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水無月蔵光の冒険譚~第二部 古代地下帝国の謎を追え  作者: 銀龍院 鈴星
第三章 マリガトリア帝国
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第45話 決断

切羽詰まったアズマンが決断します。

第45話 決断

その日、マキーオのところに『風の国』の王ウインダがやって来た。

話を聞くと、何でも、隣接する火山地帯を治める古龍族の力から逃げてきたという火の鳥の魔物の王が、『風の国』を占領するべく攻め込んできたとのことで、()の魔物が吐き出す強力な炎は、風の魔法を得意とするウインダには相性がかなり悪いらしくマキーオに助力を求めてきたのだった。


「魔物の王?」

「そうです、奴は自分の名前をメディスロンと名乗っており、口から吐き出す炎の他にも恐るべき火炎を操る力を持っていて、我ら風の魔法では奴の炎をさらに強くしてしまうだけで全く役には立たない状況で、ホトホト困っているのです。」

ウインダが本当に困ったというような表情でマキーオに話す。


「魔物の王ならば言葉も解するだろう。わかった。何とか説得してみよう。」

マキーオはウインダにそう応えると、直ぐに『風の国』に出発した。


『風の国』は渓谷が多く、そこに吹く風がウインダ達、風の魔法を使う者達にとって力を向上させていた。

だが、炎を扱う魔物に対して風を使うと、火の勢いをさらに強くするだけで、魔力で出来た炎を風で吹き消す事はほとんど不可能と言えた。


ウインダの話では、特に魔物の王の一人と言われるメディスロンは古龍に匹敵すると言われる程の炎を扱い、風の国の街のいくつかが焼かれ滅ぼされたと言うのだ。


現在は、同盟国の『土の国』の援軍により何とか侵攻を防いでいるとのことであり、メディスロンの方も『土の国』の亜神族が魔力で作った強固な岩石の外壁と結界により攻めあぐねており、一旦、その侵攻は停止をし、再び攻める機会を窺っているとのことであった。


「急がないと駄目みたいだな。」

『風の国』に向かう道中でウインダから詳細な事情の説明を受けたマキーオは1ヶ月をかけて『風の国』に到着した。


移動にかなり時間がかかっているのは、この頃は馬車による旅はもちろんなのだが、遅くなったのには理由があった。

それは、7000年前のこの時代、各国を中継するまともな道が無かったからだった。

そもそも道路といえば国の周辺にある程度の道は作られていたのだが、それは自国の中を行き来するためだけのものであり、各国の間にはそれらは無かった。

それは、国同士が争っていたこの時代、勢力争いの関係もあり、もし作った道を相手に奪われれば、それを利用して兵士の移動や兵站(へいたん)による物資の輸送がしやすくなるからであり、道を作ることは逆に敵対する相手に攻め込まれやすくなる事となり、国にとってはあまりに利益は無かったからであり、そんな理由もあってまともに道路は作られてはいなかったのだ。


なので、時には獣道のようなところを通る事もあり、進む速度が止まっているようなレベルの時もあった。

流石のマキーオの時間の魔法でも馬車を速く動かしたりとか、『風の国』に向かう間の全ての時間を止めるというような芸当は出来なかった。

彼の時間魔法は対象単体の周囲の時間操作が出来るだけであり、それ自体の移動速度や動作速度を早めたりとかというものではなかった。

出来たのは地面に対して広さや深さなどの範囲を指定して通ろうとする部分を風化させ岩や草を粉々にし、道のようなものを作るくらいが関の山であった。

そのため、移動はかなり時間がかかることとなったのである。



だが、『風の国』についてからのマキーオの動きは早かった。

直ぐにメディスロンのところに行き、彼と話を付けようとした。


メディスロンは『風の国』近くにある渓谷において防壁を攻める機会を窺っているとの情報によりマキーオはその地に赴き、メディスロンと対面した。

メディスロンは人間などがどうこう出来るほどの存在ではないため、気配等は隠すこともしてはいなかった。

普通の者であればその魔力の強さで近付くことも出来ないであろうと思われるくらいの巨大な魔力であった。

マキーオがメディスロンがいる渓谷までやって来た。

それは巨大な炎の鳥の魔物であり、牛などを一飲みにしてしまうようなその大きな嘴は普通の人間であれば、それを見るだけで恐ろしさで逃げ出してしまう程のインパクトを与える。

いくら強いとは言え、人間であるマキーオも同じ様にメディスロンに恐怖を感じたが、なんとかその恐れを押さえ込み、メディスロンにこれまでの戦いを停止させ共に和平の道を歩むよう申し入れをした。


人間の世界ではかなり有名となっていたマキーオだったが、流石に魔物の国ではマキーオの名前はあまり知られてはいなかった事やあまりにもマキーオの申し入れが一方的で理想論的なところもあり、魔物の王メディスロンは和平の申し入れを拒否した。


