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水無月蔵光の冒険譚~第二部 古代地下帝国の謎を追え  作者: 銀龍院 鈴星
第三章 マリガトリア帝国
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第43話 命の代償と絶対王者

マキーオの能力の恐ろしさ爆誕

第43話 命の代償と絶対王者

従者カルマと旅を続けていたマキーオは、ある日、『火の国』というところに到着した。

『火の国』はその名のとおり、領地内に多くの活火山を抱えている国で、その火を利用した金属武器の生産が栄えていた。


「うわあ、火山があんなに近くにあるよー!」

マキーオは勢いよく噴煙を上げている火山を見て興奮している。

前世でも、規制があったりして近付いて見たことはあまり記憶にない。

昔、父親に連れられて九州にある有名な阿蘇山の火口見学に連れていって貰った記憶が少しあるが、その時とはまた趣きが違っていた。


「マキーオ様!あまり興奮しないで下さい!田舎者と思われますから。」

とカルマがマキーオを(たしな)めるが聞いている様子はなかった。


当時の国々には明確な国境はなかったが、ある程度の『なわばり』というものがあった。

そして、それぞれの『なわばり』を持つ国の者達は違う国の人間が自分達の領地内に入ることにかなりの警戒をしていた。

それは、自分達の『なわばり』を奪われないためであり、もし、人の数や物資の量、領地内の建物の数や位置、構造、人の暮らしぶりなどを調べる、いわゆるスパイ活動をする者から、自分達の国の状態を母国に伝えられると、その国に攻め混む時の有効な情報となるからであった。

今回、マキーオ達は身分を隠して旅をしていたのだが、その国に入る時に役人に身分がバレてしまい、スパイの容疑を掛けられた。

バレた原因は言葉の違いであった。


元々各国の言葉の違いや方言等は、そういった『余所者』を直ぐに浮上させるためのものであり、今回もちょっとした言葉のイントネーションの違い、身に付けている装身具、所持品等から他国の者である事や、さらに旅をしている王子ということで名の知れていたことから、マキーオ王子であるとバレてしまったのだった。


マキーオ達は流石に他国の者なので抵抗をせずその場で素直に取り押さえられた。

理由を話せばわかってもらえるだろうと思っていたからだった。

だが、現実はそうではなかった。

その頃、各国は自分達の領土(なわばり)を広げる事に躍起になっており、自分達の領土を広げるためにはあらゆる手段を用いていた。

そのため今回のマキーオ王子の身柄確保は『火の国』にとって『金』になるネタとなった。

だが、この後、『火の国』はマキーオに対し、取り返しのつかない事をしてしまうのだった。


事情を聞くという理由で二人は引き離され、一方でカルマが拷問にあい、無理矢理『この国の内情を探るためにやって来た』と言わされていた。

マキーオが『金』のため人質となっていたが、マキーオはその強さを警戒され、『火の国』の者達は甘言を用いてマキーオに嘘の接待をする手段をとる。

マキーオは接待と称して出された痺れ毒の入った食事を取ったことで体が一時的に動かなくなった。

そして、目の前に拷問で瀕死の状態になっているカルマが転がされるのだった。

マキーオはそれを見て初めて騙されたことに気付き、自分達の身の上に起きた事態を把握したのだった。


「お前ら!」

今までの自分には無かった憤怒の感情が体を突き動かした。

痺れ毒は自分の体内の時間を加速させて解毒させ、縛られた縄は、縄の周囲の時間を体内の時間加速よりもさらに加速させて劣化させた。

縄はあっという間にボロボロに崩れ落ちる。


マキーオの周囲にいた『火の国』の兵士達は驚いたが、それも一瞬のことであり、彼等はその場で時間が停止した。

兵士達はその状態で、縄の時の様に時間が急速に進行し肉体は腐乱から骸骨状態に移行し、最後には砂の様にサラサラと崩れていった。


「カルマぁ!」

マキーオはカルマに駆け付け、直ぐに彼女の体に時間逆行の魔法を掛けた。

だが、カルマは既に亡くなっており、傷は無くなったが魂の抜けた体が生き返る事は無かった。


「うおおおおーー!!!」

何かがマキーオの中で弾けた。

「何が無敵だ!何が最強の男だ!敵の思惑にまんまと騙され自分の家来一人も守れない、俺はこんなくだらない男だったんだあ!」

カルマを守る事が出来なかったという自責の念に刈られマキーオは血の涙を流した。

その場にうずくまるマキーオの周囲に、彼の現在の精神状態を現すかの様に時間の魔法が物凄い勢いで流れ始め、マキーオが閉じ込められていた建物は瞬く間に砂状態になって消失していく。

