第6話「私、亡霊達と戦います。そして、異世界の闇を知ります。」B
光に目がくらみ、少しずつ慣れてくると私は白い世界にいた。そしていつの間にか目の前には膝をついて頭を下げる何百人という騎士隊がいたのだ。その姿は先程の廃城にいたボロボロになった鎧ではなく、真新しく輝いている。
ー我らの魂、浄化していただき誠にありがとうございます。騎士隊隊長としてお礼申し上げますー
一番先頭にいたのは、先ほど最初に立ち上がった騎士だ。
「浄化……できたのかな。私にはわからないけれど」
ーまさか魔族や怪物と戦ってきた我らが魔族に救われるとは、死んでから不思議なこともあるものですー
「あー、私人間。東雲火花って言います。さっきの炎は6大竜スヴァローグの炎を受け継いだからなんだ」
そう言った途端騎士達はざわついた。
ーなんと人間!?信じられませぬ。貴女はその力で何を討とうと言うのですかー
「人間だよ。この世界の人間を滅ぼしにきたの。この世界の人間は私のいる世界を滅ぼそうとしているんだ」
騎士隊の亡霊達は頷くと、隊長が決心した面持ちで火花を見つめた。
ー火花様、我ら浄化された身ではありますが、この世界の人への恨み忘れません。どうか、我らを共にー
「と、共にって言われても。えーと何ができるの?」
なんだか面接している気分。
ー我らはすでに死した身。このチェルノボウグ騎士隊は不死隊となりましょう。火花様が望めばこの400の不死人が死の海となって貴女の敵を討ち滅ぼしますー
「採用。でも、人間を裏切ることになるんだよ?私はこの世界を滅ぼすのに手加減しないよ?」
ー我ら、御身のために。しかし一つお願いがございますー
「なに?」
ーこの隊の代表として火花様の力を知りたい。-
そういうと彼は私へと剣を向けた。チェルノボウグ騎士隊を任せられるか試すというのだ。それを察した私は全力でスヴァローグの炎と鎧を装着した。
ーな、なんというおぞましい炎と闇ー
「さぁ、覚悟しろ!」
一方ミシロの方は動かなくなった火花と騎士隊の棒立ちを見つめていた。
「ミャノン、どうなってるの?」
「今ご主人様は心の中、精神世界でチェルノボウグ騎士隊を採用するか面接中でございます。しかし、決着がもうすぐ着きますよ」
精神世界では一方的な戦いになっていた。途中から400人の騎士隊も参戦したが、風の前の埃のごとく吹き飛ばされていく。最後に残った隊長の胴を突きで吹き飛ばした。最後に立っていたのは火花一人であった。
「どう、これでもまだ私を信じられない?」
ー降参です。この短剣を……ー
隊長が跪いて渡してきたのは太陽の紋章が刻み込まれた銀色の短剣だった。
ーこの短剣を敵へと向け、我らをお呼びください。さすれば我ら具現化しましょうー
「わかった。これからよろしくね。」
そういうと全ての騎士隊が跪き頭を下げた。世界が再び光に包まれる。
「あ、気づきました?どうでしたか?」
目が覚めると目の前にミシロちゃんの顔があり、私は膝枕されていることに気づいた。手にはいつの間にか騎士隊の短剣が握られていた。
「ミシロちゃん、400人騎士隊ゲットしてきた」
「ええええええ!?」
美しい森にミシロちゃんの声がこだました。森も浄化され、美しい自然へと戻っていた。私は手に入れた不死の軍勢と共に次の街を目指すが、その途中にあった場所で早速この力を使うことになる。
私は本気で怒りを爆発させることになった。
次回は明日更新予定。