第1話
仮面は、幼き頃から 己の武器になると信じ身につける
あるものは、嘘を付くために
あるものは、人の機嫌を伺うために
あるものは、自分が優れていると信じるために
あるものは、己の成功のために
あるものは、他人を蹴落とすためにー
そうして、人は仮面の本当の恐さを知らず沼にハマる
ーーああ、俺もそうだった。
???<<勘違いするなよ、俺はなにもしていない! 俺に活力を与えているのは貴様ら人間の方だよ! 恨むなら自分を恨め!!>>
仮面が完成したあの日、理想は現実に変わった。足の踏み入れたことのない霊界。
話でしかわからなかった霊界。
本当に存在するのかわからないものに興味を抱くとは幼少の頃、他の人からバカにもされた。
しかしそれが全て覆される。
そして俺は1歩足を踏み入れた。そこに待っていたのは抱いていたものとは全く異なる世界だった。
「真っ白ーなにもない……」
広がっていたのは、ただ真っ白でなにもない空間だった。現実に存在していれば落ち着かないはずだが、なにもないのに非常に落ち着く印象だった。そして見慣れたことのある粒子がそこに存在していた。
俺はそれが何かわかった。そしてほしかったもののうちの1つでもある。そうそれがー。
「ゼロポイント」
存在するが、得体のしれない何か。人はこれをまやかしといえば何でも叶えてくれる都合の良い道具とも言われていた。
特に興味深かったのが、祖父からの話だった。
ー回想ー
「ゼロポイントは、何でも叶えてくれるがその代償はお前の心の持ち方次第で変わる。面白いことに今まで考えたことすべてで判断する。つまりだ、その場で崇高な事を考えても意味がないということだ。それが悪意に満ちていれば悪意が返ってくる
まあ出会うことがないが、黒塗りの連中にこれがわたると破滅的な結果をもたらす。欠片ですらエネルギーが強いのに球体ごと破壊されてはこの世界は無にかえる
しかし不思議なものだ。そんな黒塗の連中の中には頭の切れるやつがいる。
はじめは裏切りを見せつけどう見ても悪なのに、最終的には欠片を守っているかのような行動をする。
まあ、ここに欠片が降ってくることはないが、大吾。
もし万が一にだ欠片が降ってくればそいつを探せ。それまでに心を磨いておけ、悪意に満ちることなく黒く濁すな…そしてそのとき我ら一族の力が役に立つ。
ただただ仮面に魔力をこめているだけではないことがいずれわかる」
あの日、ゼロポイントの欠片が落ちてきた。結局、黒塗りの連中が・・・欠片を守る守護者が誰かわからないまま仮面が完成してしまった。
そして今自分はこの真っ白い空間にいるのだが、異変が起き始めた。黒く変わり安らいでいた空間がただならぬ空間に変わっていく。
そして祖父の言葉を思い出したが遅かった。
「心を磨いておけとはそういうことだったのか…まて、ということはここは…」
ようやくここで俺はゼロポイントの中にいることに気づいた。すべて人の役に立つためにと思っていたが自分の心の奥底では欲に満ちていた。この欲で人を動かそうとしていた。
自分の作ってきた仮面に鬼の角が・・・どこからともなく聞こえてくる声ー
「そのような・・・の状況で・・・を知りたい欲だけで・・・なんという」
「人という・・・なぜ・・・繰り返すのでしょう」
「それは・・・なのか?その・・なら・・・力・・・無・・・だ」
聞き取れないが、瞬間的に良いことを言っているのではないと気がついた。あまりに醜かった、慢心していた。自分の心は完璧であると・・・。
逃れることもできないまま身を任せてしまった
最後に出てきた言葉は、健堂とジェイドに申し訳ない気持ちだった。
こんな不甲斐ない兄で申し訳ない…自分の欲で…つまらぬ探究心で…鬼へと変わろうとしていた。
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