化け物
僕はこの教室でただ1人の化け物。
何をしたわけでもないのに。
ふと気づいた時にはもう、
‘’みんな”の中にいなかった。
みんなから避けられて、
意味もなく身体と心を傷付けられる僕の毎日は、
忌み嫌われる化け物に相応しいのかもしれない。
永遠に続くとも思えた
苦しい日々が終わりを告げたのは、
それは僕が化け物になって
暫く経ったある日の事だった。
いつもの教室で突然、一人の少女が
僕と友達になるべく話しかけてきたのである。
いつも‘’みんな”に囲まれていた彼女が
何故化け物との交流を望むのか、
僕には理解出来なかった。
初めは戸惑ったものの、
だんだんと僕達は仲良くなっていった。
僕らの距離が縮まる度に、
僕を襲う苦しみが嘘のように消えていき、
彼女を囲う‘’みんな”も嘘のように消えた。
僕にはそれから友達が出来た。
今、少し前まで化け物だった僕に仲間がいてくれて、
‘’みんな”の中にいられているのは、
彼女のおかげだと思っている。
いつか僕は彼女に感謝を伝えたい。
「ありがとう、かつて彼女だった化け物さん」