とクッキーだけでは腹は膨れないので小腹を満たそうと思った訳だよ。


---流石に、食堂であんな事が起こるなんてこの時は思っちゃ居なかったんだけどなぁ!


そろそろ初夏なので感想とかコメントが欲しい時期になってきました。

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