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「食事量と体型は、体質もあるからしょうがないですよ師匠」

「リャニャさん、筋力はありますよ。見習い魔女ですから」

 クラシュ師匠の苦言から、先輩ふたりがリャニャを庇う。

「なら、お前らも持ってみろ。話はそれからだ」

「いやいやいやいやいやいやいやいや」

 慌てたようにサトラ先輩が、ブンブン首を振る。

「リャニャちゃん、女の子ですよ?そんなひょいひょい、物みたいに持ち上げたら駄目ですって。大事に、丁重に扱わなきゃ」

「ああ」

 クラシュ師匠が目を細めて、サトラ先輩とアガード先輩を見る。

「お前らの貧弱な腕じゃ、リャニャでも持ち上げられないか」

「そっ、う言うことじゃなくって!貧弱は否定しませんけど!さすがに小柄な女の子ひとり、抱えられないほどじゃないです!」

「どうだかな」

 ふん、と鼻で笑うクラシュ師匠。アガード先輩が、無言でサトラ先輩に歩み寄った。

「うっひゃあ!」

「持ち上げるくらいできますが」

 子供を抱き上げるように両脇に手を差し込んで、アガード先輩はサトラ先輩を持ち上げる。

「女性の体型をとやかく言うものではありません。少し前の私のように、不健康に痩せているならともかく、リャニャさんは健康的な体型の範囲内でしょう」

「は、つげんには、全面的に同意ですけど、僕を持ち上げながら言うことじゃないです、先輩」

「おや、すみません。腕力が貧弱などと言う不名誉な疑惑を解きたかったもので」

 ストンとサトラ先輩を降ろして、アガード先輩が肩をすくめる。

「相変わらず先輩、その細腕で腕力トロルですね。どこにあるんですか筋肉」

「リャニャさんのお陰で最近は腕も太くなりましたよ」

 言って、腕をまくって見せるアガード先輩。

「いや、ほっっっそ」

「そうですか?これでも肉が付いて来たのですが」

 ちらりと見たアガード先輩の腕は、雪のように白くて、鹿のように細かった。

 もう少し、食事に動物性蛋白質を増やそうと、リャニャは内心で決意する。肉を付けろと言うクラシュ師匠の言葉も、頷ける細さだった。

 かく言うリャニャは言われるほど、見た目に痩せ細った身体はしていない。健康診断でも、ちょっと軽いかもと言われるくらいの、ほぼ標準体型だ。ただ、クラシュ師匠と比べると、頭ふたつ分背が低いので、標準体型でも軽く感じたのではないだろうか。

「アガード先輩なら僕も持ち上げられる気がして来た。ちょっと持ってみて良いですか?」

「嫌ですよ。なにを言っているのですか」

「自分は問答無用で持ち上げといて!?」

 アガード先輩とサトラ先輩がじゃれ合っているあいだに、リャニャは昼食のパンを食べ終え、ふわふわで温かいミルクも飲み終えた。

「子供があまり、カフェインを摂るな。ミルクにしておけ」

 どうやらクラシュ師匠は、リャニャがカフェオレを愛飲していることにも、一言もの申したかったらしい。

「スチームミルクもカフェテリアなら売っているし、そもそもミルクを泡立てるくらい、魔法で簡単にできるだろう」

 確かにいまリャニャが飲んだミルクも、クラシュ師匠が魔法で溶かして泡立てた、粉ミルクだったようだ。言われてみれば、できないことではない。

「そうですね。飲み過ぎは控えます」

「なら良い。魔法式を試すんだろう。やってみろ」

 言ってクラシュ師匠が、魔法式を展開する。

 これは、闇の、精霊召喚?

「ああ、なるほど」

 アガード先輩が頷いてから、首を傾げるリャニャに説明する。

「闇の精霊は、それ以外の精霊から忌避されています。特にいま、師匠が召喚したのは闇の上位精霊ですから、周囲の精霊はいなくなったでしょう。そうですね、この部屋と、半径三十(けん)ほどは」

 周りに、精霊がいない、と言うことは。

「精霊召喚に成功しないと、魔法が発動しない」

「そう言うことです。さらに言うならば、闇以外の精霊召喚が発動しにくい空間にもなっているので、ここで発動可能な魔法式は、いえ」

 アガード先輩が、言葉の途中で眉を寄せる。

「この空間でもリャニャさんであれば、精霊召喚の障壁には、」

「ああ。だから」

 頷いたクラシュ師匠が、リャニャに片手を出す。

「魔法式は、俺が展開する」

つたないお話をお読み頂きありがとうございます


オカン……いや、オトンかもしれない……師匠……


続きも読んで頂けると嬉しいです

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