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お手軽600字エッセイ その3

作者: 北原誠二

時々、人類は進歩してるのだろうかと考えることがあります。

世は変わり、物が変わっても人間のこころはちっとも進歩していないのかもしれない。

そんなことを考えることはありませんか。

これは10年以上前いや、20年ぐらい前かもしれません。そのころにマザーテレサが残した言葉です。


私たちは忙しすぎます

ほほえみを交わすひまさえ

ありません

ましてや 愛を与えたり

受けたりするひまはないという

状態です。


どう、思われますか?

そんなに昔のことに感じないでしょう?


経済、効率それは確かに必要なことだと思います。

仕事が忙しい、勉強が忙しい。人類は忙しく発展してきたと思います。

しかし、それは物質的なことです。

いつの時代も心は変わらないのかもしれませんね。


先の見えない時代、サバイバルの時代と呼ばれていますが、そう考えるとそんなに絶望しなくてもいいのかもしれません。


え!マザーテレサは天才だから20年前でもそれが分かったんだって。

でも、今の日本じゃ勝ち組ならないとのたれ死んじゃうよ!スピードの時代だよ。スピード。


そんな意見もよく耳にすることがあります。


でも日本人でもそれを気がついていた人もいます。

夏目漱石です。

版権も切れているほど古い作品ですがこんなのもあります。

「草枕」です。

引用するとこんな感じです。


(本文)山路やまみちを登りながら、こう考えた。

 に働けばかどが立つ。じょうさおさせば流される。意地をとおせば窮屈きゅうくつだ。とかくに人の世は住みにくい。

 住みにくさがこうじると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいとさとった時、詩が生れて、が出来る。


(北原訳)

 知能を働かせて働けばけんかになり、感情に左右されれば行く道を失う。維持を張って戦いつずければ苦しくなる。とにかく人の世は住みにくい。

 住みにくさが高じるといい仕事を見つけて安くて楽なところに生きたくなる。どこへいっても

そんなに変わらないと分かったとき詩を書いたり絵が描きたくなる。


(本文)人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣りょうどなりにちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。


(北原訳)

 人が作ったものは神でも亡ければ鬼でもないよ。ただの人間、がこの世の中を作った。(良いと思って)だから天国に行ったって、地獄へいったって今よりも住みにくいかもしれないよ。


やっぱり天才はいるものですね。

これは1906年に出版されたそうです。


これを読んだって世の中はあんまり変わっていないでしょう。


時代が悪い、タイミングが悪い。景気が悪い。

それは今に始まったことではないです。

悪い、悪いといっていても、きっと人類はそんなに進歩しないでしょう。

不安がるより、この世界を楽しませんか。







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― 新着の感想 ―
[一言] 大いに賛成です。私も、もっと家族を愛する時間のある、ゆとりある生活があった方が思います。あくまで平均の話をすれば、日本では給料が多い分、就労時間が長いようですね。
[一言] いま職を変えようかどうか悩んでいたので、漱石の言葉はグッときました。ありがとうございます!
2007/12/05 22:47 ごはんライス
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