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第6.5話3人の試練①健堂編

健堂中心の話です。

本編ではすでに大吾が経験していたこのやり直しの健堂編になります。

かなり重ためですが、なぜ健堂がこの能力に目覚めてしまったのかわかります。

大吾で失敗したあの鬼が健堂の影に忍び寄る――。

「待てよ、この一族は確か弟と妹がいたはず、彼らなら俺のごちそうになってくれるはずだ! ふふふ、弟からだな」


 鬼は不気味な笑みを浮かべながら、次男を探しに行った。


 ***


 ーー健堂視点ーー


 俺は健堂。仮面一族の次男だ。俗に言う次男は長男とは違って小さい頃から好き勝手してたような気がする。


 そして重要なときだけよばれて、【はい、はい】で話が終わる。俺はなんのために生きているのかわからなくなるほどに流されていたのかもしれない。


 そんなときに、兄貴は仮面を完成して霊界に行ってしまった。この志の布を残してーー。

 呆然と立ち尽くしていたら、目の前に綺麗なスローンのお姉さんがサポートするために霊界にこいと言われて、兄貴のことを心配しながら霊界に向かった。


 するとだ、目の前にもう一人の俺がいたんだ。


「え?もう一人の…俺!?」

「若い頃の俺か…勘違いしてたよな、あの頃は… スローンに連れてこられたということはーー」

「やり直し?何を?」


 急にやり直せと言われてもまた始まりを見るのも勘弁願いたい。できればこのまま墓まで誰にも知らずに持っていこうとしているところをーー。


 もう一人の自分はあの過去を掘り返そうとしている。本当にここは霊界なのか?それとももう一人の俺は、悪魔かなにかなのかそれすらもわからない。


「俺よよく聞け。 お前の今の状態でこのまま兄貴にあってもわだかまりどころかまた喧嘩。

 それに兄貴一発殴っといてどこか納得してない顔してる」


「ぁ…」


 しかも俺の思っていることを容赦なくドンピシャで当ててくる。 あのとき兄貴にひどいことをいって激しく後悔している。 特にジェイドから聞かされた【見た目は兄貴だけど、どこか違う〝何か〟が混じっている】あの言葉を聞いてから余計にーー


 そう、あの時の兄貴は一瞬だけ正気に戻って本当に何も記憶にないのだとしたらーー。


 ぐうの音も出ない。完全論破されて、どことなくプライバシー空間がまるでない。嘘も誤魔化しもきかなかった。


「どうしてこうも囚われているのか、そのヒントは申し訳ないがあの始まりに隠されている!それがわからなければ、兄貴は二度と助けられない、過去の自分よ」


「…っ!?」


 もう一人の自分にハッとされられた。確かにこの原因を知りたいとは思っていた。なぜ自分がここまで絶望的になるのか、しかし時間が経つごとに複雑に絡み合い、根本的な原因はどこかに置いていったかのような感覚ーー。


 色々それっぽいものはでてくるが、どれも何かが違うあの感覚


「わかったら、行って来い!」


 こうして俺は、あの始まりへとワープゲートへくぐっていった。


 ***


 忘れもしない、この呪いのような恐ろしい力は、近所のスーパーの福引からはじまったことをーー。


「福引の商品の特等は今話題沸騰の品切れ続出で手に入らないゲーム機とゲームソフトじゃないか!これがあったら兄貴とジェイドと一緒に遊べる、ほしい~


 ダメだ、その前に買い物が…ふん、1000円で1枚のチケットくれるのか、今日はいっぱい買い物あるし1回は引ける」


 あの時の俺は、その最新ゲーム機が欲しくてというよりか兄の大吾と妹のジェイドと盛り上がれたら楽しい想像ばかりしていた。たくさんの買い物をしたあとで俺は福引のチケットを1枚もっていた。


「福引お願いします!」

「あら、お兄さん偉いわね、お手伝い?じゃあ、これを1回回してね」


 店員さんの言う通りに俺は、福引のグリップを握りしめた途端、俺の内側から声がした。


(ほう、特等のゲーム機が欲しいんだな、あたりはあの辺りか…言う通りにしろ。

  まずグリップは右手30度、握りしめるかしめないかの力加減だ、もう少し右だ!

 そしたら半分くらいまでは加速するように回せ!


 …そうだ!残りはスピードを落とせ、そしたらほら…)


 チリンチリンチリン!