そして、その時間の渦は次第に巨大化し、その街を覆っていった。

その時間の渦に巻き込まれた建物や人間は一瞬で塵になっていった。


こうして火の国の街のひとつは消滅したのだが、国というだけあって、その領土は広く、国全体を消失させるまでにはならなかった。


時間の激流から唯一形を(とど)めて残っていたのはカルマだけであった。

マキーオにとってカルマは母親代りであり、姉でもあり、そして唯一愛した女性だった。


自分という人間を理解してくれた人であった。

そんな彼女が自分の判断ミスで命を奪われた。

あれほど敵には気を付けろと言われていたのに…


『火の国』の兵士に取り囲まれても手を出すなとカルマに命じた。

『話せばわかってもらえる』と言って無抵抗を貫いた。


だが、この時代、この世界の()()が間違いであることに気付いたのは大切なものを失った後だった。


彼は精神的にダメージを受けていた。


街がひとつ消失したところで、一旦はマキーオの時間加速は治まったが、彼の怒りは治まることはなかった。


「誰が悪い?誰の責任?この国で一番偉い奴なのか?王か?」


『火の国』の国王はもっと奥にある街、『王都』の中に住んでいた。


「全て破壊しよう。」

復讐の念に囚われた恐ろしい程の破壊衝動が彼の足を『火の国』の王都に向けていた。


王都では街がひとつ消滅したことに全く誰も気付いていなかった。


どれくらい歩いたであろうか…


彼には『時間』を操作する力があったが、彼自身、自分の心を癒す時間は作ることが出来なかった。

それはまるで、魂の抜けた幽鬼の様にゆっくりと、確実に王都に歩を進めていた。


ようやく王都に着いた頃にはマキーオもある程度の落ち着きを見せていたが、その足取りには相変わらず力がなかった。


この頃の各国の王都には街壁は無く、国境付近の警戒を抜ければ大した検問もなかった。


そのため、マキーオは王都に着くとフラフラと王都の街中を抜けていく。

誰も彼を知る者はいないし、声を掛ける者もいない。

そして、難なく『火の国』の王城の前に辿り着き、ようやくそこで声を掛けられる。


「おい、お前!何者だ!?止まれ!」

マキーオの前に城の衛兵が二人、立ち塞がる。

だが、彼はそんな言葉が耳に入っていないかの如く衛兵の横をすり抜け、ドンドンと城の方へ進んでいく。


「お、おい、と、止まれ!ちょ、ちょっと…」

ひとりの衛兵がマキーオの背後から肩を掴む。


「あっ!」

肩を掴んだはずの衛兵の手が霧の様に一瞬で煙のようなモヤとなり消え失せた。


「うわあ!!」

もう一人の衛兵が見ている前で、その衛兵が消えてしまった。

まるで煙か何かの様に…


マキーオはカルマの死に際して手に入れた『時間の激流』という時間を急速に進める魔法を体に纏わせ、自分の前に立ち塞がる城の衛兵を消していった。


そして、とうとう王の間にいる『火の国』の王の前に到達した。


「貴様!王の前だぞ!控えぬか!」

王の横に立っていた宰相が唇を震わせながらマキーオに怒鳴る。

そして、手に持っていた杖に仕込んでいる魔法陣に魔力を流し展開する。

「ふっふっふ、まさかこの杖に攻撃魔法が永久付与されているとは思わなかっただろう。」

宰相は不敵な笑みを浮かべながら杖の先をマキーオに向ける。


すると杖の先に仕込まれた魔法の魔法陣が空中展開する。

だが、それが発動することは無かった。

発動前に杖が宰相ごと煙となったからだった。


それを見た『火の国』の王ナンダラが狼狽える。

「『神の子孫』と呼ばれる我らの魔法に抵抗するどころか、全く魔法陣を展開すらせずに得体の知れない魔法でタンドラを屠るとは…」

ナンダラは目の前の者が何の目的で自分の目の前にやって来たのかがわからなかった。


「何故、こんなことを?!」

「お前の家来が俺の大切な人を奪った…」

マキーオの言葉で、ここに彼が現れた理由を知ったナンダラは続ける。

