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第3話「私、初めての手下と」B


空を見ると、とんでもない物が浮かんでいた。


「なにあれぇぇえええ!?」


この世界に来た時には気づかなかったが、空には巨大な天使の像のような物が浮かんでいた。そしてどうやら生きているようなそれは、目だけがぎょろぎょろと世界を見ている。あまりに巨大で見上げるのもやっとだった。


「あれは「審判の女神」や「審判の天使」と言われてます。50年前、空の奥から突然やってきたのです。最初は月みたいに遠くにいたのですが、次第に近づいてきているのです。あと半年もすればあれは地上に堕ちるそうです。」


「あの質量が落ちたらすごい被害が出る。私が滅ぼさなくても良い気がしてきた。」


「それが、話だと審判の女神を魔法で違う世界へ転送するのだとか……」


「前言撤回。やっぱここの人間滅ぼすわ。」


「あの、お願いです!私を手下にしてください!」


「どうして?」


「私の種族はもうほとんど滅んだも同じです。でもこの思いは!憎しみは!せめてぶつけたいのです!怒りを!憎しみを!人間達に!」


涙を流しながら跪いた少女は、もう何もないのだろう。生きる希望も、未来も、ましてやこれからの幸せも。


「私は人間だけど、この世界の人間を滅ぼす裏切者だよ?それでもついてくる?」


「はい。どうか、どうか…」


「ご主人様、このエルフは奴隷の経験からこの世界の情報をよく知っている様子。手下にすれば滅ぼしの旅は円滑になりましょう」


「よし、わかった。名前は?」


「名前……奴隷だったもので名前はないのです」


「ん~、じゃあ耳が白いからミシロちゃん。」


「あぁ、名前まで頂けるとはっ!ありがとうございます!このミシロ、全力を持ってご主人様の人間殲滅に協力させていただきます!」


「これからよろしくね。あと、私の事は火花って呼んで。それと、気になってたんだけどずいぶん大人っぽい話し方だけど何歳?」


「おはずかしながら、まだ123歳の若輩者です」


「えぇぇぇえ!どう見ても10歳か12,3歳の子供だよ!?」


「私達エルフは人間とは違い、成長速度が違うのです。人間からすれば123歳は高齢ですが、エルフからしたらまだ未成熟なのです」


「エルフからしたら10代前半ってことか。やっぱ異世界はすごいね」


「ご主人様、お話の途中でございますが何やらこの先の街から嫌な臭いがしてきます」


「嫌な臭い?」


「これは……」


「火花様!これは人が焼ける匂いです!」


先程崖の上から見えていた街からは黒煙があがり、取り囲んでいる壁の向こうから火もかすかに見えた。


「なんだろう。ミシロちゃん!行くよ!」


「はい!火花様!」


こうして手下を手に入れた私は街へ向かった。順風満帆な滅ぼしの旅になるかと考えていたが、街へ着いた途端その考えは二度と持たないことにした。


そこに広がっていた光景は凄惨なものだった。

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