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第3話「私、初めての手下と」A

 

「そこの君、下がってなさい」


 なぜか私に祈りを捧げる少女に下がるよう声をかけ、剣を構えた。やはり納刀状態ではかっこ悪い…。


「落ちぶれた魔族めがぁ!」


 生き残りのうち一人が身の丈はあるハンマーのような鈍器で襲い掛かってくるが、なぜか私は全く怖くない。どうにもこの世界に来てから私の心はおかしい。あのメタトロンさんが何かしたに違いない。けれど今は目の前の敵を殺さなきゃ。


「邪魔。」


 剣、というか鞘で軽く薙ぎ払うと巨大なハンマーは粉々に砕け散った。


「うわ、なにこの剣!?でもこれなら、やれる。」


 衝撃でがら空きになった兵士の胴体に蹴りを入れると、私が飛び降りてきた崖の壁に追突しトマトケチャップみたいになった。


「うわ気持ち悪」


「ひっひぃ!?我々はマイルズ様の衛兵だぞ!こんなことをしてどうなるかわかっているのか!」


 最後の生き残りは、腰が抜けたのか尻餅をついて震えていた。私はそれがおかしくておかしくて面白くて。彼の目の前に座り、笑顔で返した。


「私ね、この世界の人間みんな殺しにきたの。そのマイルズって人も殺すから安心して?」


「ば、化け物っ!」


「あんな幼い女の子を男三人で殺そうとする方が化け物だよ。さようなら」


 鞘で一気に心臓を突き刺してみた。まるで噴水のように血が噴き出し一瞬綺麗だななんて思ってしまった。


「ふぅ。あ、あれ?わ、私人殺しちゃった!?」


 急に手が震え、足が竦んだ。目の前がくらくらし、今自分自身が行ったことを思い出すと、心臓が跳ね上がる。


「ご主人様。クールブラッドっ!」


 ミャノンが光ると、私の心は落ち着き、冷静になる。


「ふー。貴方、今のは魔法?」


「YES!マイマスターゥ!貴女の心が冷静さを失った時に私がこの魔法で落ち着けますのでご安心をっ!」


「うるさ。ありがとう。あーあ、本当に人殺しちゃった。ちょっとミャノン、メタトロンさんに連絡取れる?」


「無料通話でいいですか?」


「有料だったらぶっとばしてるとこだった。」


【はい、こちらメタトロンです。】


「メタトロンさん、私さっき超高い崖から飛び降りても恐ろしい武器構えられても人殺しても全く恐怖感じなかったんですけど、私の心に何かしませんでしたか?素直に白状して」


【旅立つ前に言ったじゃないですか。貴女の才能を目覚めさせたと。その恐怖を感じない心は元から貴女の心の奥底に眠っていたものですよ】


「敵にすごい憎悪を感じたのは?」


【ふーむ、それは私は気づきませんでしたが正義感を超えた物ではないですか?】


「正義感を超えた物?」


【悪への殺意、とでもいうのでしょうか。稀にそういった精神の人間がいるとは聞いたことがあります。】


「よくわからないです。てことはなに?私は心の中でこの世界の人間を本気で殺したがってるってこと?」


【でしょうね。あ、宅配なのでまた】


「は?宅配ってなんですかちょっと!」


「通話を終了しました。ハァァウ!」


「うるさ。なんか自分の気持ちにショック。あ、そこの君!もう出てきてもいいよ!」


 岩陰に隠れていた少女は恐る恐る近づいてくる。一撃で何も感じないように殺さなきゃ。


「ん!?ちょっと待て私っ!」


 私はいつの間にか鞘を握りしめ少女を襲おうと考えていた。


「クールブラッド!」


「ふー、ありがと。もう大丈夫、ってあら?」


 少女をよく見ると、耳はとても切れ長で、瞳は右が青の左が赤のオッドアイだ。金の髪はまるで純金を細かく割いたよう。


「あの、助けて頂いてありがとうございました!」


「ご主人様、彼女は人間ではありません。ううううエルフ!しかもこの世界では絶滅危惧種と言われているライトニングエルフです!奴隷価値も普通のエルフの300倍!だから先ほどの兵士達は狙っていたのでしょう」


「へー!君エルフなんだ!わーおマジに異世界って感じ!ちょっと耳触らせて!」


 耳をそっと触るとふわふわの白い毛が生えており、とても気持ちいい。


「あの、貴女は紅蓮の女神さまですかっ!?」


「紅蓮の女神?」


「ご主人様、紅蓮の女神とはこの世界で語り継がれる救世主のことです。脳内に絵を映します。はいこれ」


「指輪がしゃべってる。すごい魔法具です!」


 私の脳内には美しい騎士が描かれた絵のような映像のようなものが映されている。金の剣に燃えるような赤い瞳。純白のマントをたなびかせ、白銀の馬で戦場を駆け抜けている。


「へぇ、かっこいい」


「ゴホン!紅蓮の女神の絵。黄金の剣を天高く掲げ、仇成す者へと吠えるは正義の憎悪。3人の英傑と共に永久とこしえの闇竜、ダークヘルヘイムを打ち破りこの世に輝きをもたらす。この世界の500年前に起きた史実ですね」


「ふーん。私は紅蓮の女神じゃないよ。この世界の人間を滅ぼしにきたの。」


「ほ、滅ぼしに…。魔王なんですか!?」


「魔王って、まぁそんなものかな。こっちの人間滅ぼさないと私の世界が壊滅しちゃうんだ。つまりは違う世界から来たんだ。」


「違う世界…もしかして噂になっているあれかも……」


「なに?」


「あの、実は王都ヴェルカンディアスで半年後に違う世界へ侵攻しようと魔術師や兵士を集めていると聞いたことがあるのです」


「それだ!その王都バルカンディウスってどこ!」


「ヴェルカンディアスです。王都はここからかなり遠いのです。大陸二つ分離れているので、魔法で飛んでも半年はかかるのです」


「半年。なぜこの世界の人間達は違う世界へ?」


「わからないのです。でも、この世界の命が尽きようとしているからかもしれないのです」


「世界の命?」


「世界は破壊と創造を繰り返すのです。しかしそれは永久ではないのです。再生してもいつかどこかに綻びや亀裂、脆くなった部分が現れます。その一つが、あれです」


 エルフの少女が空を指さした。その先を見ると、とんでもない物が空に浮かんでいた。

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