ここまで一人で辿り着く程の人物である。

それに宰相を一瞬で煙の様に消してしまう事からも相当の力があることは一目でわかった。

何とかこの人間の怒りを抑えなければ自分の命が奪われるのは目に見えていた。


「わ、わかった。理不尽な理由でお前の大切な人の命を奪ったのであれば謝罪す…」

ナンダラが頭を下げたが、マキーオの怒りは収まることは無かった。

ナンダラの体も煙の様に崩れて消えた。


「あっ!」

その場にいた兵士達が一斉に声を出す。

だが、兵士達は動かない。

マキーオが、王の間に入ってきた時から彼に近寄る事すら出来なかった。

それは、彼から発する恐ろしいほどの殺気により体が動かなかったからだ。

辛うじて出せたのはこの驚きの声だけであった。


「お前の部下の不始末は命で償うのが道理だろう。」

そう言い残すとマキーオは、その場に居合わせた他の兵士に命令する。


「見ての通りだ、『火の国』の王は死んだ!これからこの地は俺が統治する。他の者にそう伝えろ!」

事の一部始終を見ていた兵士に反抗する力は無かった。

彼のオーラに当てられていたのもあるが、それだけではなかった。

と言うのも世界に散らばる国の王や、その周りを支えている者は『神の子孫』と呼ばれる強力な魔力を持った、後に『亜神族』と呼ばれる者達であり、一兵卒にとって、いくら肉体的な力が備わっていても敵うことが出来無いのが常識だった。

それだけに、そんな彼等を一瞬で消してしまうマキーオの力を目の前で見た者には抗う気力すら起こることがないことは理解できるであろう。


とは言え、例え前世の記憶があったとしても、この時代の歴史や思想、常識は全くと言って知らないので、自分が何を言おうが通用しないのはわかっていた。

本来、この世界に生まれて、たかだか10歳のマキーオには国を統治する力量はない。

だが、この時代、カルマが言っていた様に『力』が全てを優先する。

それが例え少年であっても、その者に力があればそれに従う。

それがこの時代、この世界の(ことわり)なのだ。


通信機器が発達していないこの世界であったが、この話が人の世界全域に伝わるのに、さほど時間はかからなかった。

恐怖の魔法を使うマキーオは次第にその勢力を拡大していった。

かなり抵抗するのではないかと思われた『亜神族』のどの国の王達もほぼ無抵抗で彼の軍門に下っていった。


確かに初めの頃は歯向かう者もいたが、さすがに無詠唱で強力な魔法を展開、行使するマキーオに立ち向かう勇気のある者はいなかった。


この時代は魔力値や魔力量がいくら高くても、無詠唱どころか詠唱魔法すら無かった時代である。

後世に、魔族が発展させる『魔法陣』の原型を使用した魔法を使って戦っていた『亜神族』にとってマキーオの強力な無詠唱魔法は異質であり恐怖の対象であった。


一度、マキーオの寝込みを襲う者がいたが、それらは、その場で塵となった。

そんなこともあり、完全無欠の存在に抵抗しようとする各国の『神の子孫』の不心得者達はいなくなった。


『絶対王者』

それが、マキーオだった。





【アサッテ・ハイドのクエスト日記】

ここは前回に引き続き、イスパイタス王国の首都エムグランドの冒険者ギルド・エムグランド支部の近くにある居酒屋『オオダルマ』。


ジェン「あれは俺がまだ、現役でバリバリと仕事をこなしていた頃の話だ。このイスパイタス王国で大きな災害があったということで、我々冒険者ギルドの冒険者は災害対策班として現地であるウィンダムに派遣された。」

(・д・)ノ

アサッテ「この時はまだ?」(´・ω・`)?

ジ「ああ、魔力災害だとは誰も知らなかった。なんで、普通の災害救助の準備以外何の対策もしていなかった。現地に入ってと言うか、近付いてみて直ぐにわかった。」

(´・ω・)っ

ガズン「魔力災害という名前は聞いたことはあるのですが、それは一体どういうモノなんですか?」

?(・_・;?