 俺は、店員さんがあたりの鐘を鳴らすあの音でふと我に返った。 そこには特等のオレンジの玉が転がっていた。


「おめでとうございます!特等でました!! あら、お兄さん非常に運がいいわね、

 このゲーム機テレビじゃ連日特集されててもう今年は手に入らないじゃないかってものよ もしご兄弟がいたら一緒に楽しんでね」


「はい、ありがとうございます!」


 俺はくじ引きをいしいるときは全く記憶にないが、最新のゲーム機を持って兄貴やジェイドの喜ぶ顔を想像しながらスキップをして家路についた。玄関を空けると兄貴とジェイドがいた。


「おかえり、健堂! ん?まてそれってまさか…!!」

「え~なになに!?お兄ちゃん今日はまた何を持って帰ってきたの?」 「見て驚くな、今年中にはほとんど入手が不可能と言われた最新ゲーム機だ!明後日土曜日だからみんなでやろう!!」


 あの時の兄貴とジェイドのすごい喜んでいる顔は今でも覚えている。

 あの兄貴の無邪気な顔と言ったらもう今とは真逆だった。

  俺は振り返る。これ木曜日だとしたら、次の日の金曜日は例の事件に遭遇する。

 ここでもまた最初から見るとなると俺は辛くなるーー。


 俺の感情とは裏腹に、あっという間に金曜日になってしまった。 そしてあの日の国語の地獄の作文の授業が来てしまう。


「はーい、みんな前回は作文の基礎的なところを話しましたね。 今日は、その実践として皆さんにその作文を書いてもらおうかと思います」


 俺は思った、それ以上書かないでくれ、あの恐怖が蘇る。

 でも話は俺を思いを無視してどんどん進む。そして黒板に刻み込まれたあの地獄のような文字がーー。


「テーマは、10年後の自分です


 ちょっと難しいと思ったら、将来何になりたいか、そのなりたいものと理由を書いてもOKです」


 先生は、みんなが将来どんな夢をもっているのか非常に楽しみにしています。」


 ああ、来てしまう、この時間の休み時間が…もう見たくもないのになぜ俺は2度も見てしまうのか。そして休み時間が来てしまった。確かこのときの俺は妙に大人びてた。


(10年後やろ?そんなに変わらんやん よくあるのが男子はサッカー選手やプロ野球選手、女子はお菓子屋さん…、総合してインフルエンサーになってお金持ちになって豪邸建てたいですあたりか…

 はぁ…なんかな…こんな作文書いて何の意味があるんだ?)


 そう心の中でつぶやき、俺はふと隣の席の男子生徒を見た。


(…ぇ!?アツシくん…なんでそんなに君は真っ黒なん!?)


 確か隣の席にはアツシくんが座ってた。ちょっと大人しそうな彼であったが真っ黒になるというよりかは、なにもない黒さだった。


 俺の目には、教室の風景とは別の「何か」が見えていた。 アツシくんの周り…いや、アツシくん自身が、 真っ黒な影に包まれている。 他の生徒たちには白っぽい光が見えるのに、 アツシくんだけが、まるでブラックホールのように真っ黒だった。


 このときの俺は怖い物知らずだったかもしれない。興味本位に俺はある問をその真っ暗な空間になげかけてみた。


(なんで、彼は真っ黒なのですか?)


 そうしたら、アツシくんの底から禍々しい声で返事が返ってきた


(交通事故だーー)


(うわぁぁぁ!?)


 俺は、なんとか忘れようと現実を振り返った。あたりは休み時間でみんなが楽しそうに喋っている声が耳に入ってきた。

 あまりにも残酷な風景だった。


 そしてその日の掃除時間ーー。


「もう、健堂くん!サボらないでよ!ほら机!」

「あぁ、わりぃ」


 確かあの時女子に怒られるんだよな、もう早く帰りたくて。でも時間というのは本当に残酷だ。


「もうずっと私のことを見てなによ、言いたいことがあるなら先生もはっきりいいなさいって言ってるでしょ!!」


 このときアケミちゃんに急かされて思わずポロッと言ってしまったーー。


「介護と病気」

「もう、何言ってるのよ!うちのおばあちゃんはこの間もテレビで特集されてたスーパー元気なおばあちゃんよ!

