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水無月蔵光の冒険譚~第二部 古代地下帝国の謎を追え  作者: 銀龍院 鈴星
第二章 謎の国『ジパング王国』
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第40話 転位魔法陣

古い魔法陣が出てきます。

第40話 転位魔法陣

蔵光達は、時間を遡ること数時間前、『幽霊門』こと『転移門』から洞窟内に突如現れた岩戸のトンネルを通り、しばらくは不思議な通路を通っていた。

ある程度進むとエンペラースライムの群れが現れたが、航夜達にもゼリーを従魔にした時と同じ様にして倒す方法を教えながら難なく進んでいた。


「うわあ、何か同類のモンが干し椎茸みたいになっていくのを見るとなんや、あまりエエ気分はせんわ。」

とゼリーは干からびていくエンペラースライム達を見て唸る。


「若、航夜様が…」

誠三郎が蔵光に声を掛けると蔵光は頷きながら、

「わかっている。逃げた奴を追いかけて行ったんだろ?」

「ええ、そうです。」

「討ち漏らしがあったら、後からやってくる分家の人達が危ないからね。」

蔵光達はここまで来る間に航夜から、『幽霊門』の前に水無月の分家の者達が配置されることを聞いていた。


「確かに…彼等も強いとは言え、あくまでも一般人から見ればの話ですからな。」

誠三郎も一度、蔵光と一緒にキングドリル退治でエブーダの森に入った時、エンペラースライムのゼリーと初めて出会った際は『死』を覚悟した。

この時、初めて蔵光の規格外の強さを目の当たりにした。

初めて手合わせをした時は、確かに強いとは思ったのだが、蔵光の強さを確かめる前に気絶させられていたため確認をすることも出来なかった。

当時の誠三郎は分家の者達と同じか、やや強い程度のレベルであった。

なので分家の者達がいくら強いと言っても所詮は人間レベルが相手であればという話なのだ。


なのでその相手がエンペラースライムであるならば蔵光と同等以上の力を持つ航夜が戻らなければ彼等が全滅するのは目に見えている。


誠三郎は蔵光の話を聞き、航夜が『幽霊門』へ戻っていったのが、航夜や蔵光の判断であることは直ぐにわかった。


蔵光達のメンバーの方も、蔵光、王鎧、エージ、ゼリー、ヘルメス、誠三郎、ザビエラ、ヒダカがそのまま幽霊門から岩戸のトンネルに入って行ったが、危険を回避するため非戦闘員のエージ、ヴィスコ、オルビア、トンキ、ヨルはゼリーの体内の空間に入り待機していた。

ヨルは魔力値こそ高いが、今回の件のキーマンであるため大事をとって非戦闘員扱いとなっていた。



そんな中で、一行は少し広めのフロアーに出た。

そこは石のブロックで周囲を固めた部屋であり、時間が止まった松明が部屋を明るく照らしていた。

松明が燃焼することなく、そのまま炎を灯した状態で停止し、かつ光を放っている不思議な状態である。

この魔法世界『マーリック』では、素粒子論とか特殊相対性理論は度外視なのだろう。


「お、これは…」

列の先頭にいたゼリーがその部屋の床上に珍しいものを見つける。


「これは魔法陣ですね。」


直径が5m程の大きさの魔法陣が鏡面状態の石タイルの床上に描かれていた。


ゼリーの体内にいたヴィスコが、その状況を『水蓮花』というゼリーの体内で展開されているゼリーの通信魔法の魔力画面を見て確認すると、さらにその『水蓮花』を使ってみんなに解説する。


「この魔法陣は詠唱魔法が発達する以前に使用されていたかなり古いタイプのものですね。」

「何でわかるの?魔法陣は今でもあるんじゃないの?」

ヴィスコの解説にヘルメスが尋ねる。


「現在使用されている魔法陣も基本は同じですが、そもそも、その魔法陣の中に書かれている文字が古代語のようです。なので私はこれを読むことは出来ないのですが、わかるのはどちらかというと図式の構築状態が戦闘用のモノに近いです。現在、魔法陣は魔道具などに対する付与魔法など、生活魔法等、補助系と分類される魔法に使われていることが多いのですが、これはどうも詠唱魔法と同じ様に戦闘における攻撃や防御といったものにも使われていたタイプの魔法術式で構成されているようす。」

とヴィスコが説明すると誠三郎が魔法陣に興味を持ったのか質問する。


「ほう戦場でな、だが、こんな複雑なもの戦場で書いていたら間に合わないんじゃないのか?」

「ええ、その通りです。このタイプは空中記載のタイプではありませんから、当時は事前にいくつか使用が予想される魔法陣を書いた魔道具を戦場に持って行っていたと伝えられています。」

「なるほど、それならば楽だな。」

「はい、ですが戦闘用の魔法陣は基本一度きりの使い捨てばかりですので、それらが持てる数量には限度がありまして…要は()()()()という理由で段々と使わなくなっていったとか…」

