給食はしっかり食べたし、なんならおかわりもした
よろしくお願いします。
泥田くんと共に妹さんを救出し、とりあえず今日のところはおいとまさせてもらう。ゆうくんがまた、泥田くんに約束を迫る者だから、間に飛びこんで無理矢理話を中断させた。泥田くんは、少し引き攣った顔をしていたけど、怒ってはいないようだった。妹さんを割と雑に扱ったのに、ゆうくんが。学校のプリントを届けることや給食で余ったパンをくすねてくることなどを伝え、ゆうくんと自分はまた、登校を始める。集団登校の列はとっくに見えなくなり、静かな住宅街を2人でポツンと歩いてゆく。この中途半端な午前中、主婦は家で家事に努め、夫はキビキビと会社でも働いてる。子供が平日のこの時間に出歩いていることはまずない。
「平和だなぁ」
ポツンと呟くと
「口癖」
とゆうくんが私に言う。
「え?」
「その言葉よく聞く」
そりゃ、血生臭い前世に比べたら今の生活はなにも起きないに等しい。普通の食事を摂取できることや死体が転がってもいない。それに道に血液一滴零れていやしない。呟きたくもなる。平和だなぁ。
「同級生の子がダンプカーに跳ねられた日の帰り道も言ってた」
「2度といいません」
そんなこんなで小学校に到着。
生徒は人っ子一人校庭におらず、皆んな教室で勉強に勤しんでいる。
4時間目の授業の際中だった。1年生は4時間授業なので、今日はほとんど授業を受けていないことになる。なにをしにきたんだ自分たちは、給食を食べにきたのか?
「先生は、わかってくれる」
とゆうくんは言う。
確かに、クラスで孤立している生徒を気にかける行動は教師という生き物が好きそうな話だ。
「先生は、人情話好きだもんね」
ゆうくんは、はっきりものを言うよな。
「うん」
「うん、そうだ」
「そうだ、そうだ。うわはは」
とそのとき自分たち身体が中に浮かぶ。その前に釣り上げられて、ゆらゆらと揺れる自分たち影を見つめる。互いに顔を合わせて、後ろに首をやる。
「おはよう、楽しそうにしているじゃないか君たち?」
小学生24キロ+ランドセル8キロを片手で1人ずつ、軽々と持ち上げるのは、担任の九十三先生だった。細い切れ長の目と鷲鼻を持っており、周りの保護者に人気がある。服の上からでもわかる筋肉質の身体でいつも長袖を着ているもんだから、欲求不満な保護者の妄想は止まらない。
「「おはようございます」」
といったところで、チャイムが鳴る。
これから給食の時間だ。