第6話~プロゲーマーの相棒~
スカイさんからの攻撃を喰らった私は屋上に隠れて回復をしていた。
「まさか回復せずに突っ込んでで来るとか、
ほんとに食えない男だわ」
スカイさんはブルークほどの実力を持っているわけではないが、相手の意表をつくのが得意だ。前に一緒にやった時も奇抜な作戦で相手を混乱させていた。けれども回復を怠る人ではなかった。終盤戦においてアーマーの差はほとんどない、回復をしっかりとしておかないと実力が勝っていても撃ち負ける可能性が出てくるため回復は大事だ。戦闘という気が最も動転しやすい状況下で焦らず回復ができるようになるのは簡単ではない。その分プロゲーマーであるスカイさんはそこら辺はきっちりと押さえてあるため回復をしないなどということはない、というヴァイオレットの決めつけのうらをかいた完璧な奇襲だった。
「さてっと、どうしたもんかなー、最初のダメージはとっくに回復しきってるだろうし、仕切り直しだなぁ。スカイさんと真正面からの撃ち合いとかごめん被りたいけど...」
といってもあまりいい作戦は思いつかないから、真正面からの戦闘は避けられないだろう、となると、
「罠かな」
屋上でヴァイオレットが罠を張り巡らせている頃、下ではスカイとケイドが回復と弾薬の準備をしていた。
「スカイさん、あの子何者です?撃ち合いに負けた後の判断が尋常じゃないぐらい速かったですよ、口ぶりからしてあなた知り合いでしょ」
「んー?あーあの子ね、んーこれ言ってもいいのかなー?」
と焦らすと、コメントの流れるスピードが増した。
『焦らさないで』
『教えて』
『可愛かった』
『プロの人?』
「うーん、プロではないよ。でも、これ言ったら怒られるからなー」
「誰に怒られるんですか?」
「こわーい人w」
「もー、焦らさないでください」
「わかったわかった、じゃあ誰にもいうなよ?」
『はーい』
『はーい』
『俺らを信じろ』
『ここでいうとアーカイブが残る定期』
『ばっかお前』
「あの子はブルークの相棒だよ、さすがにPNは控えさせてもらうけど」
「えっ!ブルークってあのブルークさんですか⁉︎」
「そうそう、プロゲーマーのブルークくん」
『マジか』
『あんな可愛い子囲いやがってブルークマジ許すまじ』
『可愛いし、強いとか天は二物与えてんじゃん』
『ちょい待ち、ブルークの相棒ってことは
インビジブルスナイパー?』
『何その厨二チックな名前w』
『マ?』
『えっ、あの近づく前に全員殺すからその姿を見たものはいないとかいうやつ?』
『↑それ』
『マジか』
「ありゃ、思ったより特定早かったな、うーん、これは俺怒られるなー」
「ブルークさんに相棒っていたんですね、あの人いつも違う人とやってるから基本ソロだと思ってました」
「まぁ、俺も最初はそう思ってたよ?ところがある日突然ランクマ手伝ってとか言って連れて行かれたらそこに知らない女の子がいてさ、まぁ彼女かなんかかなとか思ってたらめちゃくちゃ上手くてさ、で、ブルークに聞いてみたら『相棒』ってw、そりゃ強いわな」
「そんなに強いならプロゲーマーになればいいのに」
「うーんどうだろ?なんかブルークが嫌がってんだよね」
『独占だー!』
『ブルーク許すまじブルーク許すまじ』
『彼女ってこと!?』
「いや、それはないよ。あいつらはほんとに友達って感じだから安心していいよ」
「それでもブルークさんの相棒っていうのはちょっと嫉妬しますね」
「あれ、お前ブルークのファンだったの?」
「いやいや、ブルークさんはゲーマーの憧れじゃないですか。誰だって嫉妬しますよ」
「そういうもんか、まぁでも味方としてしか戦ったことなかったし、ちょっと本気出そうかな?」
「えっ」
『えっ』
『えっ』
『えっ』
『逃げて』 『あんな可愛い子に本気出すとか、この鬼!』
「おいおい、みんなひどいな。でも、女の子だからってみくびってるとこっちがやられるから仕方ないじゃん」
「そんな強いんですか」
「ああ、なんせブルークの相棒だからね」
ヴァイオレットとスカイの激突まであと1分。