「付与魔法みたいにすれば、何度も使えるんじゃないのか?」

「そういうタイプもあることはあるのですが、炎や水などの魔法は効果が激しいので、すぐに魔方陣や道具自体が劣化したり、数回使用すれば使えなくなったりしてして継続使用するにはあまり効果が期待出来なかったこともあって、次第に廃れてしまって、『根元素理解の法則』が編み出されて魔法陣の空中記載が可能となってからは結局、古代語で魔法陣が描かれた魔道具などは『強力だが手間がかかる』という理由で段々と戦場から無くなり、それに併せて『根元素理解』の研究も進み、魔法陣の空中記載魔法から詠唱魔法へ移行していったという経緯があるのです。」

「なるほど、戦い方も段々と進化しているのだな。」

「あと、魔道具に魔法陣を付与することは可能ですし、補助魔法でしたら『永続』で付与すれば、なかなか魔方陣は劣化しないですが、その分、魔法の使用範囲が狭くなりますし、使い勝手が悪くなり、長期間の使用は見込めるものの、例えば戦闘に使用する杖などに補助魔法の『回復』魔法だけを付与することは現実的ではありません。どちらかと言えば杖等を使用するのであれば一度きりの魔法で『筋力向上』や『速度向上』等の補助魔法を魔方陣の空中記載で使用する方が、パーティーの状態や各人のレベルや魔法行使者の魔力レベルによって、魔力の展開の加減を調節したり、多彩な魔法が使用できますので便利と言えます。」

「なるほどなあ、確かに戦闘序盤で体力が削られていない状況で回復魔法は必要はない、それよりは最初から一気に攻め込むために速度向上はしておきたところだな。それに、そうなれば魔法陣よりも詠唱魔法の方が便利だな。」

「はい、でも、今、プラチナドラゴンズではほとんどの人が高速無詠唱魔法ですから、さらに進化していると思います。」

「ほう、そう言われれば納得だな。」

と誠三郎が言いながら床に描かれた魔法陣に目をやると蔵光が珍しそうに魔法陣を見ている。

蔵光達、水魔神拳の伝承者は魔力値が余りにも高すぎるため、水神ミズハノメから水の魔法しか使えないように制限をかけられている。

その分、ほかの魔法に対する興味がすごく、もはや魔法オタクと化しているのだ。


「これを書ければ俺も他の魔法が使えるのかな?」

蔵光がヴィスコに質問すると、

「そうですね、魔法陣は、本人に特に制約がなければ、魔力だけで魔法は展開されますけど…」

「えっ?本当に?」

「ええ、詠唱で苦手な人であったり、魔法自体が自分に相性の悪い元素魔法であっても、魔法陣自体が元々『根元素理解』が不要なので、しっかりと魔法陣が書けていれば大丈夫かなと思いますが…」

とヴィスコが解説する。

つまり、一から魔法を構築するのではなく、料理に例えれば鍋やフライパンを使用して、さらに材料や調味料を駆使して作る料理ではなく、既に出来上がっている料理が入っているレトルトパックや缶詰を温めて開封するだけという理論だ。

つまり、術者(料理人)は、魔法陣(レトルトパック)に魔力(熱)を与えるだけという考え方だ。

もはや、魔法使いとは言えなくなっているのだろうが、プライドを持たなければ、辛うじて魔力を使用しているという点で、魔法使いには見えるだろう。

ただ、蔵光には水の魔法以外の魔法が使用できる可能性があるのであれば、例え魔法陣であろうがプライドを捨ててでも構わないと考えている程なのだ。

だからこそ敢えて言おう、蔵光よ!水魔神拳伝承者としてのプライドは無いのかあ~!!?



「で、この魔法陣は一体何の魔法陣なんだ?」

誠三郎がヴィスコに尋ねた。

「この魔法陣の構成やフロアの床面に描かれていることを考えると、恐らくは話に出ていた本来の『転移門』、つまり、マリガトリア帝国へ転送される『転位魔法陣』だと思われます。」


ヴィスコの言葉にヘルメスの目が輝く。


「すると、この上に乗って魔力を流せば地下の帝国まで転位すると?」

「多分ね。でも、元々転位の魔法陣何てものは古代魔法の一つで、術式の構造が難しすぎて、現在の技術では再現が出来ないとまで言われているので、通称『失われた魔法(ロストマジック)』と言われる魔法の部類に入るの。元々、ゼリーちゃん師匠が使っている空間魔法の元になっているものだから相当凄い代物と言えるでしょうね。まあ、空間魔法自体も伝説級の魔法なんだけど。」