 介護されるような人なんてまずいないし病気って何よ!私もピンピンしてるんだから!」


 誰にも聞いてもらえなかったあの日の休み時間。俺は真っ青な顔で帰路についた。

 もう明日が土曜日なんてすっかり忘れるくらいに。


 あのとき、兄貴は大丈夫だからと俺をそっと抱きしめてくれた。あの温かい兄貴のぬくもりは今でも忘れられなかった。

 このときこの出来事はこれで終わりだ、俺の見たものは幻でしかないと思うことにした。


 しかしこの幻はこの10年で消えることがなかった。


 ーー10年後


「兄貴、ジェイド今日暇?」

「俺も予定空いてるしな」

「私も何の予定もないよ、健堂お兄ちゃん」

「久しぶりに3人でゲームやろうや」

「…わかった」

「やりたい、やりたい」


 すると、祖父がものすごい顔面真っ青でーー。


「そういえば健堂、お前のクラスメートにアツシって名前の子おったやろ?」


 そのときはもう懐かしい名前だと思った。しかし次の一言であの呪いのような授業を全部思い出してしまった。


「交通事故で亡くなりはった」


 俺はこの一言で時間が巻き戻った感覚に襲われた。

 俺が見たものは幻でもなんでもなくただ単になぜかはわからないがその人の未来だったことをーー。

 この1個だけなら、まだ偶然で片付けられる。一瞬ドキッとしたけど俺はすぐ我に返った。


 しかし、問題はここからだった。さらに数年後にはまた祖父からとんでもないことを突きつけられた。


「健堂、お前のクラスにアケミちゃんっておらんかったか?」

「ああ、あのアケミちゃんね、どうかした?」

「母親の壮絶な介護の末、自らも大病にかかり今訃報の知らせがーーまだ若いのに、健堂と同じ年の子がーーなんて無慈悲な世の中なんだ」


 それは残酷にも母親の介護で疲れ果て自らも大病にかかり力尽きたアケミちゃんがーー。

 あんなにしっかりものだったクラスのリーダー的な女の子の将来が潰れた瞬間だった。


 兄貴が千のお面を祖父からついでまもなくのことだった。


「あの、すいません!14時に予約してたものです」

「はーい、いらっしゃいませ・・・」


 お客さんに挨拶をした瞬間、 俺の頭の中に、勝手に言葉が浮かんだ。


(人生お疲れ様でした)


「(……え? 俺、今何を考えた?)」


 お客にも不審に見られたら困るので、すぐに取り繕うようにーー


「ああ、少々お待ち下さい」


 あのときすぐに兄貴を呼びに行ったことを覚えている。 そして兄貴の口からとんでもないことを聞かされた。


「そういえばこの間にきたお客さん、亡くなった…まだ若いのに 将来有望なクランのオーナーだったらしい…」


 俺はこの後どうしたかわからないが、後ずさるように俺の部屋にこもっていたような気がする。


 そして画面は真っ暗になった。 俺は真っ暗な空間にいた。向き合えといえど何をどう向き合えばいいのかわからない。


 その時─


(見つけたぞ)


 暗闇の中、何か声にならない声が一瞬通り過ぎた。


(次男はここにいたか。 この顔…恐怖に抗えない顔している。 純粋さからくる恐怖は格別のご馳走や!)


 得体のしれない何かは健堂の様子を見て今かと喜んでいた。


 コツコツコツ…。


 そんな中、足音がこちらに向かってくるように徐々に大きくなってきた。真っ暗の中、どことなく見覚えがある面影。 そして俺の前に立ってその暗闇から姿を表したのはなんとーー。


「え…兄貴!!」

「健堂…何だその顔は?…ああ、つらい過去を思い出したのか

 もう、お前は何もしなくてもいい、嫌だったらそのまま蓋をしたままでもいいんだぞ、健堂!

 全部俺に任せたらいい、さあ、帰ろうか千のお面へ」


「兄貴…!!!うわぁぁぁぁぁぁっ!!!」


 俺が泣いて兄貴に抱きついた瞬間だった。俺の何かが黒く染まっていくのが感じていた。


 すると、霊界の向こうにいるもう一人の俺がーー


「若かりし頃の俺!!何をしている!!!!!

 そいつは本当にお前の兄か? お前の能力は飾りか!!!!!!!!

  しっかりしろ!!!!!!!!!!!!!!」


 そう声をかけられたら、俺は勝手にシミュレーションをしていた。

 俺の目には兄貴ではなく鬼が映し出されていた。


「待てよ、お前は誰だ!!」


 俺はその鬼が手を差し伸べた手を思いっきり跳ね除けた。


「お前にはわからないと思うが、よく考えたら兄貴はそんな安請け合いのような言葉は絶対に言わない!


