第48話 悪魔落ちした神の子孫達
亜神族との戦いです。
第48話 悪魔落ちした神の子孫達
「来たで!主!」
ゼリーが蔵光に声をかける。
「うん、わかってる。」
蔵光も、服のポケットから『如意金箍棒』、通称『如意棒』という金属の棒を取り出し、自分が使いやすい長さに変化させる。
如意棒は、長さもそうだが、重さも自由に変化させる事が出来る『神器』である。
時には重さが何トンにもなる武器だが、重さを調整しているので服のポケットに入れても特に問題はないのだ。
念のため、戦闘に加われる人間以外はゼリーの体内空間に再び入る。
ヒダカとヨルについては、最初、一緒に戦いたいと言ってきたが、おそらくこの戦いでは戦闘レベルが相当高いため、魔力値が高いというだけの者では危険だという判断で体内空間に入ってもらうことになった。
アズマンの空間魔法の揺らぎが無くなり、霧が晴れたような状態となったとき、悪魔落ちした亜神族が姿を現し、一斉にこちらに飛びかかってきた。
「ウオオオオオーー!」
何千、何万体ともつかぬ異形の姿の亜神族が蔵光達の前に現れると、たちまちホールは異形の魔物で溢れかえる。
その瞬間、水魔神拳の技のひとつ『水化月』が亜神族の群れにいくつか叩き込まれた。
それにより次々と亜神族の体が真っ二つに裂けていく。
「実体があればワシも、何とかなりそうじゃのう。」
蔵光の祖父王鎧がニヤリと笑う。
だが、流石の亜神族達である、普通の魔族が『悪魔落ち』したのとは訳が違っていた。
魔法ひとつにしても、その展開の速度は数倍速く、威力も数も魔族の悪魔落ちより数段上だ。
そんな魔法のひとつが蔵光達を襲う。
巨大な雷が空というか天井なのかわからないが、頭上から落ちてくる。
だが、蔵光はその光速の稲妻の速度に反応し、全てを躱していた。
ヘルメスは防御魔法を展開して防御していたが、ザビエラはと言うと、どういう原理なのかは分からないが、それをデスフレアで弾き飛ばしていた。
ザビエラは、誠三郎が以前ゼリーから『経験値機能』『切れ味増加』『衝撃耐性強化』『損傷自動修復』等の魔法を付与した愛刀『斬鉄丸』を渡して貰っているのを見て、自分の槍にも『スキル』を付与して貰いたいとゼリーに申し入れしたことがきっかけであった。
付与を希望したのは、
『蔵光様のお側に仕える者として、恥ずかしくない戦いというよりも、どんなことをしても絶対に勝つ戦いがしたい。』
という理由だった。
それまでのザビエラにあった、『潔い戦い』という戦いのプライドは無くなり、逆に『どんなに泥臭くても必ず勝つ』というものに変化していた。
それは純粋に、
『何があっても、どんな手段を使っても主人を守りたい。』
という姿勢の表れでもあった。
過去にザビエラは、仲間に裏切られ、自分が仕えていた魔王の命まで脅かすことになってしまった。
『あの時、自分にもっと力があれば…』
その事に対する後悔と反省の結果を踏まえ、ザビエラは、蔵光を守るために常に自分が準備しておける最高の強さをを維持しておくことにしたのだった。
ゼリーもザビエラからそう言われ、面白そうだったので、デスフレアに『経験値機能』『衝撃耐性強化』『損傷自動修復』という斬鉄丸に付与したスキル以外に、損傷修復より速度の早い『常時切っ先鋭利化』、上級魔法を受けても損傷が軽くなる『魔法耐性強化』、受けた魔法を倍加して相手に叩き返す『魔法反射倍加』、その他、『防御壁展開』『極炎爆裂魔法』等々様々なチートスキルを付与したのだった。
当然、ザビエラだけではなく、ヘルメスの聖剣や誠三郎の斬鉄丸にも再度、スキル付与を更新して強化していた。
誠三郎などは、以前、魔族の国ヴァンガロス地区の上位魔族グレイガンを屠った『飛翔斬撃』もこの一年でレベルが上がり『3』となっていた。
たかが『3』と思うことなかれ、これは普通の人間では到底敵う相手ではない魔族を100体ほど倒してやっとレベルが『1』になるものであり、さらに上位レベルになるためにはそれ以上の努力と経験値が必要であり、それは、誠三郎がこの一年で猛修行した結果である事を明かしておこう。
また、誠三郎の斬鉄丸は、その『飛翔斬撃』に加えて別のスキルが加わっていた。
「『聖神斬撃』!!」
何とあの聖神力の力を纏った『飛翔斬撃』である。
悪魔落ちした亜神族の者達が僅かな斬撃で、外傷もなく倒れていく。
これは、誠三郎がチャルカ村で遭遇した霊的な魔物、つまり、実体の無い霊体への攻撃や悪魔憑きの人間を殺さない様に攻撃するためには、『聖神力』や『聖霊力』等の力が必要であり、それ以外の力で攻撃することが出来ないなど、当時の誠三郎はそれらの者に対して全く無力だった。
そのため、何とか出来ないものかと考えた末に編み出した技なのである。
これにはエージによって聖剣ヴォルガナイトの解析が進められ、結果、聖剣の構造を完全解析することは無理であったが、『聖神力』の浸透システムを解明、ヘルメスの『聖神力』の力を借りて魔石に付与させそれを斬鉄丸の柄に装着させて完成させたのだ。
ゼリーは流石に『聖神力』持っていないため、付与する事が出来ず、また、ヘルメスは刀に直接付与する技術を持っていなかったため、訓練の末、付与がしやすい魔石に付与する事となったのだった。