「なるほど、これは古代魔法だったのか。道理で見たことがある文字が所々あるなと思った訳だ。」

そう言ったのはザビエラだ。

元々魔族は古代魔法を使う事があるので、魔族であるザビエラもそう説明を受け納得した。1-33


「えっ?ザビエラさん、この術式が読めるんですか?」

ヴィスコが驚いてザビエラに尋ねる。


「ああ、読めると言っても少しだけだがな。」

「す、凄いですぅ!私なんか全く読めませんから!」

ヴィスコは感動して水蓮花の映像越しにザビエラを見ている。


「まあ、何にしてもここに魔力を通して魔法陣の魔法を発動展開すればいいんだよな?」

蔵光はいつになくソワソワとしている。

かなり自分の魔力で魔法陣を作動させたいようだ。

「主ぃ、頼むで!」

それを理解したのか従魔のゼリーが後押しをするように声を掛ける。

他の者も蔵光に向かって頷いている。

それを見ると蔵光はニッコリと笑って

「ありがとう。」

と一言言うと魔法陣の中央付近に掌を乗せ、魔力を通す。


それまでは只の絵の様に描かれていた魔法陣であったが構成する図形や文字部分が虹色の光を放ち、次第にその光が大きくなってきて、全員の姿を包み込んだ。


が………


「あれっ?」

蔵光の不思議そうな声がする。

そこは元いた魔法陣が描かれた場所であり、全員がその魔法陣の上に乗った状態のままであった。


「主ぃ~転位してへんで?」

「どういうこと?」

ゼリーと蔵光が不思議そうな顔をしているとザビエラが魔法陣の一部が赤く光って点滅していることに気付く。

「これは…『魔力の行使は『神』に限定する。』と掛かれています。」

「『神』というと…ここではゼリーか!?」

「行使者指定の魔法陣でしょうか?」

ザビエラは魔族の故郷である、『魔の大森林地帯』では古代語に近いと言われる魔族の言語『レフイア』を使用する。それと伝承文化やそれに使用する文字は古代語を使用しているので、ある程度はこの魔法陣に書かれた文字が読めるようだった。


「しゃーないな。そしたらワイがやったるわ。」

蔵光の魔力により魔法陣が発動したものの、魔法展開せず結局、元のフロアに残されてしまったため、仕方なく魔法陣から指定されていたため、『神』であるゼリーが魔法陣に魔力を流し込むことになったのだ。

当然、水魔法以外の魔法が使えると意気込んでいた魔法オタクの蔵光は、『精神異常状態無効』のスキルがあるにも関わらずかなりへこんでいた。


ゼリーが魔法陣に魔力を流し込むと先程と同じ様に、魔法陣の図形全体から光が溢れる。

その光は蔵光の時と違って数倍明るかった。


そしてそのフロアから全員の姿が消えた。



【アサッテ・ハイドのクエスト日記】

前回に引き続き、ここはイスパイタス王国の廃棄都市ダークウィンダム(旧都市名ウィンダム)。


リルカ「いやー、アサッテのマグナイト・ソードにあんな能力があったとは。」

┐(´~`;)┌

ソウド「確かに、あそこで『選んで切断』が出るとは…」

┐( ̄ヘ ̄)┌

シン「これでキメラは全部倒せたのかな?」

ヾ(゜▽゜*)

ガズン「恐らくは一網打尽に出来ただろうな。」

(o・ω・o)

アサッテ「ああ、それは大丈夫だ。だが、それよりも逃げていたときにとんでもないものを見つけてしまった。」

リ「あれね、えっと『魔石爆弾』だったかな?」

ヽ(´・ω・`*)

ソ「そうだ、今は禁忌とされている魔石に多量の魔力と攻撃魔法を付与したものだ。魔石は古代魔原石みたいだったし、付与魔法には古代語が使われているようだったが…どうやら失敗作だったみたいだな。だが、あんなものを使えばここの魔力災害どころの話ではない。」

(*´_⊃`)ノ

シ「古代語って!?じゃあ、あの強力だと言われる古代魔法を魔石に付与していたってこと?私も魔法使いの端くれだけど、古代魔法は知らないわよ!」

ヘ( ゜Д゜)ノ

ガ「古代語を使うとなれば…魔族か…?奴等につながりがあったのか?!」

(´・ω・)っ

リ「そんな!イスパイタスは一体何をしようとしていたの?」

ソ「キメラに大量殺戮魔法兵器か…マズイぞアサッテ!」

(-""-;)

ア「そうだな、こりゃ面倒なことになってきたな。」

(´・ω・`;)



あらあら?ちょっと本編とネタが被ってるぞ?

魔法陣と魔法付与と古代語、そして、古代魔原石、本編第25話ではアディアエメルという魔石やクイーンエーテリオンという古代魔原石なども出てきてますが、ここで一体何があったんですかね?

では次回まで。(o・・o)/~


あと、インスタグラムで設定画を公開中。

銀龍院鈴星かginryuuin_rinseiで検索できます。


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