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第4.5章ジェイド:The Fading

以後、.5はサイドストーリーとなっています。

またこの章を読んでから第1章を読むとまた違った角度で楽しめます。

今回は末っ子のジェイド編です。

 私はジェイド。仮面一族の末っ子で長女。小さい頃から精霊が守られているような感じがしてた。特に水の精霊と風の精霊がお気に入り。

 上には2人の兄がいるけど大吾のお兄ちゃんは仮面の仕事で忙しいから毎日やったことを報告してるけどなんか最近は視点が合わない。

 健堂お兄ちゃんは、親身になってるけどなにかが起こるたびに顔面真っ青になるときがある。


 今日こそは大吾お兄ちゃんが何に悩んでるかさぐってやるんだから!!


「ねぇ~大吾お兄ちゃん!見て今日はあっちらへんの探索をしていっぱい探索してきたよ、それとね水の精霊さんがね~面白いことを教えてくれたの~」


 いつも明るく振る舞うけど、大吾お兄ちゃんの返事がそっけないのはいつものこと。でも何回も繰り返し似たような反応を見たら、どこか、なにか思い詰めている感じがする。


「……すまん、ジェイド。どうも寝不足気味でいつもお前の話を聞きたいが、また後でな」


 ああ、始まったいつも私を見ているようでどこか遠くを見ているそのなんとも捉えがたい目。私はどうすればいいの?もしかして私のせい?でも今日は違う。この大吾の雰囲気の原因を突き止めたいから質問する。


「ねぇ~大吾お兄ちゃん、調子はどう?なんか最近悩んでない?」


 どストレートすぎる質問だったと多少後悔するもののこの雰囲気をどうにかしたい。私がなにかしたなら言ってくれてもいいじゃない。なにかわかるかあんと期待したけど大吾の返事は相変わらず。


「お前が心配するほどでもないよ、ジェイド。俺ちょっと休んでくるわ――。」


 そう言って大吾は自室に戻っていった。やはり今日も、何も答えてくれなかった。どこかさみしげて本当にとらえどころのないあの表情。もしかしてなにか隠してる?と思ったりしてもそれ以上の詮索はやめた。疲れているならしょうがない、また日を改めようと思った。 でもそんな平和な日々はあの音でかき消されていく。ある日の夜のことだった。私は精霊さんと寝るためにベッドに入った。


「今日も楽しかったね~♡」


 と彼らに話しかけるといつもなら喜んで笑っているのにこの日だけは違った。精霊らしからぬっていったら失礼だけど、ものすごい剣幕を立てていた。


 私が「どうしたの?」と聞くといつもならおとなしい精霊たちが口をへの字にさせ、訴えかけてきた。


「大吾・・・怖い」

「大吾・・・悪いやつ」

  「大吾・・・仲間いじめてる」


 その瞬間私は我を失ってしまった。私の大好きなお兄ちゃんが私の大好きな精霊たちをいためつけている。


「お兄ちゃんは心の優しいお兄ちゃんだよ!そんなこと言わないの」


 私はちょっとムッとなった。大好きなお兄ちゃんが悪者扱いされるのは勘弁してほしい。でも精霊たちは同じことをいい続けている。そして付け加えてー。


「いますぐ……地下」 「地下……仲間……いためつけてる」


 そして耳を澄ませていると精霊たちがいうように、地下から何かを打ち付けるような高い音がかすかに聞こえてきた。私はそのとき急いで飛び起きて地下に向かった。確か地下は大吾が見るなとか言ってた場所だった気がする。でも見てもいいのか、それにしてもこの子達がいつも似まして地下に近づくにつれて怯えた表情をしていた。私は精霊たちを慰めることで頭がいっぱいだった。


 地下に到着したら、想像もしていなかった光景が目に入る。ちょうど岩と岩の切れ目から様子がうかがえるのでバレないように見た。


「……っ!!」


 私は絶句してしまった。大好きな私の精霊が、籠に逃げられないように閉じ込められ精霊を覆うくらいの籠だったので身動きも取れない状況だった。その籠にはチューブが1本繋がれていて、よくは見えないけどどこかに繋がっている様子だった。ちょうど精霊の温かな光が吸われどういう仕組みかはわからないけど、機械の一部からは邪悪な光が漏れ出ていた。


 そしてその機械で操作をしているのは、私が大好きな大吾だった。


(どうして!なぜ?)


