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パーティーと試験

軽くヒロイン紹介その1

俺は今、ラタセントの酒場で3人の美少女と席を囲んでいる。

行き掛かり上ではあるものの、彼女らに助けたお礼をしたいと酒場に誘われたのである。

商会で仕事を探すつもりだったが、この世界へ来て何も口にしていない事に加え、色々知るいい機会とも考えた結果、素直に厚意に甘える事にした。


「あのっ、さっきは助けてくれてありがとう。」

正面に座っている、戦士の格好をした少女がお礼を言ってくる。

「俺も気づいたら声掛けてただけだから気にしないでくれ。」

「そんな事ないよ!あのまま買い取って貰えなかったら、私達とっても困ってたから。」

少女は真っ直ぐな目でこちらを見ながら、感謝してる事を伝えてくる。


「あ、ごめんなさい。そういえば自己紹介がまだだったよね。」

「私の名前はトトマラ。こっちの2人はウルレアとアリス。」

トトマラと名乗る少女は人懐っこい笑みを浮かべている。

栗色のボブカット上にある獣人である事を示す耳をぴょこぴょこ動かしてこちらを見つめるその表情から、初対面ながらも彼女が天真爛漫な性格である事が伝わってくる。

やや食い気味に話すその喋り方も、彼女の魅力をいい意味で引き出している。


「俺は浅井怜也アサイトキヤだ。 俺の事はトキヤでいい。」

分かっていた事だが、聞きなれないであろう名前に難しい顔で反応する彼女達へ伝える。

「トキヤだね、分かった。ほら2人も挨拶挨拶!」

急かす様な催促に、左側に座った少女が話しかけてくる。


「えっと、私はウルレアって言います。先程は助けてくださりありがとうございました。」

俺より身体の大きい彼女がぺこりと頭を下げる。

艶やかなシルバーアッシュのロングヘアーとやや切れ長の瞳に加え、モデル顔負けのプロポーションをしており、俺含め大抵の男は目を奪われるに違いない。

トトマラのより長く細いしっぽも、彼女の美しさを引き立てるアイテムの一つとして見事に調和していて、3人の中でも圧倒的な色気を放っている。


自分以外の自己紹介が終わり、視線を一身に集める。

それに耐えかねたのか、渋々といった感じで右側に座った少女が自己紹介をする。

「アリスよ。さっきはその・・助かったわ。」

人へお礼を言うのに慣れてないのか、視線を合わさずにぶっきらぼうに礼を言う。

やや小柄ではあるが、耳や尻尾といった獣人特有の特徴は彼女には見当たらない。

ただ、魔女帽子を脱いだ彼女の髪はとても綺麗な緋色をしていた。


挨拶も一通り終わると、運ばれてきた食事を囲み団らんの時を過ごす。

右も左も分からない状況で酔っぱらう訳にもいかず、アルコールはさすがに自重しておいた。

運ばれてくる料理はよく分からない生物の肉もあったが、どれも現代人だった自分の舌を十分満足させてくれる味付けだった。

食事が終わり、一息付いていたところへトトマラから話しかけられる。

「そう言えばそのまま連れてきちゃったけど、トキヤは商会の依頼はいいの?」

「いや、俺は……」

転生してきた事はボカして、冒険者協会に登録して仕事を探すつもりだった事を告げる。


「へぇ~、じゃあこれから初めて依頼を受けるつもりだったんだね。」

「それじゃあさ、良かったら私達と一緒にパーティー組まない?」

ランチに誘うぐらいの軽いノリで、今日会ったばかりの俺をパーティーへ誘って来た。

トトマラの提案は、異世界へ来たばかりで右も左も分からない俺にとっては渡りに船だったが、それを聞いたアリスは机を叩き抗議する。


「ちょっと!いきなり何言ってるのよ!!」

「こんな得体の知れない男をパーティーに誘うなんて認めないわよ。」

客観的に見ればアリスの意見の方がまともに思えるが、目の前で堂々と言われるのは流石に気分が悪い。


「うーん、いいアイデアだと思うんだけどなぁ。ウルレアはどう思う?」

話を振られたウルレアはおずおずとこちらを見る。

「先程助けてもらいましたし、私は別にいいんじゃないかなと…」

遠慮がちにではあるものの、賛成してくれた。

「ほらほら、2対1の多数決で決まり!大丈夫、きっとトキヤは私たちの力になってくれるって。」

トトマラはもう決定したかのように喜んでいる。

このままでは分が悪いと思ったのか、アリスは妥協案を提示してきた。


「じゃあこうしましょう。」

「アメドリムに戻って次の依頼が終わるまでの間に何かしら役に立ったなら、仲間として認めるわ。けど役に立たなかったらパーティに加える話は認めないわ。」

「それならその間にお互いの事も色々分かるだろうし。」

「え~~」

アリスの提案に不服そうなトトマラの声を遮り、置いてけぼりだった話に加わる。


「その提案通りでいいよ。役に立たないと思ったなら、この話は無しにしてくれて構わない。」

正直な気持ちを言えば、この提案がなくなり1人で生活するのは不安だが、自分が原因で目の前の少女達の空気が悪くなるのも嫌だった。


「お荷物のまま付いて行く事になっても俺自身スッキリしないからな。」

俺の意見を尊重してくれたのか、トトマラはそれ以上何も言わず話は一旦まとまった。

そのまま酒場を出たところで、俺は今1番気になっている事を口にした。


「服を着替えるにはどこへ行けばいいか教えてくれ。」

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