ジ「魔力災害は『負の魔力』が大量に溢れだして起こるもので、魔族には大丈夫らしいが人間には猛毒の魔力となり、触れただけで体がただれ、長時間その魔力にさらされると死に至る。まあ、本来は負の魔力を集めるだけでも一苦労なんだがな。」

(*´,_ゝ`)ノ

リルカ「ということは魔族もその件に関与を?」

(*゜ω゜)ノ

ジ「いや、それは確証は得られなかった。だが、魔石に負の魔力等を吸収させる技術があることは確認が取れている事実だったので、何らかの接点はあったと思われたが…まあ、その時の当事者達はその事故で全員が死んでいたからな。今となってはそのあたりは憶測でしかない。」

(´∀`)∩

ソウド「では、確認がとれたのは一体?」

(。・д・)ノ

ジ「うむ、我々は負の魔力の除去をした後、研究施設に入った。そこで見たものは、今回、現場でお前達が見たというものと同じと思われる『魔石爆弾』と、付与魔法が付けられた別の魔石だった。」

ヽ(´・ω・`*)

シ「嘘!その時も『魔石爆弾』が使われそうになっていたの?それに付与魔法が付けられた魔石って…」

(;´゜д゜`)

ア「その付与された魔法って?」(-ω- ?)

ジ「死者起動魔法だ。」( ゜_ゝ゜)ノ

ソ「し、死者起動魔法…アンデッドの魔法ですか…」

σ(´・ε・`*)

シ「アンデッドって、禁忌魔法じゃん!」

((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル

ガ「ということは、『魔石爆弾』で大量殺傷した後で、その死体を使ってアンデッドを作るという事ですか?」

ヘ( ゜Д゜)ノ

ジ「ああ、恐らくな、『魔石爆弾』はいくつか残っていて、不発の分というか、負の魔力が入っていない魔原石がいくつか確認されたのと、付与魔法が付けられた魔石も確認されたが、幸いこの魔石は魔力災害で魔法が展開されなかったため事なきを得た感じだった。一緒に現場に入っていたイスパイタス王国の関係者がこれら全ての資料を持ち帰ってしまったのと、同行した我々に、多額の報酬と身の安全を担保に、我々に口止めをしたというわけだ。」

(o゜з゜o)ノ

リ「では、こんなことをここで言うのはまずいのでは?」

ヽ(´・ω・`)

ジ「なあに、心配はいらない。お前達の今回の件の報告で、流石の冒険者ギルドも目をつぶれない様子だったし、前回の件も俺も含めて何人かの冒険者からめくれ始めてきたみたいだからな。まあ時間の問題だろ。」

ヾ(´▽`*)ゝ

ガ「大丈夫でしょうか?」(;゜Д゜)

ジ「まだまだお前に心配されるほど耄碌(もうろく)はしとらんよ。」

ヽ(・ω・。)

ーーー・・・・・ーーー

ア「こりゃ、国が荒れるぞ。」(;´゜д゜)ゞ

ガ「早めにここを出た方が良さそうだな。」

ヽ(´・ω・`*)

リ「また、クエスト流れちゃったの?」

Σ(´゜Д゜;)/

ガ「いや、大丈夫だ、既に報酬は受け取っている。それにこの件は、南隣のドリタニア王国が中に入るみたいだ。」

(* ̄∇ ̄)ノ

リ「えっと、それって、ジパング王国の兄弟国の?」

(o゜з゜o)?

ガ「そうみたいだ、詳しい事は冒険者ギルドの上層部でやっているがな。」

(*・ω・)ノ

シ「また、私達の知らない所で話がつけられるんだね。」(´・ω・)

ア「そう言うことだ。まあ、この件は俺達には荷が重すぎたという訳だ。」

ヽ(・ω・`*)


あとがきなのに何かめっちゃ長くなった。

とりあえずイスパイタス編は終了です。

次回もよろしく。(* ̄▽ ̄)ノ~~ ♪


インスタグラムで設定画を公開中。

銀龍院鈴星かginryuuin_rinseiで検索できます。




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