「ここか……お前は何も見てないな?ジェイド」


 こうしてあっけなく大吾お兄ちゃんにバレた。 しかし、何かがおかしい。 目つきが違う。髪型も違う。いつもの優しいお兄ちゃんなのに、 何か別の〝何か〟が混ざっているような……違和感が半端なかった。


「さっさと答えろ、ああもう時間がない!そいつを貸せ!」


 大吾お兄ちゃんは私から精霊を強引に奪い取ろうとした。

(動かなきゃ!この子を守らなきゃ!)

  頭ではわかってる。でも体が動かない。震えが止まらない。 私は……やっぱり何もできない。 大好きなお兄ちゃんの前で、大好きな精霊すら守れない。 情けない、大好きな精霊が自分の大好きなお兄ちゃんに奪われいい道具として利用される。

  その瞬間、精霊たちが危険を察知した。 小さな体が光り輝き――、

「キィィィィィン!!!」

 耳を塞ぎたくなるような高い音が地下全体に響き渡った。 すると、どこからか足音が。

「ジェイド!!!」

  健堂お兄ちゃんが全速力で駆けつけてくれた。


「大吾、やめろ!お前は何をしているんだ!!ジェイド!?大丈夫か?」


 健堂お兄ちゃんのおかげで、精霊たちはその隙をついて霊界に還っていった。私は健堂お兄ちゃんに伝えたいが放心状態のまま倒れ込んだ。私の信じていたお兄ちゃんの裏の顔を知ってしまった。振り返れば、私が聞きすぎたことがダメだったのかもしれない。どうして何もいってくれないの?やっぱり私が悪いの?


「大吾……まさか……その仮面は……」

「………………」

「だんまりかよ!お前を見損なったよ!もう俺の兄でもなんでもない!!」


 健堂は自身の怒りを大吾にぶつけ頬を殴りつけた。

 しかし健堂の表情はどこか遠い目を見ていた。

 大吾は地面に叩かれたまま気を失った。それと同時に健堂の脳内ではあの残像が再生される。


「こんなときにまたあのビジョンかよ!!!!!しつこいな!!もう!!」


 兄貴!!!!もうやめてくれ!!俺が悪かった!もっと早くこの結果についていっとけば、兄貴が仮面を完成させたときに強引でもとめておくべきだった!


 あ…………にき……。 お兄ちゃん!!だいじょ……ああああああああーっ!!!!!!! やめろよ……兄貴とジェイドを返せぇぇぇ、この化け物め!!!!!!!


 …………………………。


「やはり結果は変わらない……何千回試してもダメだった 本当にもうだめかも知れない ごめんな、ジェイドー俺、兄貴を止められそうにない、本当にごめんな 何もできない兄貴で申し訳ない」


 健堂は涙がジェイドの頬を伝う。 そのままジェイドを抱え込み、階段を登って部屋へ連れて行った。


 ***


 一方その頃、気を失った大吾が地面から起き上がった。


「俺はなぜここで倒れている? ………………っ!!!!!! なぜ仮面が、完成しているのだ!」


 身に覚えが全く無い。どうやら最近かなりの寝不足で歩くのもやっとだった。いつしかジェイドが聞かせてくれる話も聞かなくなり、健堂とのたわいな雑談もここ何日もしていなかった。でもなぜか健堂に殴られた気がしてならない。


 大吾の脳内から悪魔のささやきが聞こえてきた。


<<よくやったぞ、大吾。 お前は正しい。お前の探究心は何も間違っていない。 幼い頃、皆からバカにされたな?

 でも見ろ。お前は成し遂げた。 仮面を完成させた。 お前の両親も喜んでいるぞ! さあ、ワープゲートをくぐれ!

  お前が求めていた真実が、そこにある>>


「ああ、そうか。俺の夢が叶うのか、霊界行きたかった理想の場所、バカにされていたあの日々が終わる、俺は正しかったんだ、正しい兄貴だったんだ」


 大吾の目から、人間らしさが消えていく。どす黒い何かが彼を覆い尽くした。


(フフフフフハハハハハ、仮面の一族も長男を崩せばチョロいもんだ!!! あとはご馳走をいただくだけだ!!!!

 ここを制圧したら生きている人間の不安や恐怖を独り占めができる!そして俺の苦労も終わりを告げる)




 第1話へ続く

ここまでお読みくださりありがとうございます。

次回は、第5話の本編に戻ります。

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