第18話First time
リビングへ行くと叔父さんがご飯の用意をしてくれていた。叔父さんは5年前に妻を亡くし、今は独身だ。大切な人を亡くすことがどれだけ辛いか、この人には分かるのだろう。私には極力関わらないでいてくれる。無口で無愛想だと思われがちだが、本当は優しい人だということを私は知っている。昔は、よく遊んでもらったものだ。
「叔父さん、ゲームありがと。ちょっと、楽しかった」
「そうか。それは良かった」
たった、二言。でも、その二言には優しさが溢れていた。やっぱり、このままじゃダメだ。
私が小学校に通わなくなってからもうすでに一か月が経とうとしている。小学校の勉強はさほど難しくなかったし、もうほとんど教えられることはなくなってたから行かなくても良かったが、中学校はそうもいかない。
「叔父さん、中学校は行ってもいい?」
「許可なんか取らなくていい。君の当然の権利だ。それに、弟の頼みぐらい、聞いてやらないとな。なんでも言いなさい、子供が遠慮なんてするもんじゃない」
「…………ありがとう」
「いいんだ。………俺にはその責任がある」
その後は一言も喋らなかったけど、いつもより食卓は暖かかった。
そうと決まれば部屋へ戻ってすぐにグローヴァをつけ、ベッドに寝転がる。
「中学までにまだまだ時間はあるんだ」
目一杯楽しもう。
また、目の前を光が埋め尽くす。目を開けるとロビーに戻ってきていた。
「さて、お腹も膨れたし、ソロでやってみようかな」
と、モードをソロに変えてゲームが始まるのを待つ。しばらくすると、マッチングしたようでまた違うロビーへとワープした。さっきまでいたロビーと違って広々として射撃練習なんかもできたりするようだった。……まぁ私はちょっとそれどころじゃないんだけど。まぁ、端的にいうとめっちゃ緊張してる。こういうゲームは初めてだから上手くできるだろうか、とか、銃で撃たれると痛いのだろうかとか。今さらやめたくなってきた心を抑えつけ、覚悟を決める。
「女は度胸、愛嬌だっけ?」
そんなどうでもいいことを考えているうちにゲームが始まった。マップは近代都市だそうで、高いビルの合間を車のようなものが行き交っている。しばらく眺めていたが我にかえり、すぐさま行動に移る。
「ええーと、最初は武器を拾うんだっけ。あ、あった。これはサブマシンガン、MP5だっけ。後は、防弾チョッキのレベル2か」
このゲームには武器以外にも、防弾チョッキと回復薬が落ちてる。敵の攻撃をある程度受けてくれる防弾チョッキ、防弾チョッキを破って生身に攻撃された時の回復薬や、防弾チョッキを再生するアイテム。防弾チョッキはレベルがあり1、2、3、4と強度が上がっていく。レベル2はまあまあかな。
「ほかはなさそうだね。それじゃあ、移動しよ」
画面の右上のマップを見ながら安地を目指して走る。途中、拡張マガジンを見つけたり、回復を拾ったりして移動してるうちに地面に転がる長い筒のようなものを見つけた。近寄っていくうちに正体が判明する。
「マクミラン、」
私が最初に使った武器、ラヴィとの練習で結構遠くの敵にも当たるようになっていた。ラヴィもなんか驚いた顔してたし私は結構この武器に向いてるんだと思う。MP5を手に、マクミランは肩に担ぎ、また安地を目指して走り出す。
安地を目指して走る途中、他のプレイヤーを見かけなかったのは幸運だった。
始めたてほやほやの私なんか、他の人たちに見つかった途端、赤子の手をひねるように殺されてしまうだろうから。安地に入った後、目についた一番高いタワーのようなものに登る。屋上からはマップが一望できて、マクミランを使うにはピッタリだった。それなのに、このタワーには人が全く寄り付かない。
「こんなに見晴らしがいいのに。まぁ誰もいないなら遠慮なく狙わせてもらおうかなー」
と、さっそく棒立ち男、1人目発見。さっきまで人っ子一人いなかったのに、まぁでも、
「練習の成果を見せてあげる」
慣れた手つきで狙いを定め、引き金を引く。弾は見事にヘッドを貫き、男を倒す。
「まずは1人」
ルールはAP○Xと大体一緒です。あと、いまだにタイトルのゲームに辿り着けていないという大問題。あと、数話で辿り着くと思います。それまで、お待ちください。ほんと、すんません。