ヘルメスの聖剣ヴォルガナイトについてだが、この剣は元々、色々な力が付与されているというよりも、基本的に『オリハルコン』と呼ばれる特殊な金属が使用された剣であり、また、聖剣『ヴォルガナイト』とはその物、その剣の能力自体を指すものではなく、覚醒した勇者に呼応するように『聖剣の意志』により復活する剣に対して呼称されるものであるため、材質以外は普通より、ちょっとよく切れる剣という感じの認識なのだ。
そのため、流石のエージでも、神憑り的な部分の解析は不可能であったのだ。
なので、そんな材質がちょっと良いだけの『普通』の剣であるヴォルガナイトではあるが、エージの解析で勇者特権とも思われる『不壊』、つまり蔵光の如意棒と同じ能力があり、また所持する勇者の力をすごく上昇させる『無限の光明』という能力等がついていたことが判明したのだが、エージの解析で『不壊』等という能力があるというころまでは判明したが、結果的にその理屈は結局わからなかった。
そんなチートな剣だったので、ゼリーは『防御』と『回避』の魔法だけ付与したつもりだったのだが、剣に付与した途端、その剣の能力が付与魔法に呼応して『自動絶対防御』と『自動完全回避』に変化した。
ゼリーがそれを見て、
『こんな武器、チートどころやないやろ!』
と言ったとか言わなかったとか…
とまあ、そんな状況で全員の武器は改善されていたのだが、蔵光の『如意棒』については元々『破魔』という能力が付与されているため、他の能力の付与が全てキャンセル状態となってしまったので、他の能力を付ける事が出来なかった。
そんな感じでそれぞれの武器には強力な能力が付与されていたので、先程ザビエラのデスフレアにより弾かれた魔法は『魔法反射倍加』の付与魔法の力により行使した術者に対して的確に反射していたし、ヘルメスの方も敵の全ての攻撃は無効化されていた。
かといって、蔵光の持つ如意棒が大したことがないという訳ではない。
蔵光の持つ身体能力と前述の『不壊』の能力を持った如意棒の力が相まって、殺戮マシーンとなっていた。
祖父王鎧のように水魔神拳を使っても良かったが、蔵光の戦闘スタイルはその場に応じた戦い方を好むので、最初の方で、防御や反射、吸収、耐性等で相手にダメージが届かないリスクが高い魔法攻撃は余りしないことにしている。
特に水無月家は、今回のような『亜神族』等と言われる様な高魔力量を持つ存在については直ぐに魔法で攻撃せず、物理攻撃をすることを推奨している。
ということで、蔵光は弾丸の様な速度で移動しながら、高速思考を使って体を動かして、相手の多重攻撃を回避しながら自分の攻撃をしていく。
当然ながら、蔵光は身体の能力を極限以上まで高める『超剛力』と呼ばれるスキルも持っているため、如意棒で殴り付けられた悪魔落ちの亜神族の者達は、トマトが潰れたというよりも、あまりにも蔵光の力が強力過ぎるため、まるで浄化された霊体のように、一瞬で霧散して跡形も残らない状況であった。
「ホンマ規格外やわ。」
とそれを見たゼリーが呟く。
数分後、その場に立っていたのは既に名前すら言えない程悪魔化したイナズマイヤーの子孫数名だった。
悪魔落ちの魔族達ならかなり凶悪な性格へと変貌すると言われているが、亜神族の姿を見る限り、大差はないように見える。
だが、この後、そこにいた全員が驚愕する事態となる。
「もう、お前達だけだぞ!いい加減、降参したらどうだ?」
と王鎧が話し掛けると、亜神族の中の一人が口を開く。
『フハハハハハハ!ようやく会えたな、いや久しぶりと言ったほうが良かったかな?』
その声は、一年前に聞き覚えがある声であった。
「こ、この声は!?もしかして…」
蔵光がその声の主を覚えていた。
蔵光だけではない、一年前の戦闘で一緒にあの場所にいた者ならば忘れはしないだろう。
それは、水無月一族の力を持ってしても、かなり手こずらせた存在であった。
【アサッテ・ハイドのクエスト日記】
ここはドリタニア王国の王都ドリトスにある冒険者ギルド・ドリトス支部のサロン。
アサッテ「いやぁ、やっぱりあそこは人造魔剣の違法製造工場だったけど、まさか、魔族が絡んでいるとは思わなかったな。」
(・д・)ノ
ガズン「確かに、だが、魔剣の製造には古代語を使うプロが必要だから、納得と言えば納得だが…」
( ´Д`)
リルカ「でも、魔族と交流があるなんて考えられないんだけど。」
ヾ(゜д゜)ノ
ソウド「魔族の中には人間の住むテリトリーに、人間に化けて密かに移り住んでいる者もいると聞く、今回もその例だろう。流石にこちらにアサッテがいなければこちらが殺られていただろうな。」
(*´・∀・)ノ
シン「そうだよね、でも、助けた人の中にドリタニアの貴族がいたのには驚いたわね。」
(@ ̄□ ̄@;)!!
ガズン「まあ、冷静に考えればドリタニア王が直々に依頼するクエストなんだから、本来何か裏があると思わないとダメなんだがな。」
( ̄▽ ̄;)
アサッテ「なんにしても、このクエストでかなりの報酬が見込めるな。」
( ´∀`)
シン「じゃあ、今日はお祝いだね!」
ヽ(^∀^*)ノ
今回で【アサッテ・ハイドのクエスト日記】は終了ですが、本編はまだ続きます。
次回もよろしく(* ̄∇ ̄)ノ
インスタグラムで設定画を公開中。
銀龍院鈴星かginryuuin_rinseiで検索できます。
カクヨムで「ドラゴンマスク」連載中。




