第4話~アマチュアですけど?~
マジかー、有名人じゃん。どんな確率?
始めて一回目のマッチングでとか、ていうかまさか配信してたりするのかな、配信を見てた時間からそんなに時間経ってないんだよねー。
……….聞くか。
「あのー、メグミ」
「どうしたの?」
「もしかして、今、配信してたり、する?」
「えっ、あー、えーっと、うん、まぁ、そうだね、配信して、る。ごめんね?言い出すタイミングがなくって」
すぅーーーー、してたわ..................やばいやばいやばいやばい、私粗相してないよね⁉︎失礼なこと言ってないよね⁉︎1分前の私に自信が持てないー!!
「あーまずいね、固まっちゃった。アイもまだ復帰できてないし、おーい、ヴァイオレットちゃーん?起きてー?」
「ハッ⁉︎私は何を?確かアイちゃんとメグミちゃんに会う夢を見ていたような、」
「夢じゃないよー」
「ですよねー、あの、やっぱり敬語に直した方が、「駄目」いぃ?」
やっぱり敬語に直した方がいいかな、と言おうとしたら発作から復帰したアイちゃんが割り込んできた。
「敬語に直さないで、お願い」
「あーうん、わかった、」
アイちゃんの勢いに苦笑いしているとカウントダウンの音が聞こえてきた。
「あ、始まるね。じゃあ、頑張ろ♪」
「グフッ」
変な声が聞こえたような気がするけどきっと気のせいだろう。
私たちは道路の真ん中にワープした。
「とりあえず物資を漁りながら情報交換でもしようか」
「了解」
「おっ、おっけー」
なんでアイちゃんは鼻をおさえてるんだろ、まぁいいか。
「私は基本的には中距離が好きかな、いつもアサルトばっか持ってるよ」
「私はサブマシンガンかショットガンが好き!近距離以外は弾がほとんど当たらないんだぁー」
クールなメグミちゃんと、にへらぁ、と楽しそうに笑うアイちゃん、鼻大丈夫だろうか?
「適正距離はイメージ通りだね、私は基本的にはなんでも使えるけど、強いて言うならスナイパーを使うことが多いよ」
「ヴァイオレットちゃんなんでも使えるんだ!すごいね!」
「あ、ありがとう////」
普段褒められることがないからめちゃくちゃ恥ずかしいっ。
「んんっ!それじゃあオーダーは誰が出す?」
「アイとやる時はいつも私が出してるけど、ヴァイオレットちゃんはビースト帯だからヴァイオレットちゃんに任せるよ」
「えっ、あーいやぁ、恥ずかしながらオーダー出すの苦手なんだよねぇ。だから、できればやってくれると助かるんだけど、」
「そうなんだ、うんわかった」
「それじゃあ、よろしくね」
いつもやってるっていうし、多分大丈夫でしょ、それに最高ランク帯に入れるぐらいのランクはあるみたいだし。今回は私はサポートかな。
「アサルトの拡張マガジンあったよ」
「あっ欲しい、ありがとうヴァイオレットちゃん」
「SMG落ちてるよ」
「わあ!ありがとう!ヴァイオレットちゃん!」
各々物資を漁りながら安地へ走っていく。
「このまま安地に入って隅の方の家に篭ろう「敵」か?、ってどこに?」
「とりあえず建物の中へ」
「う、うん」
ブルークとやってる時よりも視野を広めに持ってるから敵が見つけやすいね。とか考えながら、屋上まで一気に駆け上がりスナイパーを構えて寝そべる。
「ヴァイオレットちゃん、敵はどこにいるの?」
「3時の方向、周りより高めのビルの影、一キロぐらいかな、待ち伏せされてる。こっちの動きがバレてる?」
「って、一キロ先⁉︎、見えたの⁉︎」
「いや、ハッキリとは見えなかったけど多分双眼鏡か何かが太陽の光に反射して光ってた。荒廃都市は見通しがいいからね」
「ま、マジか」
「こっちの動きがバレてるの?」
「多分、てかこっち見てるしね」
「あーなるほど、多分ゴースティングだね」
「配信者を積極的に狙ってくるやつ?」
「うん」
メグミちゃんは気まずそうに返信をする。アイちゃんも後ろで気まずそうにしている。そりゃ気まずいよね。ゴースティングっていうのは配信者が配信している時に同じタイミングで同じマッチに入って配信を見ながら攻撃を仕掛けてくる人たちのことだ。配信を見てるからこちらの動きは丸わかりだし、いくら強くてもガン待ちされちゃうと負ける時もある。申し訳なさそうにこちらを見てくる二人、私に負い目を感じてるのかな、優しいな二人は。じゃあその心配を取り払ってあげますか。
「これくらいの距離なら倒せるから大丈夫だよ」
「えっ⁉︎一キロ先でしょ?いくらなんでも無理だよ!」
と、心配からかアイちゃんが私に話しかける。
「大丈夫だよ、いつもこれぐらいは撃ってるから、しかも相手は棒立ちだしね」
これ外したらスペースウォーズ引退するわ。
バンッという音を立てライフルが火を噴いた。綺麗な曲線を描きながら弾は男の頭に吸い込まれるように飛んでいき、男の頭を貫く。スナイパーには初撃でヘッドショットをすると一発で仕留められるという大きなアドバンテージがあり、男は身動きひとつできずダウンする。右上にダウンログが流れる。続けてダウンさせた男の仲間っぽい人たちを二回続けてダウンさせて、ワンパーティー壊滅させる。今度は3人分キルログが流れる。
「えっうそ、倒しちゃった!」
「ほんとだ、すごいな、」
二人とも驚きを隠せない様子だが、この程度で驚かれても困る。
「次行こっか」
「えっ、あぁそうだね」
「う、うん」
その後も目についたプレイヤーたちを遠くから屠っていく。
「うーむ、いまいち手応えがないな。もう少し楽しめると思ってたのに」
少し拍子抜けだ、たしかにカジュアルに比べれば立ち回りにキレがある。でも、狙撃に対する注意が疎かじゃないかなあ。と考えているとアイちゃんが話しかけてきた。
「ねえヴァイオレットちゃん」
「ん?どうしたの?」
「あの、ヴァイオレットちゃんってプロゲーマーの人?」
「えっ?」
私がプロゲーマー?いやいや、
「アマチュアだよ」