プロローグ
初投稿です。拙い部分がたくさんあると思いますが、よろしければ見ていってください。
「なぁ、お前昨日のアイちゃんの配信見た⁉︎」
「えっ、いや見てない」
「は?なんで見てないの?お前アイちゃん嫌いなの?」
「いや、極端だな。嫌いではないよ?やっぱお前のアイちゃん愛すごいなぁ」
「当たり前だろ、てか嫌いな奴いんの?」
「駄目だこりゃw」
「何が駄目なんだよ」
「なんでもねえよw」
「昨日HWOでさー、<魔女の森>入ったのはいいけど速攻でウルフにボコられたわ」
「ウルフにボコられるのは雑魚w」
「うるせえ、5匹いっきにかかってきたんだよ」
「意地になってねえでさっさとパーティ組めば?」
「いーや、俺はソロを貫くぜ?」
「まだソロがカッコいいとか思っているのかよ、重症だな、まあ今に始まったわけじゃねえけどよ」
普通の高校生たちの会話、推しがどうとか自分がしているゲームがどうとか、うるさいぐらいのいつも通りの教室。朝までゲームしていた私にとってその喧騒は頭に響いてツライ。
「はーい、ホームルーム始めるわよ〜、みんな席着いてー」
私が通ってる学校は東京にある普通の学校。
この学校に通いはじめて二年が過ぎた。短い春休みが終わり、学校が始まって一週間がすぎ、みんなが新しいクラスにも慣れてきた頃、私はあいも変わらず高校生活、ではなくゲーム生活を満喫していた。
20XX年、待ちに待ったフルダイブ型ゲームの発売によりゲーム業界は全盛期を迎えていた。フルダイブという今までにない発明により大手ゲーム会社はこぞって開発を進めるも、フルダイブ時に起こる体の違和感を解決できず、新たにできた会社に飲み込まれていった。しかし、新たにできた会社、アラタキはフルダイブ技術を進化させていき、問題を解決、あるゲームを生み出した。それがHeld World Online 略してHWO。
広大な世界オリンポスを剣と魔法を手に仲間と一緒に冒険しよう!をキャッチコピーに掲げ大々的に売り出し今ではゲーム業界の覇権を握っている。NPC一人一人にAIを搭載、どんな言語だろうと一瞬で翻訳するシステムも導入しており、世界中どこからでもプレイすることができる。何より、その技術を世に公表し、フルダイブシステムの実用化を一歩前進させた。
私は運良くベータテスターに当選し、リリース当初から飛ばしまくったおかげで今では最前線で活動するガチ勢として名を馳せている。
「はい、明日の予定はこんな感じよ、あなたたちももう三年生なんだから進路のことも考えて勉強頑張りなさい。ゲームばかりしてちゃダメよ。それじゃあまた明日、さよなら」
先生が挨拶を終え、生徒たちはグループで帰っていく。私は一緒に帰る友達もいないのでさっさと帰路に着いた。
「ただいま」
返事はない。そりゃそうだ、帰りを待ってくれている人なんていない。私は一人っ子だし、お母さんもお父さんも私が中学生になる前に事故で死んじゃった。高校生になるまでは叔父さんの家でお世話になっていたけど、流石に申し訳なくなり高校生になってから両親と暮らしていた家に一人で住むことにした。幸い、両親が保険金と貯金を大量に残してくれていたから一人でもなんとかやっていけてる。
学校から帰ってきてすぐに地味な黒縁メガネを取り、部屋着に着替えて食事を取ったあと洗濯と課題をすぐさま終わらせる。
「さて、今日もやりますか」
自分の部屋に入り、慣れた手つきでゲームを起動していき、専用のアイマスクのような機械、グローヴァを頭につけてベッドに寝転がる。
「ゲームスタート」
今宵も真城 すみれこと、ヴァイオレットはゲームの世界に潜ってゆく。これは、美少女ゲーマーがゲームを通して様々な事件に巻き込まれ、成長していく物語である。
いかがだったでしょう。気に入っていただけたなら幸いです。投稿頻度は遅めですが、頑張って書きます。