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隣の席の星川さん

作者: 霧澄藍

 隣の席の星川さんは間違いなく美人だ。誰がどう見たってその事実は変わらない。




 チャイムが鳴る。授業が始まる。授業中もずっと隣に居られるこの席に感謝だ。


 思えばあの席替えの日、僕はありとあらゆる争奪戦に負けて、最後にくじを引いた。それで、引き当てたのだ。位置は間から二列目、窓側から二列目でちょっと微妙だったけど、星川さんが来た。このクラスの全男子において、星川さんの隣の席は間違いなく一番の当たり。残りものには福があるとはうまく言ったものである。


「隣だね。よろしく」


 一言。たった一言でも、僕の一日は薔薇色に染まる。普段はそもそも目を合わせる機会すらないのだ。普段は億劫な授業も、正直めんどくさい「ちょっと周りの人と話し合ってみましょう」も、ご褒美になる毎日が楽しくて楽しくて仕方ない。それで、ここのところ数週間はいつもより早く学校に行ってこの席を堪能している。


 …ほら、今一瞬校庭の方を見た。やっぱり気になる人でもいるのかな。今体育をやっているのは、3組だったっけ。だから、えっと…あ、あいつか、いや、でもそんなそのへんの男を星川さんが好きになると思えない。だって、あの星川さんなんだから。きっともっとすごい誰かと…ダメだ想像なんてしたくない。

 クラスのヤツは……ありえないな。学校のにろくな男はいない。もちろん僕も、いや、本当に本気で星川さんが見てくれるならそりゃ嬉しいことこの上ないけど?でも、まあ、今は隣にいるだけで満足だからいいんだ。


「ねえ、ちょっと聞いてる?」


 後ろから声がする。なんだよ、せっかく星川さんを見てるのに。

 目を離したくはなかったが、振り返らないわけにもいかないので、取り合えず振り返る。


「何?」

「はい、これプリント。先生が間違って横から回したって」


 何をどう間違えたらそうなるんだよ。黒板前にしかないだろうが。せっかく星川さんを見て…ん?これは、もしかしてもしかするとすごいチャンスなのではないか?だって僕から星川さん違和感なく話しかける絶好の機会!活用するしかない。


「ありがとう!」

「どういたしまして…?」


 さて、どうするか。このまま回すなら「はい、プリント。」か、それとも「これ、回ってきたから。」か。いや、ちょっと格好つけてるように見えるか…難しい。じゃあ、「これ。」だけとか。いや、それもそれで思春期男子と思われたくない、いや、もしかするとそっちの方がよかったりするのか?でも…


「ねえ?それってさ、」

「は、はひ⁉」

「プリント、だよね?回してくれない?」

「あ、はい、どうぞぉ~」

「?ありがとう」


 渡した瞬間にちょっと手が触れたのは気のせいではないだろう。静まれ僕の心臓!あと多分顔赤くなってるからどうにかしろ!

 にしてもやっぱり目線が合ったときの破壊力が…すごい。美人。

 ………じゃなくて!やらかしたんだよ、これじゃただの全然プリント回さないクラスメイトじゃん!ああ、せっかく上げた(多分)好感度がああああ

 今からでも謝ったほうがよかったりする?でも逆に変?え?じゃあどうするのが正解?星川さん…


 思わず顔を上げると、少し笑ってる星川さんと目が合った。




 隣の席の星川さんは間違いなく美人だ。誰がどう見たってその事実は変わらない。

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