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その他

とある少女のストーカーの話

作者: 天音美咲
掲載日:2026/10/10


 祭の日。


 賑わっていた北の町に、牛に似た魔物が迷い込んだ。姿形は一般的な牛と変わらないが、太く巨大な角が頭の側面から真横に向かって生えている。おとなしい種族で人を襲うことは滅多にないが、人々は魔物を避けながら歩いていた。


 祭の賑わいから少し離れた場所に、一人の少女がベンチに座っていた。

 艶やかな黒髪に深紅の瞳。シンプルな白いワンピースを着た彼女は、とても綺麗な美少女だった。首元には空色の宝石が付いたネックレスが輝き、白いワンピースによく映えていた。


「お嬢ちゃん、一人でどうした?迷子か?」


 少女の前に荷台を改造した屋台付きの馬車が止まる。荷台の窓から柄の悪い男が顔を出し、少女に声をかけた。


「魔物のせいでお父様とはぐれたの」


「そうか!そうか!待ってる間、これでも食いな!!」


 無表情で抑揚のない声の少女は、まるで人形のようであった。しかし、男は全く気にすることなく、焼きそばの乗った皿を少女へと差し出す。


「受け取っては駄目だ。法外な金額を要求されるぞ」


 少女が受け取ろうとした時、真横から制止の声が入った。少女の隣にはいつの間にか、青年が立っていた。青年は金髪に澄んだ水色の瞳で、汚れた格好をしていたが、よく見ると綺麗な顔立ちをしていた。

 少女は手を引っ込めたが、屋台の男は皿を持たせようと押し付けてきた。


「もし受け取ったとしても、私とあなたで証人になれば大丈夫じゃないの?それに──」


「そんなもん、証拠になんかならねぇよ!」


 思い通りにいかなかった男が苛立った声を上げた。


「そうなの」


 少女は胸元のネックレスの宝石に触る。


「“録られてる”から、大丈夫だと思ったけど──」


「ゴッ……ガッ……!!!!」


 その瞬間、男がその場に倒れた。


「どうし……ヒッ……ギッ……!!」


 男が倒れる音に続いて、皿の割れる音が響いた。それを聞いた痩せた若い男が屋台の奥から現れたが、顔を歪めながら倒れ、姿が見えなくなった。


「あなたも、お金が欲しいの?」


 目の前で起きたことを青年はすぐに理解できなかった。だが男達が倒れたのは少女が原因なのは確かだった。


 謎の力で、男達が死んでいる。


「……ろくでもない両親が死んで、妹と俺とで、ここまで旅をしてきた。だけど、妹が病気になって大金が必要になった。君に恩を売るなり、そのネックレスを奪って……妹を治したかった」


 人外の力を持つ相手に、どう誤魔化しても通じないと悟った青年は置かれた現状を話した。


「ねぇ、妹の話が真実ならば、この人はやめてあげて。助けてくれた良い人よ」


 少女がネックレスに話しかける。その間も、馬車の周りや荷台の中で、苦しげな声と人が倒れる音がいくつか続いた。


 音がしなくなった後に、残されたのは、少女と青年だけだった。


「行きましょう」


「君は、一体……」


「あら、あなたも“選ばれてる”じゃない。知らなかったの?王子様」


「な、何を?」


「あなたの場合は、今日まで“見られてる”だけだったのね」


 沙緋(サラ)と名乗った少女は、ネックレスに埋め込まれている空色の宝石に幼い頃から“一方的に愛されている”そうだ。


「私のことをいつも見てる。そして、私に害がある時は、こうやってみんな殺してしまう」


 少女の視線が、青年の耳元に向かう。


「あなたのは、あなたが死ぬまで“見つめ続けていくつもり”だったみたいだけど、このままだと理想の王子様ではなくなってしまうから、私の所まで導いたというところね」


 青年の耳にある、小さな黒い宝石が付いたピアスが少女の言葉に反応し、深紅の宝石へと色を変えた。しかし、青年はその変化に気づいていなかった。


「話しすぎたわ。お父様を探しに行きましょう。あなたと妹は我が家が面倒を見るわ」


「そんな都合のいい話……」


「あなたに自覚はなくても、せっかく巡り会った同じ“被害者”ですもの。愚痴を聞いて欲しいの!」


 少女は両手で青年の腕を掴み、ぐいぐいと引っ張る。


「“ヤキモチ厳禁”よ!彼は今日から私のお兄様!妹もほしかったの!嬉しいわ!」


 ネックレスへの牽制を兼ねたのだろう。空色の宝石が不満げに少し濁って見えたのは気のせいか。青年は深く考えないことにした。


「お兄様、あなたと妹のお名前は?」


「……レオとルミナ」


「レオ兄様にルミナね!」


 少女は満面の笑みを浮かべた。


──カシャ、カシャカシャカシャカシャ……!!!!


 少女のネックレスと青年のピアスから謎の音が鳴り響く。初めて聞いた音に青年は驚き、少女は無表情へと戻る。


「レオ兄様のも“激しく”なりそうね」


 青年は、突然できた妹と“自分をずっと見つめ続けていた何か”に振り回されるのだろう未来を思い、ため息をついた。


─完─

後半部分から前は4日前に夢で見た話です。


人混みの中、ごついドリルの様な角の牛が何頭も道をのんびりと歩いていて、刺されそうと離れて見てた。


場面転換し、キッチンカーのヤバそうなオッサンとチンピラに焼きそばとたこ焼きを渡されそうになり、受け取ったらぼったくられるよと隣の誰かに言われ、私は、スマホで録画中、頭上にはドローンが飛んでる、それに「願ったらストーカーが何でも叶えてくれる」と言った瞬間にキッチンカーの中の人達が苦しんで全滅していく。


という夢にキャラなどの設定をくっつけました。


・北の町。位置的に北海道。(雪まつり)

・少女、沙緋(サラ)。北の町を治める上の方の一族。曼珠沙華が似合う系美少女。

・青年、レオ(逃亡王子)。位置的に沖縄辺りの南の国。ろくでもない国王と王妃は反乱で殺られ、親の尻拭いをしてきた良き人柄で知られていた兄と幼い妹は見逃された。

・妹、ルミナ(逃亡王女)。兄の光的存在、もう娘。幼稚園児くらい。長旅と寒さに負けた。

・宝石、ストーカー。録画撮影技術力を持っている。ネックレスは結構病んでる。どうやって人を殺ってるかは未設定。ピアスは兄妹を見守る部屋の壁になりたい派だったが、少女の笑顔につい連射モードを使ってしまった。ネックレスとはデータを交換する仲。妹にも近いうちに髪留めのストーカーが爆誕する。

・少女の父親。情報通の富豪。慕われている王族の生き残りを無事に保護し更に人望高まる。

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