討伐依頼
冒険者の間をすり抜け、生き生きとしてアレクが走り抜けていく。討伐依頼をこなそうとウキウキしながら、かけていく。しかし、ふとある場所に目を留める。ウィンドウにはキラキラと輝く銀色の剣がわが主待たんと鎮座していた。
「いち、じゅう、ひゃく、せん、まん…じゅっ、十万!?」
驚きのあまり大声を出して、周りからの視線を浴びる。
「いつかはこいつも買えるかな?」
そう言って、その場をあとにする。きっと、あの剣は相当いいものだ。見た目しかわからないがきっとそうだろう。あの剣が買えるようなお金ができるまで、この街にいようとアレクは森の方向へと進み始める。
「よう、そこの若いの。」
「あんたも十分若そうだが?」
「そうか?ところで、お前冒険者か?」
「そうだが?」
俺を呼び止めた門番の兄さん(推定25くらい)は少し考えてこう言った。
「依頼ついでにもう一狩りしてほしいのがいるんだが。」
「その依頼、新米の俺でいいのか?」
「ああ、狩るのは簡単なんだが…」
「へ?じゃあなんで?」
「(ここだけの話、小さい獲物には見向きもせずに冒険者たちは行っちまうんだ。そのちっこいのが街に被害を出しつつって訳さ。)てな訳で、たのむよ。」
「いいぜ、乗った。」
「そいつはブルモス。猪だな。」
「小さくなさそうだな!?」
「冒険者からしたら小物なんだとよ。」
なんにしろ経験は大事だと親父は言っていた。心底そうだと思う。たまに融通の聞かない親父だが、ためになることも行ってくれるもんだ。そう思いつつ、アレクは了承することにした。
「助かったぜ、じゃあ、頼んだぞ〜」
予想外のことを頼まれたが、別に悪い気はしなかった。ワクワクやドキドキに満ち溢れた冒険、俺だけの物語がやっとスタートするんだと思うと不思議と力が出てきた。ギルドで受けた依頼は「ジャンピッド」というウサギ型の魔物の討伐だ。しつこく飛び回ることから別名「白ウザギ」と呼ばれているらしい。狩るのはそんなに難しくないと言われた。
「着いたな、ここらへんだって聞いたが。」
鬱蒼と生い茂る森、いきいきとした大樹たちが風に揺られて体を揺らしている。森の中枢部分、そこにジャンピッドはいるらしい。
「早速お出ましかな?」
「ピィィィ!!!!」
「跳ねるとは聞いてたが、ほんっとにウザいな!」
目の前をチョロチョロと5匹程度の群れで襲ってくる 。だる絡みされている気分だ。
「ちょこまかすんな!」
腰の剣を振り抜き、一体仕留める。雑魚だわ確かに。
「ピイイイイ!!!」
「うるさっ」
もう一本の剣を抜いて一気に斬りかかる。討伐数は5だから丁度いい一気に狩るか。
「ロールエッジ!!」
2本の剣を構え、回転し素早い身のこなしで残りのウザギを狩った。やはり雑魚だな。うざいだけだった。
「魔石ってやつはこれか。このウサギのは赤か。」
魔物は体内で魔石を作り、異常を引き起こしたモンスターのことを言う。ここから魔法の力を取るらしい。古代の人々の知恵ってのはすごい。これによって文明はとても進化したのである。
「あと、一匹ー。」
「ドン!」
ものすごい地響きとともに大きな黒い影がゆっくり近づいてくる。
「あれで小物かよ…」
害猪ーブルモスーその巨体がアレクを襲いかかった。