「ふん、話しにならんな。」

「何故です?」

「お前の言う理想論はなるほどお前達人間には暮らしやすい世界になるであろうが、それはお前達の一方的な言い分であり、そんな単純な理由だけでこの戦いを終わらせる訳にはいかん。綺麗事ばかりを並べ立ておって、お前に我々の殺された同胞や家族の事についてどれ程の理解があるのかわかったものではないしな。死にたくなければ立ち去るが良い。」


これはマキーオに対するメディスロンの最終告知であった。

だが、マキーオはそれを無視して食い下がった。

「何故です?家族を奪われたのは我々人間も同じこと、わからない訳ではない!」

「お前はそうかも知れんが、他の国の王はそうとは言い切れん。帰れ!」

メディスロンはマキーオに話し終わると、今度は、軽く炎でマキーオを威嚇した。

炎の塊はマキーオの足元に落ちる。


だが、マキーオはその炎を直ぐに自分の魔法で消した。


たかが下等な人間の魔法使い程度に思っていたメディスロンは、それを見て一瞬だけだが驚いて目を見開く。

自分の強力な魔力を込めた炎を消すなど亜神族の者でも数が少ないからだった。


『まさかな…だが、不安要素は消しておくか…』


メディスロンは全く聞く耳を持ってはいなかった。

ワダツミから故郷を追われ、放浪の末辿り着いたこの渓谷は自分にとって非常に過ごしやすい場所であった。

近くにいる人間の存在を除けば…


人間は魔物と見れば徒党を組み見境なく襲ってくる存在である。

そんな奴等を近くに住まわせることはメディスロンにとって目の上のたんこぶみたいなものであり、目障りな存在以外になかった。

なので、その『風の国』を襲ったのであった。

彼には最初から人間と話し合う余地はなかったのだ。



メディスロンは今度は威嚇ではなく本気で和平の使者であったマキーオに向かって炎を浴びせかけ彼を焼き殺そうとようとした。


人間の世界では和平の使者を殺すことは交渉決裂の合図である。

そのため使者も本来ならば殺される事を覚悟で相手のところに向かわなくてはならない。

マキーオもそれはわかっていたがまさか自分の申し入れがあっさりと拒否され、攻撃してくるとは思わなかった。



メディスロンの炎は容赦なくマキーオを襲う。


だが、時間を止める能力を持つマキーオにとってそんなメディスロンの攻撃など児戯に等しかった。


瞬時に攻撃が止められたと思ったら炎が消滅した。

炎の燃焼時間を進め、マキーオに到達するまでに燃え尽きさせられたのだった。


メディスロンはそのまま身体に時間加速の魔法をマキーオに掛けられ一瞬にしてヨボヨボの老魔物になってしまった。


「こ、これは?!」

驚くメディスロン。

その体は一部が既に変化し、指先などは砂状の様にサラサラと崩れ落ち風化してきていた。


「まっ!待ってくれ!いやお待ち下さい!」


先程、メディスロンの炎の塊をマキーオが消した時に感じた違和感はこれだったのだ。

メディスロンは直ぐに目の前にいる人物が自分より遥かに上位の存在であり、決して歯向かってはいけない人物であると悟る。

メディスロンの巨体がマキーオの前にひれ伏していた。


「お、お、お許しください。」


身体全体からマキーオに対する危険信号が発していた。


『このまま歯向かえば必ず殺される。』


そう感じ取ったメディスロンはマキーオに対する非礼と、今後の服従を誓ったのだった。

するとマキーオは加速していた時間魔法を逆転させ、メディスロンの死滅していた細胞を再生させ、元通りにした。

マキーオの魔法は魂が生体から離れていなければ死滅した細胞すら復活させるほどの威力を持っていた。

マキーオと魔力とその魔法に恐れを抱いたメディスロンは先のマキーオの申し入れを受諾することにした。


さらにマキーオはメディスロンに世界各地にいる魔物の王達を呼び寄せ今世界中で起こっている人間と魔物との争いを停止させるように命令した。


メディスロンは、特に強力な力を持つと言われる聖獣と呼ばれる存在や海神龍と呼ばれるワダツミを含めた古龍族を除き、魔物達の王である合成獣王(キメラキング)タラスクと神ノ血ヲ引くモノ(エキドナの子供達)の代表であるアングルボザをマキーオの前に呼び、魔物と人間との和平を結ぶ話をしたのだった。


