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第29話「私、悪へと堕ちる。そして勇者達との再戦」B

復讐の狼に参加した異種族達は全て火花によって逆らう意思を奪われ、死ぬことのない不死者の兵となってしまった。

その不死の軍勢で王都へと侵攻する火花は勇者達と再戦する。

 

 火花と復讐の狼達は王都を囲む草原を進軍していく。その黒い波の先には巨大な狼に乗った火花がダークルージュを掲げて高らかと笑っている。


「あっはっはっは!さぁ皆殺しだ!」


 もはやそれは衝突というより蹂躙(じゅうりん)であった。王都の軍勢は総崩れし、ただ無惨にも殺されていく。そんな中、勇者達が火花達に肉薄した。


「ハァッ!ハァッ!そこまでだ死人の目ヒバナ!」


「おー、勇者ブルースじゃん。よくここまで来れたね?無事じゃないみたいだけれど」


 すでにブルースも他の仲間も満身創痍。息も切れ切れで相手にならないのは目に見えていた。だけど私は手加減するつもりはない。


「さて、決着をつけようか。他のみんなは手出し無用よ。ティガ、ミャノン、ミシロは先に王都の魔法を止めに行きなさい。ロードはここに残って。」


 ダークルージュに炎を全力で纏い、構えた。


「メルバ!ガルド!二人はあいつらを追うんだ!ここは俺に任せてくれ!」


 ブルースと他の仲間が目を合わせて頷くのが見えた。何か企んでいるみたい。


「戦う前に一つ教えて?あ、やっぱ二つ。もう一人の私見なかった?桃色の鎧着てるらしいけど」


「フッ、貴様が会うことはない!ここで必ず滅ぼす!」


 凄まじい炎を物ともせずブルースは私へ剣を振り下ろしてきた。片手で振った剣なんて軽く受け止めるつもりだったけれど、予想以上に力があり一瞬押し込まれる。


「ぐっ!なんて力!もう一つ!この王国の神罰部隊、アリア・デルセンを知ってる?」


「あぁ!なんでアリアのことを!」


「アリアを不死にして苦しませていたのは…誰?」


「そんなことを知ってどうする!アリアをどうした!」


 勇者の突きを避け、蹴り飛ばす。


「答えてくれたら進軍やめてあげるかもよ?」


「ハッ、そんなことでこの戦争を止めるつもりなどないだろう。だが、俺が知っているのは少しだけだ。アリアは昔、国王直属の部下だったという。おそらく国王のもとで…」


「やーっぱりここの国王はクズみたいねぇ。ねぇブルース、知ってる?私ってすごく欲張りみたいでさ、欲しいものがあると我慢できないんだ」


「なにを…言っている?」


「本当はこんなことするつもりはなかった。けれど、やっぱり彼女の思いは晴らしたほうがいいなって」


 火花の足元から闇が溢れ、その闇に手を入れる。するとロードもブルースも闇の中から出てきた人物に唖然とした。


「おかえり、アリア」


 闇から出てきたのは青白い顔と光を失った瞳のアリア・デルセンであった。首には繋げたような跡が残っている。彼女は手を離れると火花に膝をついて頭を下げた。


「我が存在は火花様のために。どうぞご命令を。」


「ひば、火花様!?アリアは殺したんじゃ!?」


「殺したよ?殺して、内緒で私のにしちゃったっ」


「バッ、バカな!?アリア!俺だ!ブルースだ!」


 ブルースの問いかけにアリアは一切目を合わせない。その瞳はまっすぐに火花の足元を見つめていた。


「うふふ、あはは。いい子。アリア、ブルースを倒しなさい」


「仰せのままに」


 アリアは立ち上がると、凄まじい瞬発力でブルースに接近しノコギリを振り下ろした。ノコギリを受け止めたブルースはその威力に膝をつく。


「ぐぁあっ!アリア!俺だ!思い出せ!」


「思い出せ?忘れてなどいない。死んで逆に全て思い出したのだ。この、復讐心を!」


 アリアはブルースを押し飛ばし、さらに斬りつけていく。


「くっ!アリア!君はそんな人じゃなかった!まっすぐに神を信じ、王都の敵を討つため奔走していた!」


「貴様は勘違いしている。私は本当は、ただ生きていたかった。人並みに生き、人並みに死にたかった。けれど今は違う。火花様のために私はいるのだぁ!」


「アリアっ、そんな!アリア!」


 ブルースの剣に迷いが見えていた。生前よりも迷いのないアリアの太刀筋に押され、身体中が切り刻まれていく。


 そして数分後には血だらけで息も絶え絶えになったブルースは膝をついた。最後の一太刀でアリアのノコギリは壊れたが、もはやそれ以上の力は無くなったらしく、ブルースは草原へ倒れ込んだ。アリアはそんなブルースを蹴り飛ばし、火花の前へ差し出した。


「火花様、あとはお任せいたします。」


「くっ!」


「はい、お疲れ様。やっぱ強いね。」


 私はブルースの頭を踏みつけ、草原へ押し付ける。そして私はダークルージュでブルースの手と足の健を切った。


「ぐがぁあっ!」


「はい。ロード、やりなさい」


「えっ…?」


「えって何?貴女をここに残したのは復讐させてあげるためだよ?ほら、スパッとやっちゃいなさいよ」


「こんな…やり方って……」


「復讐にやり方もクソもないよ。貴女のお父さんやお母さんはどんな思いをしたんだろうねぇ?悔しかったろうね。こいつがいなければ、今頃いっしょにいられたかもね?」


「こいつが…いなければ」


「そっ。こいつがぜーんぶ悪いの」


「お前のせいでぇ!!」


「君は…魔王の娘か……。」


「そうよっ!私の父の恨み!ここで晴らしてやる!」


 ロードはアクアスラッシュを大きく振りかぶった。


「そうか…俺は…復讐心を生んでいただけなのか。」


「死ね!」


「すまなかっ」


 ブルースの首にアクアスラッシュが振り下ろされ、首が跳ね飛んだ。その瞬間、ブルースの身体が光り輝き始めた。


「自爆!?」


 爆発する。そう思いロードが目を伏せるが、何も起きない。恐る恐る目を開くと、そこにはごっそりと削れたように地面ごとブルースの身体は消え去っていた。


「何か企んでると思ったら、自爆なんてね。勇者がそんなことするなんて。」


 クラミツハの闇で爆発する体を吸収した。ぶっちゃけできると思わなかったので少し心配だったが、成功してよかった。爆発しても死ぬことはないが、わざわざ食らってやることもないと思った。


「ぷひぁ。死ぬことはなくなったとはいえ、少し怖かったわ。火花様、ありがとう」


「いいのいいの。さぁ、ロード。貴女は復讐を遂げたわ。どうする?」


「どうするも何もないわよ。私は火花様と共に。」


「ん。わかったわ。さぁ!王都内へ進軍!あ、勇者のこの剣はアリアにあげるわ。その壊れたノコギリは捨てちゃいなさい」


「ありがとうございます。」


 王都前の巨大な扉がティガ達によって破壊されており、私達は王都内へと進軍した。


次回、桃色の私との戦い。

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