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デュアル・ヒューマ・ワールド  作者: 黒木有人
第一章『もうひとりの自分』
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始まりの街

東の森を抜けて、見える街は、冒険者の街ーバトラ。

森が近くにあり、外敵となる多数のモンスターが存在しているため、ギルドが盛んになった。今では冒険者たちの宿泊地となり、街も大きく賑わっていた。

「さてと、じゃあ、さっそくギルドってやつに行くかー」

街の中でも一際目立ち、人が賑わう場所へと向かう。冒険者の街というだけあって、通り過ぎていく人々は武器を携えているようだ。森の方面へ続々と進んでいく。

(まるで本で読んだ軍隊の行軍だな。)

それを尻目において、アレクはギルドであろうものに着く。外もそうだが、中にもたくさんの冒険者が内接する酒場で酒をかっくらっている。登録申請所と言うところには、あまり人はおらず、受付嬢が座っているだけだ。碧い髪のサラサラヘアーで、誰が見ても美人だろう。

「あら、冒険者登録かしら?」

「あ、そうで…」

ふと、どこで読んだか忘れていた本を思い出す。冒険者は敬語など使わないと書いていた気がする。アレクは言い掛けた言葉をしまい、言い直す。

「ああ、そうだ。登録を頼む。」

「ふふっ」

「ど、どうして笑うんだ?」

「だって、あなた今舐められないようにと思って敬語やめたでしょ。」

見透かされていた事に恥ずかしくなり、アレクはそっぽを向いた。美人な受付嬢はどうやら意地悪らしい。

「兄ちゃん、面倒くさい嬢に当たったな。そいつは趣味がわりーぞ」

「誰が趣味が悪いですって!?」

屈強な冒険者が助言をくれたが、もう遅い。すでにめんどくさそうな感じである。

「まあ、いいわ。この石版に手を置いて。」

「はい。」

手を置くと青白い光であふれ、文字が浮かび上がる。ステータスというのだと、先程の冒険者が教えてくれた。

「ふむふむ。なかなかいいんじゃないかしら。」

「おっ、バレッタのお墨付きか。兄ちゃんよほど筋がいいな。」

「ん?どういうことだ?」

「そいつはなかなか厳しくてな褒めるのはいいステータスの人材のみなんだよ。」

「ええ、これがカードよ。」

カウンターからすっと、黒のカードが出てくる。

「兄ちゃん黒か。なかなかみねえ色してんな。」

この冒険者が言うには、その人物にあった色が出るという、誰も得しない謎機能があるそうだ。アレクは不思議そうに見つめ、ポケットにしまう。

「なくしてもいくらでも作れるけど、なくしすぎると剥奪されるから気をつけなさい。」

失くさないようにチェーンでもつけようかと思いながら、冒険者の心得といううものを簡単に説明してもらった。

「以上よ。ちなみにそこにいるのがここのギルドマスターのオリガよ。」

「え゛?」

「よろしくな兄ちゃん。」

「強そうだとは思ったけど、まさかマスターとは…」

「まあ、よろしく頼むぜ。ここからは好きな依頼を受けるといい。この受付嬢でも誰でも依頼は受理はしてくれるぞ。」

「ええ、受け付けるわよ。アレク君。」

「なんかむず痒いし、アレクでいいよ。バレッタさん。」

「あら、それじゃ私もバレッタでいいわよ。私こう見えても18なのよ?」

振り返ってオリガを見るとうなずいていた。どうやらホントらしい。これで同い年とは恐ろしい美貌である。とにかく、バレッタを呼び捨てで呼ぶことを承知し、掲示板から手頃な討伐依頼を選ぶ。

「おっ、もう行くのか。気が早いな。」

「戦いたくてうずうずしてんだ。バレッタ頼む。」

「受理したわ。気をつけていきなさい。」

足早に走っていく姿を見てバレッタは、小さく微笑む。

「おっ、よほど気に入ったんだな。」

「そうね。」

バレッタはまっすぐ前を向きながら、ため息をつく。何かの未来を憂うように…。

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