メディスロンと同じ様に、当然ながら今まで血で血を洗うような戦いをしていた彼等にとって戦争の停止は到底飲めない話であった。


だがマキーオの強さ、恐ろしさを知るメディスロンは二人にマキーオの強さとこのままマキーオに逆らえば自分達魔物の一族は根絶やしにされると説明した。

ここまでメディスロンが必死になるところを見たタラスクとアングルボザの二人は渋々話しに応じた。

また、メディスロンもさらに『我々の未来のため』と言ってその二人を半ば強引にマキーオの軍門に下る様に仕向け、人間との和平を成立させた。


戦いを嫌うマキーオにとっては自分の力の威光で平和な世界を作ることに違和感を覚えていたが、これは仕方がないことだと自分に言い聞かせて自分自身を納得させていた。



魔物との和平協定を結んだ後、しばらくは平和な時間が流れ、このまま和平の道を行くと思われていたが、やはりというか突然魔物達が一斉に人間の国へ攻め込んだ。

その中心にはアングルボザがいた。

そして彼女は『雷の国』のヒカリゴンという王を殺していた。


流石のマキーオも同時多発的に各地で起こった武装蜂起には対応することが出来ずに多数の犠牲者を出す事態となってしまった。


マキーオはアングルボザを直ぐに捕らえ、時限魔法の一種である空間魔法にアングルボザを幽閉した。

そして、その首謀者達も全て捕らえ空間幽閉をしたのだった。


マキーオは一旦、彼等の処分を保留することにした。


というのも、捕らえたほとんどの魔物は各地を代表する『神ノ血ヲ引くモノ』という者達であり、このまま全員を処刑してしまえば、恨みの連鎖が終わらないと考えたからだった。

そのため、マキーオの本音としては全員を生かして解放やりたいと思っていた。


だが、それを認めない者達がいた。


亜神族、つまり『神の子孫』と呼ばれた者達であった。

各地の国を統べていた彼等は和平協定を結んでいたメディスロンやアングルボザ達を攻め込み、大打撃を与えていた。


「やはり魔物は魔物、人間の常識は通用しない!彼等は殺すべきだ!」

とマキーオの解放案を全く理解しなかった。


そればかりか魔物の王アングルボザを幽閉されている魔物達の国へ一斉に攻め込みだしたのだった。


魔物の国を襲ったのはヒカリゴンの息子でイナズマイヤーという者だった。


これはアングルボザに対するイナズマイヤーの報復だった。


メディスロン達の国へも一部入り込んだ人間の部隊があったが、何とかイナズマイヤー率いる強力な亜神族の軍勢の攻撃を躱して逃走し何とか命は助かった。

このことは全くマキーオの預り知らぬ事であったが人間側のした行為であり少なからずともそれは和平協定を結ばせた人間側の責任者であるマキーオにその責任はあった。


さらにこれに抵抗したメディスロンやタラスクも戦争に加わり争いは混乱を極めた。


『私はどうしたらいいのだ…』


マキーオはどれだけ力を持っていたとしても自分の力では何も出来ないことがハッキリとわかってしまった。


マキーオは双方の問題に板挟みとなり悩んだ。


そして、思い出した。

先日やって来ていた四人の魔女であるマグローシャ達の事である。


『自分には人間と魔物が共存する平和な世界は実現させられない』

と言っていた者達だ。

このような結果になることを知っていたかのように話をしていたが、その時は誰がこの様な事になると想像できたであろう。

それと気になることを彼女達は言っていた。


自分が崇拝する『神』が現れるまで待たなければならないと…


マキーオは彼女達を探しだして正式に配下に加えることを決断したのだった。






【アサッテ・ハイドのクエスト日記】

ここはドリタニア王国の王都ドリトスにある王城の王の間の手前。

リルカ「何で、こんなところに来ないといけないの?!」

\(; ゜Д゜)ノ?

ガズン「依頼主に説明を求めるのは普通だろ?だからだよ。」

(* ̄∇ ̄)ノ

リ「いや、それは一般論でしょ!普通、こういう場合は、その担当者とかが説明とかするもんでしょーが!」

ヽ(;゜Д ゜; )

アサッテ「王のアステカイズ・ファン・ドリタニア様が直々に話がしたいと言っているそうだ。」

ヽ(´・ω・`*)

シン「王様が直々にって…それってやっぱりヤヴぁい案件なんじゃないの?」

ヾ(゜д゜)ノ

ソウド「まあ人造魔剣とかという事なら、そうなるだろうな。」

(o゜з゜o)ノ

リ「アサッテはいつもマイペースでいいわよね。」

(*´・ω・`)b

ア「そんなことはない。結構緊張しているぜ。」

( ゜_ゝ゜)ノ

シ「ホントだ。真顔になってる!その顔を見たら、こちらの緊張がほぐれたわ。」

ヾ(´∀`*)ノ

ア「何ぃ?!?シン!人を何だと思っているんだ!」

ヘ(`Δ´)ノ

リ「あっはっは!ホントホント!」(`∀´)ノ

部屋の前の騎士「お前達、うるさいぞ!王の間の前だぞ!」

ヽ(♯`Д´)ノコリャーッ!

アリシ「スミマセン。」

(^.^)(-.-)(__)



次回もよろしく(* ̄∇ ̄)ノ

インスタグラムで設定画を公開中。

銀龍院鈴星かginryuuin_rinseiで検索できます。




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