第5話~プロゲーマーとのエンカウント~
「アマチュアだよ」
ブルークにも1on1勝率4割しか取れないし。
............なんかムカつくな。と、考えていると、さすがに私のアマチュア宣言には納得できないようで、驚きそのままに二人が話しかけてくる。
「アマチュア⁉︎うそ、プロじゃないの⁉︎」
「そのうまさで⁉︎信じられない、」
おおう、勢いがすごいね、そこまで変なこと言ったかな。ていうかブルークに負けまくってる側としては今の言葉はちょっと看過できないね。
「私は上手くないよ、毎日やってるけど、ほとんど勝てないやつがいるんだ、だから私は上手くないよ」
と、神妙な顔で告げると、二人は唖然としてしまった。いかんな、黙っちゃった。私のせいだよね?責任は取らなくちゃ。
「あーごめんね、なんか驚かせちゃったみたいで。でも、その話はまた後で、今はゲームに集中しよっ?」
「そう、だね。うん、こちらこそごめん」
「私も、ごめんね?」
「いいよ、いいよ。さ、この試合頑張って勝とう!」
「うん!」
「そうだね」
ふう、なんとか立て直すことができた。二人は配信中らしいし無言は放送事故だもんね。私のせいで迷惑はかけられない。
その後も安地に沿って移動を続け、私は変わらず遠くの敵を倒し、気づかず接近されていた敵に関しては二人にたおしてもらって、やっと終盤戦まできた。ていうか途中、連続でキルログが流れていたからそこそこ上手い人が紛れ込んでるかも、注意しないと、と考えているとメグミちゃんがダウンした。メグミちゃんは結構近くにいたからスナイパーかと思ったらどうやら違うようだ。
「ごめん!撃ち合い負けた、カバーお願い!」
「了解!アイちゃん敵見える?」
「ばっちり見えてるよって、待ってあのアバター、やばいよ!プロゲーマーのスカイさんだ!」
「アイちゃん!そこ射線通ってる!」
「えっ!?」
と、驚いてる間に一瞬でアイちゃんがダウンしてしまった。
「ごめ〜ん、ヴァイオレットちゃん後お願い〜」
「すまない、後はよろしく」
と、二人とも確殺を入れられてしまった。プロゲーマーのスカイさん、名前っていうか、アバターから見たことがある。前に何回かランクマッチをした時にブルークが連れてきた人だ。あの人もブルーク以上ではないけど、ブルーク並みに動ける人だ。スカイさんのパーティは一人かけてるっぽいから、ワンブイツーだし、スカイさんのうまさなら勝率は五分五分だろう。勝機はある。幸い、スカイさんたちが最後のパーティのようで漁夫の利を狙われる心配もないので心置きなく戦える。
「二人に頼まれたからね、スカイさん。残念ながら勝たせてもらうよ」
戦いの火蓋が切って落とされた。
まず私が挨拶がわりに屋上から弾丸の雨を降らせる。ギリギリ頭が見えなかったからそれぞれ胴体目掛けて撃つ。二人はこちらに気付いていなかったようだが、スカイさんに一発当て、コッキングしている間にもう一人の男の人はスカイさんと共に既に建物に入っていた。まぁ、初動は私の勝ちかな。建物に入った男の人はは素早い動きで建物の外に出て、建物と建物の間を縫うようにこちらへ接近してくる。上から撃つが、変則的な動きで捉えられない。スカイさんは建物から出てこない様子からまだ回復しているようだ。
「まぁさすがに簡単にはいかないか、知り合いだからって容赦はしないよ」
と、構えていたスナイパーを投げ捨て、床に置いてあったショットガンを拾い上げる。この狭い安地の中ではスナイパーは邪魔になるだろうし、ショットガンの方がいいだろう。
ショットガンを手に階段を降りていく、スカイさんの武器はアサルトライフルとサブマシンガンだったけど、相方の方の武器がアサルトとショットガンだった。おそらく最初に会うのは相方の方だろう。スカイさんは回復をしていたから一歩遅れているだろうしね。つまり相方さえ殺せば私とスカイさんの一騎打ちまで持っていける、とりあえず男の人には退場してもらうとしますかっ⁉︎
「なっ!?っんであなたが先に来るんですか⁉︎」
階段を登ってきたのはショットガンを手にしたスカイさんだった。予想外のエンカウントに反応が遅れる。向かい合う一瞬の攻防勝ったのはスカイさんだった。予想していなかった攻勢により私の体力は5割削られる。だが私もやられっぱなしでは終わらない。撃たれた反動でのけぞりそうになるのを我慢してショットガンを放つ。しかし撃たれた反動を全て消すことはできず弾はスカイさんの体をかする程度だった。
「クソッ!」
悪態をつきながら、腰にかけてあったグレネードを投げつける。
スカイさんは素早い判断で階段下へ飛び降りる。咄嗟に投げたため飛距離が足りず、このままではヴァイオレットが吹き飛ぶかと思われたが、グレネードから飛び出したのは爆発ではなく大量の煙だった。
「なるほど、スモークグレネードか。さすがに判断が早いね」
と、階下から賞賛の声が聞こえるが無視する。とりあえず回復をしようと階段を登っていく。一瞬しか体を見せてないのに的確に大ダメージを与えてきた。さすがプロゲーマー。
「ブルークほどじゃないと思って舐めてたな」
これは私も全力を出さないと。