 あの時感じた温かさがお前には微塵も感じ取られない!! 俺を騙そうとしたそこのまがい物!正体現せ!! とくと見ようじゃないか!!!」


 偽物の兄貴、否ー鬼は、驚くほど正直に姿を現した。

 それと同時に俺のシミュレーションがまた働いてどこか違う世界へ飛ばされそうな感覚に襲われた。


 そして俺がまだ見たこともない物語が始まった。


「何だ…これは」


 ***


 ーージェイル視点ーー


「おう、もうこれがわかるのかさすがは長男…なんだ目障りなジェイル」

「ご、ごめんなさい」


「お父さん、お母さんはひどいや弟にはいつも冷たすぎる ジェイル、こっちにおいでお兄ちゃんと一緒に遊ぼう」

「お兄ちゃんは…怖くないの…?僕のこと…?」

「何言ってるんだよ、どんな力を持ってても俺は誇りに思うよ この間も僕が事故に合いそうなときに、引き止めてくれたじゃないか

 なぜ、お父さん、お母さんには君の優しさが届かないんだろうね」


 ぐぬぬ、なぜ俺は昔のシミュレーションを思い出させているのだ、それ以上はやめろ!俺がーー俺が保てなくなる!!!!!!!!


 この人間の感情ーーー俺のものではない!そうだ!俺の好物は恐怖だ。

 純粋無垢なこの次男のようなものから奪い取ってご馳走をいただくのが俺だ!

 これは俺ではーー俺ではーーーぐあああああああああああああっ!!!!!!


「お兄ちゃん、今日はダメだよ!事故にあって大変なことになるよ! ねぇ、本当に今日じゃないとダメなの?」

  「ジェイル…これは約束したけど…よく考えたらお前のいうとおりだよ、断りの電話いれてくるね」


 これはーー、ぐああああああああああっ!!!!!!


「もしもし、ごめんちょっと親から頼まれたことがあってさ今日はそっちにいけないや、明日の帰りに頼む、マジでごめんな」

「ありがとう、お兄ちゃん」


(…あれ?これ、俺も同じことをしたことがある)


 ああああああああああーーーーーっ!!!!!!この感情だけは、この感情だけはーーーーーー。


 どこか懐かしい。あの時も兄貴だけが味方だったあの温もりのある言葉。 俺は我が身を疑った。それまで醜い鬼が一瞬だけだが人間の姿を取り戻しつつあった。


 その鬼は見るに耐えなくなりどこかへ消えてしまった。


 ***


 ーー健堂視点ーー


「そういえば俺も…一つだけ忘れてたことがあった」


 確か、兄貴もどこか行くときに俺が引き止めたことがあった。


「兄貴、別に今日じゃなくてもよくないそれ…実は俺も興味あるからちょっと貸して」


 このとき、俺は兄貴がシュミレーションで事故に遭うことが事前にわかっていた。

 はっきりとは言わず、口からでまかせだったが、何としてでも兄貴を止めたかった。

 大事な兄貴が大変なことになると俺としても胸が痛すぎる。


「いやこれ友達に借りてる漫画だしな…でも言われてみれば、その友達も急がなくてもいいと、明日にするか、ありがとう健堂」


(ありがとう…お兄ちゃん)


 このときのあの温かな視線をやっと思い出した。そして過去の俺と思いが重なる。


 その夕方、俺の近所でトラックの事故があった。ちょうど兄貴が友達に返しに行くときに通りかかるいつもの道だった。

 あの日、負傷者ゼロ、痛々しいトラックの形跡だったが誰も傷つかず運転手も奇跡の生還を果たしていた。


 パズルのピースを見るように俺はその鬼の正体がわかってしまった。


「俺だ…これ過去の俺だ 兄貴一人に任していい問題じゃない…!俺も終止符を打つよ兄貴」


 こうして俺は、気がついたら、真っ白な空間にいてもう一人の俺とスローンのお姉さんがそこにはいた。


「う~ん、まあギリギリ合格点ね。 危なかったわよ、健堂」

「…ああ。 あと少しで、俺もジェイルみたいに…」

「でも、お前は踏み止まった。 それを忘れるなよ」


「…ありがとう。俺」


 こうして俺の試練が終わった。







ここまでお読みくださりありがとうございます。

かなり重ための展開でしたが、どうにもならないから諦めかけていた彼が別の選択を取った瞬間です。

次のサイドストーリーは、ジェイド編です。

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