研究者
頭を悩ませていると、シュウヤがショウのほうを向いた。
「なあ、おまえはどうして俺らがこんな能力を持って生まれたのか知ってんのか?」
ショウくんはそれにこたえるように、シュウヤに顔を向け返す。
「それは知らねえな。でも誰が謎を知ってるのかは知ってるぜ』
「きゃほ。ショウくん喋りすぎじゃない? それって田湊のことでしょ?」
田湊……? 誰だ?
「まあな」
「誰なの? 田湊って」
ユイカは間髪入れずショウくんに聞く。
「田湊は研究者だ。俺らの能力は一応人が作ったものでな。つまり俺らは実験台だ」
「実験台……」
そうつぶやいた僕は、明らかにいつもの自分じゃなかった。
「きゃほ。コノトくん、いつものポーカーフェイスは? 動揺しすぎ。アカハよりわかりやすいよ」
「確かに。どうしたの~? コノトくーん」
ふざけた調子でクルミは僕を腕でつついた。
「…………」
「コノト」
ユイカは僕の肩をそっと叩いた。
「ユイカ? なんだよ」
ユイカは何も言わない。
ただうつむいたまま僕の肩をつかんでいる。
「なんだよ」
「無茶、しな
「オールタイムスティルオン」
ユイカのセリフが、途中で止まった。
オールタイムスティルオン
それは能力者の時間まで止める。
「無茶はしないさ」
固まった人形のようなユイカの手を肩から振り払ってつぶやく。
「Ha-ha! You are interesting!(はは、君は面白いね!)」
「誰だ!?」
振り向いた先には、男がいた。
男、というよりもむしろ青年と言ったほうがふさわしいか?
「Sorry,sorry. i'm Ryo Taminato. Nice to meet you.(ごめん、ごめん。僕は田湊遼。よろしくね)」
この人が、田湊さん?
「君は、小之斗だね? 昔会ったことがあるんだけど……、覚えてるわけないか」
「どこで、会ったんですか?」
「僕の研究室だよ。実験の際に研究に関しての記憶は消したんだよ。と言っても、ショウとアカハの記憶だけは消せなかったけど。僕の力、拒否されちゃった」
陽気に、妖気に田湊さんは笑った。
「アカハとショウから聞いたんだろ? 僕のこと」
「はい……」
田湊さんは胸元から何かを取り出した。
拳銃……?
「本物だよ。僕はね、知られちゃダメなんだ。さあ、消えてくれ小之斗」
僕の額に、冷たい銃口が突きつけられた。