表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

包まれた桜花賞馬

5月を迎えて春も終盤、初夏の陽気を漂わせながら府中5週連続GI開催も折り返しとなる。

伏兵ラウダシオンが2歳女王レシステンシアを競り落としたNHKマイルカップ、女王アーモンドアイが中止となったドバイワールドカップデーの鬱憤を晴らす大楽勝劇を演じたヴィクトリアマイルが行われ、ついに中日の優駿牝馬、オークスを迎えた。

なんといっても注目は無敗のまま桜の栄冠を掴んだデアリングタクト。中間も順調に調整され、ミスオンワード以来63年ぶりの無敗での2冠制覇達成に多くの注目が集まった。

そして2番人気はデゼル。未勝利戦でデビューし、続くオークストライアルのスイートピーSを上がり3F32.5の豪脚を繰り出して鮮やかな差しきり勝ち。こちらも無敗でのオークス制覇を狙う。

桜花賞で離された4着だったクラヴァシュドールが3番人気であった。そしてフローラSを早め先頭で押し切り、鞍上の横山武史に初重賞制覇をもたらしたウインマリリン、忘れな草賞を制したウインマイティーのウイン2騎が新たに名乗りをあげるも、どちらも人気薄。ここに加えて桜花賞勢、といったメンバーでレースは行われた。

土日を通して晴れ、良馬場で行われるオークス。

2冠か、それとも無敗のオークス制覇か、新星が勢いそのまま掴み取るか、桜花賞からの逆襲か。

それぞれの思惑渦巻く優駿牝馬が幕を開ける。

1-1 デゼル D.レース

1-2 クラヴァシュドール M.デムーロ

2-3 アブレイズ 藤井

2-4 デアリングタクト 松山

3-5 ホウオウピースフル 内田

3-6 リアアメリア 川田

4-7 ウインマイティー 和田

4-8 スマイルカナ 柴田大

5-9 インターミッション 石川

5-10 ミヤマザクラ 武豊

6-11 リリーピュアハート 福永

6-12 マジックキャッスル 浜中

7-13 ウーマンズハート 藤岡康

7-14 フィオリキアリ 田中勝

7-15 チェーンオブラブ 石橋脩

8-16 ウインマリリン 横山典

8-17 マルターズディオサ 田辺

8-18 サンクテュエール C.ルメール


GIファンファーレが観客のいない競馬場に鳴り響き、3歳牝馬にとっては過酷な2400mであり、一生一度のオークスが発走する。

ゲートが開き、スタートが切られた。

11番のリリーピュアハート、チェーンオブラブが出遅れた。始まる先行争い、桜花賞でも逃げたスマイルカナが楽に先手を主張していく。2、3番手を巡る先行争いは内からアブレイズ、ホウオウピースフルが出していき、外からはウインマリリンも一気に2番手を伺う勢いで進出する。更に最内からはクラヴァシュドールも前に取り付き、僅かにウインマリリンが前も、横一線の2番手集団を形成し、1コーナーに入っていく。

逃げたのはやはりスマイルカナ、1馬身ほどリードを取る。その後ろ、内に入れながらウインマリリンが2番手、3番手にクラヴァシュドールとアブレイズが追走し、1馬身半後方、ウインマイティーとホウオウピースフル、フィオリキアリが居て5-7番手集団を形成している。さらにそこから1馬身離れたとこにミヤマザクラとウーマンズハート、マルターズディオサが居てこの辺りが前スマイルカナから5馬身の位置。

この後ろに2馬身は置かれたか、リアアメリアが居てこれが11番手、これを1馬身遅れて追走するのが桜の女王デアリングタクト、その外にインターミッションがいる。その後ろ、デアリングタクトをピッタリマークするはデゼルとD.レーンがいる。その内からかかり気味にリリーピュアハートが上がっていき、後ろにはサンクテュエールとマジックキャッスルの2頭が追走。最後方にチェーンオブラブが居て18頭やや縦長、1000m59.8のペースでスマイルカナがやや飛ばして逃げている。

差を少しずつ広げにかかった柴田大知とスマイルカナ、2番手ウインマリリンとの差を5馬身程に広げて力の逃げを打つ。ウインマリリン横山典弘はこれを追わずに単独2番手を確保し脚を溜めている。後ろの各馬これを追う素振りは見せずに残り1200を切って3コーナーの勝負所に入っていく。

