少年の旅立ち
ここは人間界、その中にある一つの小さな村でひとりの少年が旅立とうとしていた。
少年の名は勘太、今日で13歳である。
この村では13歳になると、一人前になるための旅に出ることになっており、勘太は今日が旅立ちの日であった。
「勘太、ちゃんと世界を回っていろんなことを見てくるんだよ。文章や絵なんかを見るときは、
”コード”って唱えるんだよ。」
「そう何度も言わなくてもちゃんとわかってるさ。いい加減俺のこと信じてくれよ、かあさん。」
「そういわれてもねえ。親はいつまでも子供が心配なものなのよ。」
「かあさんはずっとそうだね。ところで、父さんは?」
「あの人ならもう仕事に出かけたわよ。せっかくの息子の門出だってのにねえ。」
と、かあさんは少し不機嫌そうに言った。
勘太は、父は昔からなんだかんだ自分のことを信じてくれていたので、今回もそういう思惑だろうと
考えた。
「はは、父さんらしいや。」
「そうね。さあ、そろそろ出発の時間ね。いい?周囲の状況を調べる時は”ウェイブ”って言うのよ。
あと、なにかを調べる時は”コード”っていうのよ。それと、誰かに襲われたり、
魔獣を倒す時のためによく切れるナイフを渡しておくわね。」
そういうと、かあさんは刃が20cmくらいある鞘に入ったナイフを勘太にわたした。
それは軽めで13の勘太でも十分扱えそうだった。
「ありがとう、かあさん。」
勘太はそう礼を言った。
「そうそう、大事なことを言い忘れてたわ。帝国の奴らの前で魔法は使わないようにね。それじゃ、いってらっしゃい。勘太。」
「いってきます。」
こうして勘太は旅に出たのであった。