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第14話「私、戦艦モビィディックを手に入れます。そしてヴェルカンディアスへと。」D

前回のあらすじ。

モビィディックを動かし、海上へ出た火花達をヴェルカンディアスの戦艦が待ち構えていた。

キャラ名の誤字脱字修正しました。けじめ案件。

 追走してきた赤い戦艦は明らかに敵意を向けてきており、砲身がこちらを向いている。


「全員戦闘準備!この戦艦の大砲使えないの!?」


「火花のあねさん!さっき始動したばかりで戦艦も本調子じゃない!それに人間の使ってた武器は俺達にはわから」


 ゴウンという凄まじい何かの射出音に私達は驚いた。ティガが言い終わる前にモビィディックから一発砲弾が飛んでいき赤い戦艦の砲台の一つに直撃したのだ。


「お?」


 甲板をのぞき込むとミシロが腰を抜かしてへたり込んでいた。


「しゅ、しゅみましぇん!適当に砲弾入れてボタン押したら、出ちゃいました!」


「マジ有能。っていうことみたいだから!全員宜しく!」


 応という大きな掛け声と共に異種族達が協力して甲板の武器を立ち上げていく。海上の赤い戦艦からは先程の一撃で黒い煙が上がっているが致命傷には至っていないようである。ロードはその戦艦の姿を見て叫んだ。


「火花様!あれは赤の歩兵と呼ばれるヴェルカンディアスの軍隊よ!圧倒的な火力で王の敵を打ち滅ぼす戦闘特化の特殊部隊!私の仲間もたくさんあいつらに殺されたっ」


 歯を食いしばって涙をこらえる彼女を見て火花は力強く頷いた。


「必ず討とう。死んだ魔族や絶滅した者達のためにも」


 赤い戦艦がすぐ後方まで近づいてきた。全員武器を構え、敵艦にいる赤い甲冑を着た兵士達も武器を構えている。モビィディックはやはり巨大で、横に追い付いてきた赤い戦艦は半分にも満たない。


 静寂。一触即発の前の静寂だった。


 火花がダークルージュを抜き、スヴァローグの炎を纏った。赤い戦艦の甲板の高台にも隊長と思われる者が火花をにらみつけている。目が合い、言葉は無くともお互いの殺意は理解しあえた。


「「撃てえええええ!!」」


 二人は同時に叫び砲撃が始まった。静寂に包まれていた海上には轟音が響き渡り一気に海上戦が始まった。


 赤い戦艦の砲撃がモビィディックに直撃するが、全く船体に傷はつかない。恐ろしい防御力だった。それを見かねてか赤い戦艦の兵士達がモビィディックの船体へロープを投げつけてくる。


「火花のあねさん!あいつら乗り込んでくる気だ!白兵戦になったら今の装備じゃ勝てねえよ!?」


 数十人の敵兵がロープを伝った瞬間、火花の炎で燃やされ海へと落ちていく。海に落ちたものはマーメイドに引きずり込まれていった。それを見て敵の隊長は不敵に笑った。


「あれが魔族の生き残りとかいう死人の目ヒバナ。おぉ~こわ。話に聞いていた通りありゃ魔王になるな。先の大戦中にあんなのいたか?」


「バルト隊長、いかがいたしましょう。敵の攻撃は貧弱ですが、高防御。拮抗状態です。」


「どうするってお前、あんなのが本大陸に上陸したら人間は滅んじまう。ったくあんな戦艦利用されないように沈めてからこっちに移動してこいっての。ダコス、全員に通達。船体をぶつけて飛び乗れ。俺達が死ななきゃならん。未来のためにもな」


「はっ。ザロクを敵艦へとぶつけろ!」


 赤い戦艦ザロクはモビィデックへ向かって体当たりし、その衝撃で敵兵達が乗り込んでいく。


「皆殺しだっ…あ?」


 意気揚々と突撃してきた敵兵達は血の気が一気に引いた。甲板には異種族はすでにおらず、火花の召喚したチェルノボウグ騎士が待ち構えていた。


「やれ」


 火花が右手を降ろすと不死隊達は槍で敵兵達を串刺しにしていく。その様子をみてバルトは青ざめた。あまりにも戦力・実力が桁違いで拮抗どころではなかった。


 そしてモビィディックへ夢中になっている間にマーメイド族やピクシィ族がザロクへ忍び込み、機関室を破壊していた。動力室から炎が上がり、兵士達は海へと飛び込む。無論それは海が庭のマーメイド族を相手にすることのため、死を意味していた。最後に残ったバルトと側近のダコスは剣を取り、沈みゆく船からモビィディックへと飛び乗った。不死隊達は攻撃せずに待ち構えている。


「あ~あ、いきなり魔王相手とかとんだ人生の終わりだ。」


「バルト隊長、どうしましょうか。交渉を……」


「バカお前、あの魔王の目見てみろ。交渉なんてできたら灰の奴ら死んでねえよ」


 高台の階段からゆっくりと降りてくる火花を見て全員が膝をついて平伏した。


「こ、こういうの慣れてないんだけどなぁ。みんな、手出し無用だから。貴方、あの戦艦の隊長さんだよね?」


「そうだ。赤の歩兵隊長バルト・ファマスだ。一応ダメ元で聞くが、交渉は可能か?」


「無理。」


「わかった。んじゃあ俺の得意分野の殺し合いで話すか!」


 バルトは一気に火花へ向かって飛び出し、剣と剣がぶつかり合う。火花の炎を受けても歯を食いしばってダークルージュを押し返そうとする。


やっぱり、炎を纏ってる時は剣撃を跳ね返せないのか。



そこへ不意打ちでダコスが後ろから切りかかった。


「死ね!」


 しかし火花は見向きもせず右手の指輪を後ろへ向けた。


「っ!?ダコス下がれ!」


「えっ」


 ダコスが声に気付いた瞬間、火花の指輪から出たペルーンの雷に撃ち抜かれ、胴体が跡形もなく吹き飛んだ。


「うわっ」


 ティガとロードの足元に血が飛び散り思わず声が出た。


「くっ!」


 バルトは一歩後ろへ下がり、炎を避ける。微動だにしない火花を見てバルトは決意した。


「これ、まさか使う日が来るなんてなぁ。」


 胸ポケットから出したのは小さなビンだった。中には光り輝く液体が詰まっており、そのコルク栓を開けた途端火花の背筋がぞわりとした。そしてロードの髪がふわりと浮き、青ざめた顔で叫んだ。


「人間!それはまさか「聖血せいけつ」!?そんなもの人が使っていいものじゃない!」


「あ?もう一匹魔族に生き残りいたのか。わーってんだよんなこたぁ。こいつを飲めばもう人には戻れねえ。けどな、人の未来は守れるかもしれん。」


 バルトが一気にビンの中身を飲み込み、苦しみの声を上げた。


「火花様!すぐにそいつをあっちの船に吹き飛ばして!早く!」


 理由は聞かず、火花はダークルージュと炎でバルトを沈みかけ燃え盛る敵戦艦へと吹き飛ばした。


 その瞬間、敵戦艦からおぞましい者が現れたのだ。


次回、人であり人でなくなったものとの闘い。



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