田湊さんとショウくん 2
「アカハ……。残念だけど今の俺は俺じゃない。ただの人形だよ。幻なんだから。そんなこと、わかってるだろ?」
ショウくんはあきれたように言い放った。
「さ、続きを始めようぜ、田湊。どうせお前も記憶は消えてねえんだろ?」
「やっぱりバレてたのか」
「おまえが生身で来るわけねえからな」
「怖いなぁ……」
田湊さんは両手を上げて苦笑いする。
まずい……。もしショウくんが暴走したら。
「ファントムオン」
さっきと同じようにショウくんは人差し指を田湊さんに向けた。
彼の指先がだんだんと赤く光っていく。
「炎?」
赤い赤い炎。
それを見ても、田湊さんは動じていない。
指先の炎が田湊さんめがけて飛んでいく。
でもそれは簡単に跳ね返されて、火の粉は地面に散った。
「コノト! ショウくんの火が地面に散ったら大変な事になる!」
ミツナが僕に駆け寄ってそう告げた。
僕は地面を見る。
地面は一面草……、もしここに火が放たれたら全焼する!
「ユイカ!」
「プレイスムーヴ」
僕が名前を呼んだだけで、彼女は反応した。
「うっ、寒っ!」
「な、南極!?」
ユイカは僕たちを氷上まで飛ばした。
「ごめんなさい。焦ってて、何もないところっていったらここしか浮かばなくて……」
「いいさ。全員黒こげになるよりはマシだ」
「そうだよ~、ユイカ」
ユイカの隣で、ミサは明るく笑う。
「ありがとう、ヒロキ、ミサ」
「とはいえ、ショウと田湊の戦いは終わってねえんだろ?」
「早く何とかしないと、今度は氷が溶けちまう」
シュウヤとタクミは遠くにいる二人を指さした。
「それに、ショウくんは何だって作り出せるんだ。無茶させたら、死人が出るかもしれない」
「パラレルオぺレーション」
平行感覚操作?
「なに!?」
「まっすぐ立ってらんねえ!」
「ごめん、みんな! 私には一点だけを操作することはできないの。……あ!」
「ミツナ!」
倒れこんだミツナをシュウヤが受け止める。
「大丈夫か? 無茶すんなよ」
「ありがと、シュウヤ」
二人がのんびりしている間に、ショウくんと田湊さんは争いをさらにヒートアップさせていた。
「ファントムオン」
ショウくんの右手に大きな剣が現れた。
光る銀色の刃が田湊さんに向かって牙をむいている。
「無駄だよ、ショウ」
田湊さんの手から光が放たれる。
真っ白でまばゆいその光に、僕たちは目が眩んだ。
光が消えた後、僕らの目に映ったのは……。
傷だらけになったショウくんの姿だった。