スマイルカナがややペースを緩めて息を入れにかかったか、リードが1馬身ほどに詰まる。外から早め早めに2番手に上がってきたのはクラヴァシュドール。ウインマリリンは内でじっとして動かず、その後ろからはアブレイズとフィオリキアリも手綱を動かして進出を開始してきた。前のペースが一気に上がって3.4コーナーの中間地点を通過していく。

スマイルカナが先頭で4コーナーに入っていく。2番手外に出してクラヴァシュドール、その外にアブレイズ、チェーンオブラブが居てウインマリリンは内に構えた。デアリングタクトは後方集団で外に出そうとするが出せずに馬群のの真っ只中、デゼルはそのデアリングタクトからサンクテュエールを挟んだ外から進出を開始し始めた。

スマイルカナが4コーナーを回りきり、直線に向いた。スマイルカナ先頭だがここで早くもクラヴァシュドールが並んで先頭に立とうとして残り400を通過。その外からは馬群を割ってきたウインマイティー、内の狭いところを捌いてきたウインマリリンが上がってくる。アブレイズ、フィオリキアリは置いていかれた。

外を見るとマルターズディオサ、リアアメリア、デゼルが大外に出して伸びようとしている。デアリングタクトは何処にいるか、マルターズディオサの後ろ、リアアメリアの内に居る。更に内にマジックキャッスルが居てこれでは中々進路が見つからない。松山は一度マルターズディオサとリアアメリアの隙間を突かんと2頭の間を目掛けて馬を追い出す。

しかし、開かない。正確には元々開いていた進路がリアアメリアが内に行ったことで閉じてしまった。これでは前に出られない。仕掛けが遅れた。

ここで前を見るとクラヴァシュドールが先頭に変わったが、内のウインマリリン、外のウインマイティー、この2頭の脚色がいい。後ろからの差し脚はどうか、各馬前を捉え切る程には至らない。

デアリングタクトはどう差してくるか、マルターズディオサの外か、いや内を狙う。内を狙ってデアリングタクトが馬群を抜けて一気に差し脚を伸ばしてくるが前とはまだ5馬身近い差がある。

前はここで一気にウインマイティーが抜け出して先頭に立った。内からは懸命に追ってウインマリリン、2頭の間クラヴァシュドールも懸命に粘っているが少しずつ離されていく。そしてその外、馬群を割って抜け出してきたのがデアリングタクトだ。

残り200を通過。3頭に絞られた。

馬場の3分所を抜け出したウインマイティーが先頭、最内経済コースを通って懸命に追うウインマリリン、そして馬場の真ん中に2頭から2馬身半ほど遅れているが、馬群を抜けて前を猛追するデアリングタクト。樫の女王の争いはこの3頭だ。

抜け出したウインマリリンに対して外からデアリングタクトが物凄い勢いで差し脚を伸ばしてくる。一完歩一完歩が大きく、一気に捕まえんとばかりに追ってくる。懸命に抵抗するウインマイティーだが、内からウインマリリンも最後強襲を仕掛けてきた!

残り50m、3頭横に広がった追い比べ。


いや、追い比べにはならない!外からデアリングタクトが一気に突き抜けた!デアリングタクトが内のウインマリリンを捉え、半馬身突き抜けた。

ここに63年ぶり、無敗での桜と樫の2冠が果たされた。

残り1400mからペースが急激に緩み、前のウインマリリン、ウインマイティーが前で上がり3ハロン34.0、34.1を使う瞬発力戦となった優駿牝馬、後方各馬はこの上がりを超えれずに詰め寄ることが出来なかった。しかしただ1頭、デアリングタクトは33.1。

馬群に包まれて追い出しが遅れた桜の王者は馬群を抜け出してから鮮やかに炸裂した極限の末脚で2冠目を鮮やかに射止めて見せた。


桜と樫の2冠を成した牝馬と騎手、彼女らが見据える先は当然ながら淀の晴れ舞台。秋の燃えるような赤色の花を掴み、三冠に華を添えるか、はたまた他の牝馬がデアリングタクトを打ち倒し、三冠に待ったをかけるか。

少なくとも春はデアリングタクトの1人舞台に終わった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